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64話

「何この空の色は?!いえ、さっきまでは普通の空だったハズ、何故?!」


つい狼狽えてしまったリリーナだったが、そんな自身の頬に当たる風はやけに冷たく、耳に届く風の音はゴウゴウと煩い。

まるで、乱気流の渦巻く渓間をすり抜ける際に感じた風の唸り音のようだ。


そう、さっきまでとは違う空になっていた。

丁度真上から円状に空半分が真っ黒な世界へとなっていた。


いや、よく見れば星空が見えている。

つまり、真上の空は宇宙空間であり、地平から半分下は青い空となっていた。


一応、リリーナ達の世界でも『宇宙』という概念はある。

それらは異邦人達が持ち込んだ知識…というゲーム内設定になっていたからだ。


とは言うものの、実際に宇宙と言うモノが何かと言う事は分かっていない。

そんな現象なんだと言う知識のみの話だからだ。


そんな聞いた程度の世界が目の前に広がっている。

故にリリーナは焦ってしまった。


「確か、宇宙って息が出来ないんでしたっけ?それにとても寒いんだとか?」


そんなうろ覚えの知識の元、空を見上げていると、エルザが呆れた顔でリリーナを見ていた。


「そっちの心配をしてんじゃねぇ。もっと別の問題があるだろうが」

「別?」


エルザのそんな声に疑問を呈すリリーナ。

空に宇宙が広がっている…いや、夜なら別に変な事では無い訳で…いえ、まだ夜という時間では無い?!なら何故空が暗いの?違う、コレは…


「エルザ、不可視の壁はどうしたのです?」

「やっとソコに気付いたのかよ」


はぁ〜っと大きなため息を吐くエルザ。

リリーナはエルザより知識のある人物だと思っていたが、いざと言う時の冷静さはイマイチ…正確に言うなら『時々ポンコツになる』と言うべきだろう。


「不可視の壁、異邦人達が『結界』と呼ぶアレが急に消えた。ついさっきの事だ。何か身に覚えは無いか?」

「何かと言われても…」


不可視の壁と彼女達アルテミア大陸に住む者達が言うソレは、大都市等に張られている物理的では無い壁の事を言う。

それを張っている存在が誰なのかは分かっていないが、国と呼ばれる物が出来ると、その首都には必ず不可視の壁が現れる。


勿論、ゲーム内の設定とリンクしているからこその話になるのだが、これらは、キング·オブ·キングオンライン内で、プレイヤーが建国した際の攻撃を防ぐ為、所謂『出待ち対策』の為の初期システムになる。

この不可視の壁、プレイヤー名『結界』のお陰で、攻め込む際の『領地戦』の設定と『宣戦布告』をしなければならない。


そんなゲームの設定を知らないアルテミア大陸の住人にしてみれば、建国宣言と不可視の壁は、『何だかよく分からないが、不思議な力が及んでいる』んだと思われていたのだった。


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