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異世界を戦車として進む  作者: 赤崎巧
1章 旅立ち
53/313

53.賠償金

 あ~、やってしまった。二の句を付かせ無いと言うか、有言実行と言うか、止める暇もないと言うか。それにしても大分こういう状況にも慣れたかな。前だったらオロオロしてたかもしれないけど、冷静に居られる。

 それにしてもカイは本当に男嫌いで触れられることさえ嫌う。それが女を食い物にしてたり、性的な対象としか見ない連中ならなおさらなんだけど、あーでもこの状況をどうしよう。


「貴様何を!」


 状況を見ていた衛兵っぽい人が剣を抜いてしまった。

 せっかく信仰みたいなものの作り方が分かったのに、このまま衛兵みたいな人にカイが捕らえられてしまったら大変な事に。


「オレは二度も警告した。 これ以上何の理由が必要だ」


 カイの機嫌が非常に悪い。険悪な雰囲気に凄くいやな予感がする、この場で血の海はどうしても止めないと。


「その方は商人ポントス様の子息だぞ! ただで済むと思っているのか!」


 衛兵と思ったけど私兵だったみたい。でもそれで少し納得と安心。衛兵が騒ぐなら大変だけど、最悪お金でこの場だけは解決できるかもしれない。西部劇でも賞金首の人が賠償金を支払ったり、歴史の本でも昔は賠償金を支払えば、大抵の罪はどうにかできたと書いてあった。


「オレをどうにか出来ると思っているのか?」


 カイは剣を握り締めると一歩私兵に近付く。私兵は剣を抜いているけど、カイが進むと後ろに下がって腰が引けているみたい。

 念動力でカイを掴んで砲塔の上に乗せ、とりあえず一旦はとめる。

 

「リョウ、邪魔をするな」

 

 神官だから丁寧で温厚かと想像するかもしれないけど、カイが崇めているのが軍神だから。神官だから命を大切にして乱暴は振るわないだろうって考えはぜんぜん当てはまらない。他者の命を奪っても加護がなくなるどころか、軍神で女神な上に女性の味方、不埒な男を殺せば逆に加護が増すくらい過激な神様だし。

 軽く抑えているだけだからカイは振りほどけるはずだけど、出来ればこれ以上は止めて欲しいという意図をわかって欲しい。


「……」


 私兵とカイのにらみ合いにはなっていないけど、これは立ち去った方がいいかな。衛兵に事情を話して、賠償成りできるようならそうして、ダメなら強行突破するしか。

 少し経つと衛兵の人たちが何事かと集まりだし、すでに出血多量で死亡している男をみて驚いていた。ハッチの中からお金が入った袋を取り出しカイの横に置く。


「衛兵! 殺人の賠償金はいくらになる!」


 よかった。カイはどうやら意図を理解してくれたみたい。

 怒鳴られた衛兵達は固まるけど、隊長らしき人が一人前に出た。


「だ、大体30万から100万くらいだ」


 お金の入った袋をカイは掴むと隊長の方に投げた。

 

「200万入っている。 これでいいだろ」


「あっ、あぁ、一応詰め所での書類作成が要るが、これで問題は無い」


「では、これでいいな。 すぐ詰め所に行かせてもらう」


 ため息をつけないけど、とりあえず今回は穏便に近い状況で終えらせられたと思う。次からは自分が男がカイに近付くのを止めないと、今回みたいな事が何度もおきたら大変。

 それに私兵を持つ商人の人はきっと恨んでいるし、面倒な縁ができちゃったなぁ。

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主人公の性格さえ無ければ面白いのに
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