59.事情
「何故だ」
そうだよねぇ。理由があろうがなかろうが他人に構っている余裕はないし、正直カイ以外の人を車体に乗せたくは無い。カイは例外だし。
「自分の村が盗賊の襲撃でなくなって、攫われた家族を取り戻したいんだ!」
立派な言い分だけど、時間が経っているならもう無事じゃないと思う。残念だけどこの世界からして、殺されているか奴隷にされているか、なんにせよろくな事になっていないかと。
「自分の願いなら自分でやれ」
残酷だけど相手にしていても仕方ない。ほぼ子供の言い分だし、助けるには倒すのよりかなり大変だって聞いたことがある。カイを危険に晒す訳にはいかないし、悪いけど助け出すなんて無理は出来ない。
「盗賊が居る場所もわからないんだ! 依頼も受けれないし、依頼を誰も完了してくれないんだ!」
うーん。誰も依頼を完了しないとなると、ますます裏があるとしか思えないんだけど、町と盗賊が繋がっているんじゃ。そうなると盗賊を叩き潰しても、根本的な解決にはならないよなぁ。
「勝手について来い。 邪魔をしなければ構わない。だが、助けもしない」
「わっ、わかったよ……」
随分落ち込んでいるけど、それでも着いてくることを止めないのは自分としては驚き。カイが許すなら良いけど、車体には乗せないし手助けもしない。それにしても、なんで許すんだろう。
それからもカイの示す方向にゆっくり走っているんだけど、荒れていて殆ど獣道を無理やり進んでいるみたいになっている。時折後ろを見るんだけど、後からついてくる子がなんとも切なそう。
「そろそろ雨がくる。 リョウ今日はここまでにして休むぞ」
カイは空を見上げると雨が降るという。そういえばこの世界に来てから一度も雨に当たっていない。
「リョウ 木が多い森の中に入っておけ。 今日はこのまま休む」
あっそうか。傘とか何にもないからこの体だと直接雨に当たってしまい、避けるには納屋とか木々の間に入る以外方法が無い。あー盲点だった。錆はしないだろうけどこれはつらい。
カイは車内に入ると車長席に座る。これでカイは濡れないだろうけど、自分は雨に打たれるのをただ耐えるだけになってしまう。
焦りながら備品欄を見ていくと、大きなブルーシートがあった。これで濡れずにすむ。
入手するためSPに意識を向けると、1760SPから6560まで増えている。これはゴーレムを40体倒したせいかな。でもいまはそれよりも濡れない準備を。
ブルーシート 5P
残りは6550SPと。入手した2このブルーシートを念動力で広げ、車体の上に広げて掛ける。砲身は仕方ないから諦めよう。




