60.雨
夕闇のあと、1時間ほどするとカイの言うとおり天候が悪くなり、ぽつぽつと雨が降り始める。木々の間に入ってブルーシートを車体にかけたので、自分が濡れる心配は一応無いと思う。最後に一部を切って砲の先端に結びつけ、砲身の中に雨水が入らないように塞ぐ。
冒険者の子は木の側に寄る事で雨に濡れないようにしていた。本とかでは冒険者はマントとかで雨を防いだりするはずだけど、ついてきている子は着のみ着のままに見えるんだよね。
残った切れ端を目の前に置くと、何か良くわかっていないみたいだけど、濡れない布くらいは分かってくれると思う。車体に掛けているわけだし。
少し触って理解したのか、頭から羽織ると木によりかかるように座り込んだ。びしょ濡れになることくらいは防げると思うけど、ブルーシート一枚だけじゃなぁ。
その日の夜はずっと雨が降り続け、火を焚くことも出来ず暗闇がずっと森の中を覆い続けた。夜も遅くなると少し怯えながら、冒険者の子はシートに包まり眠り始めた。
「お母さん……」
寝言で呟いているし、やっぱり年齢的にさみしいのかなぁ。どんな苦しい目にあったかは判らないけど、誰かに任せるしかない事だってある。今回はたまたまカイが付いてきても良いと言ったけど、本来なら助けることだってたぶんできなかったことだし。
それにしても、火を焚かないと野生動物に対して危ないなぁ。
「リョウ」
カイの声に意識を車内に向けると、目を瞑ったままだけど起きているみたい。真っ暗なので感情は全然読み取れないけど。
「濡れないようにしてやれ。 まだ子供だ」
なんだかんだ言ってカイは子供に対して優しい。一応心配をしていたみたい。
「わかったよ。 自分が見ておくから、カイは寝ても大丈夫」
「あぁ、頼む」
車体のすぐ近く、車体を覆っているブルーシートの下の地面が濡れていない箇所に寝かせる。それでもちょっとは不安だけど、自分が警戒しておけば獣相手でも大丈夫。
翌朝、まだ雨が降り続けているけど出発。履帯が巻き上げた泥が車体に掛かるのが辛いけれど、少しずつは綺麗になっていくので汚れ落しも自動修復の範囲内っぽい。でもこれが終わったら一度体を洗いたいというか、洗車したいなぁ。ワックスたっぷりでぴかぴかに磨き上げたい。もしくはサビ止めを全身に塗りこみたい気分。
朝方、元居た場所に戻しておいた子は、ブルーシートをマントみたいに着用して付いてきている。まぁいいけど、ますます子供っぽさが増してしまったかな。




