真実
この世界はもう、人間なんか脅威ではない。
人間は適応できなかった。
技術と呼べるものは燃え尽き、その燃えかすが私の浅はかな希望だ。
現状の説明に入ろう。
地球は信じられないほど高温になった。
なぜかは一部の人間はわかっていたのかもしれないが、私達には教えなかった。
幸運な私は、土に埋まることができた。
全員に行き渡ったのかどうかすら、私にはわからない。
この、一人寝そべるのが限界の小さなカプセルは冷房が付いており、真夏ぐらいの暑さに抑えることができる。
人間の、最後の悪あがきである。
しかし外気が高温なせいで、冷房に割く割合と大きさを小さめにしないといけなかったらしい。
私達はこのカプセルに群がった。
たまたま夫にツテがあったおかげで、私はこのカプセルに入れた。
娘は無事だろうか、
このカプセルから、食事が出てきた。
「うん?」
なにか鉄の部品?が出てきた。
カプセルの部品だろうか?
美味しくないけど、娘に好き嫌いはダメだと言っていたから、頑張ろう。
「あっ!あなた!」
「体調は大丈夫かい?」
「ええ、でも、あの子は…」
「たぶん、通話ボタンが壊れたんじゃないかな?大丈夫だよきっと生きてる。」
「…」
「おい?」
「もうダメか…」
俺は、あの子の…いや、俺には父を語る資格がない。
俺は、あの子を見捨てた。
他の人と話せないようにし、真実に気づかないように仕向けた。
このカプセルは、最初から妻を長生きさせるためだけのものだ。
カプセルに知り合いを入れた後、カプセルの中で気づくやつは少なからずいただろう。
同じ仕事をしていた奴もいたからな。
しかしもう妻も死んでしまっただろう。
妻のカプセルだけ、苦痛をできるだけ感じないように設計していた。
きっと安らかに逝けただろう。良かった。俺もすぐに会いに行くから、寂しい思いはさせないよ。
「暑いな。」




