35.旅は道連れ はごめんです
書面によって自由な旅が保証され、これで気兼ねもなく多くの町や村に入ることが出来るらしい。
アプルの町の門を抜けようとしたとき、門番に呼び止められたけど、保証書状を見せると丁寧に対応されて今後は大丈夫っぽい。
これからは新しい領地に行く度に保証を得る様にした方がいいかも。
「リョウ、酒場の前で待て。 少し情報を集めてくる」
カイは酒場に入り20秒くらい経つと、数人が扉と窓を壊して外に飛び出し、地面を転がった後動かなくなった。
なんかよくラノベやアニメである流れになっている気がする。情報を聞き出すのと力を示すのを兼ねて、柄が悪い冒険者をたたき出すっていう奴。
20人ほど転がってくる男達を丁寧に酒場の入り口に運んでいると、カイが涼しい顔で酒場から出てきた。どうやら情報を得られたようだけど、ちょっとやりすぎじゃないかなぁ。
「次は西にあるコフルの町に行く。 そこに教団かはわからないが、妙な連中が集まっているそうだ。 まずはギルドに行って話しを詰めておこう」
やはり情報収集の基本はギルドと酒場らしい。出来れば穏便にしてほしいのだけど、これがこの世界の流儀かもしれないし、平和な世界以外は書物レベルでしか知らない自分が口を出して、カイに危ない目に会って欲しくないなぁ。
色々考えながら、カイが車体に乗ったことを確認し、蒼転の剣ギルドに向おうとしたとき、いきなり目の前に見知らぬ男が現れ突然頭を下げた。
「その強さに感動しました!」
「断る。 よそを当たれ」
カイが話の先を折ると言うか。実際付いて来られても困るんだけど、聞いてあげるくらいしてもいいんじゃないかなぁ。
「いえ、あの」
「強くなりたいならそれなりの所で練習しろ。 オレは教えるつもりなどない」
自分は教えることなんて出来るわけないし、そもそも格闘技はともかく剣道とか知らない。何よりもこの体じゃ教える以前の問題だし、カイが教えるつもりがないなら仕方ない。
「リョウ、ギルドに行くぞ」
カイを載せたまま唖然としている男を迂回してギルドに向う。
「カイなら教えられたんじゃない?」
「あの男、町に入るとき保証書状を見ていた。 保証目当てに行動を共にしたいのだろう。 そんな奴が居ても邪魔なだけだ」
見ていなかったし気付かなかったけど、権利があるとこの世界でも摺り付いてくる面倒があるんだなぁ。役目があるわけだし、面倒事は避けるようにしないと。
ギルドにつくとギルド長は裏庭で素振りをしており、カイが車体から降りて話をするとスムーズに進んでいるみたい。それにしても、同性と話すときは本当に楽しそうに話す。それも同じく性別を捨てて戦いを生業としている相手だとなおさら親近感があるみたい。
「コフルの町ねぇ。 慌しい限りだが、そこにも蒼転の剣の支部があるから仕事のときはそこにいきな」
「蒼転の剣はそこにもあるのか」
「うちは広域ギルドだからな。 大手には劣るが、町なら大抵は支部がある。 受付に頼んであったギルド証も出来上がっているからもっていくのを忘れるなよ」
こういうストイックと言うか、無駄話をしないからカイが気に入っているのかなぁ。カイは男嫌いもあるけど、おしゃべりな女も余り好きじゃないから。




