新たなる旅立ちの予感
二年たった、俺は六歳になり、俺の乗っている馬車の目的地に着いた。
その名も商業都市、フリーズド、バルトシフト王国一の賑わいを見せる活気にあふれる街だ、
世界各地から商人が此処を目指しやってくる、それと同じくらい世界各地から消費者もやってくる、
冒険者然り、王族貴族然り、盗賊然り、だ、
ここで俺たち奴隷一行は売りにかけられる、
ちなみにこの国の通貨は鉄貨、銅貨、銀貨、金貨、白金貨、光金貨、竜金貨、龍金貨、となっている、
奴隷の平均価格は金貨一枚でピンキリとなっている、安くてもたまに掘り出し物もあるから奴隷は人気商品だ、
奴隷が反抗しないように奴隷印の魔法が使えないといけないのがネックな商売なのだが、
ちなみに俺に付いた値段は竜金貨二枚・・・、破格だ、別に嬉しくもなんともないがそれ程までに俺の容姿はいいらしい、上の位の貴族しか買えないような値段だ、
本来なら自分が売られるというのを楽観している自分に嫌悪感を催すが、むしろ孤独から解放されるから歓喜している、
それ程までに孤独というのは人を壊してしまう、
商売時間が始まった、俺たちが売りに出される、
薄い衣装(なぜか上質な素材)を身に纏い檻から出て行った。
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俺たちは売りにかけられた、人が少しずつだが入ってくる。
一人目に来たのは中年の男の冒険者だった、獣人の若い女性と男性を戦闘用にと買って行った、いい人そうな冒険者だった、いいなぁ・・・。
二人目に来たのは有力な商人だった、愛玩具用にと人族の幼女を三人買って行った、あいつ、ロリコンだな、しかもあの容姿じゃ明らかに18歳未満NGになる。
三人目は青年の冒険者だった、鍛冶をできるようにとドワーフの青年を連れて行った、あの冒険者は・・ツンデレタイプだな、男のツンデレとか誰得。
四人目は貴族だった、俺を買おうとしたようだが俺の値段を聞いて顔を真っ青にして帰って行った。
五人目は全身黒服を着た怪しげな男だった、俺以外の少年少女を買って行った、・・・嫌な予感しかしない。
六人目になり、俺の飼い主が決まった。
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バルトシフト王国ゼフィリウス侯爵と、その太子だった、金髪をオールバックのように後ろに回し青い目を優しげに細めている、どこの王子だよと突っ込みたくなる立ち振る舞いをしていた、しかしまだ子供、多分俺と同年代くらいだ、
「この人にします!いいでしょ?父上!」
まだ無邪気な子供らしく俺を指さしてそう言い放つ、
「うむ、いいぞ、なかなか美しい子ではないか、女だか男だか判らんな、おい、奴隷商、あいつは男か、女か?」
俺は「男だよ!!」と突っ込みを入れたくなったが魔法をかけられているため喋れなかった。
「男でございます、旦那様、お値段はこれ程になります。」
竜金貨二枚というあり得ない額を提示する、すると侯爵は眉を少し動かしたが、
「確かに高いが、払えんほどではない、何より、レズンの誕生日プレゼントだからな。」
奴隷商が今度は眉を動かすが何事もなかったかのように商談を始めた。
その後、なんやかんやあって、俺は売られた、
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背中に打ち付けられた奴隷印に肌を焼かれるような痛みがまだ残っている、俺は首輪を付けられゆっくりと歩く、案外この二人は優しく俺の徒歩速度に合わせてくれる、どんな生活になるのか、酷過ぎなければ別にどこでもいいのだが・・・、等と奴隷商の馬車内にいたときよりは大分まとまった思考で考える、
豪華な馬車が見えてくる、あの中に入る、馬車は外装に比例し中も豪華だった、煌びやかな装飾品やソファ
がそれを物語っている、
俺と二人以外に人はいない様だ、外に護衛が居る位である、
「座って!!。」
レズンという俺の主人にそういわれ、ソファに腰をゆっくりと掛けた、
「父上、まるで作り物のように美しいです、いい買い物をしましたね、どこに連れて行っても自慢できそうですよ!!」
「そうだな。」
どうやら俺は自慢用に買われた様だ、
「喋らないのですか?」
喋らないのではない、喋れないのだ、奴隷の刻印によって主人の命令が無い限り喋ることは許されない、
「ああそうでしたね、喋っていいですよ。」
俺の喉から違和感が消える、何を喋っていいのか良くわからなかったため取りあえず疑問点を述べる、
「これから、俺は、どうすればいいですか?」
いつも喋ってなかったので声が出たこと自体に驚きだったが、貴族二人が驚いていることに俺が驚いた、
もう何言ってるのかわからないがいろいろ驚いたとゆうことが分かっていただければ問題ない、
まぁ、貴族二人は女神のような美声だったのに「俺」という単語がでてビックリしただけだったのだが。
「ふむ、確かに気になるな、何に使うつもりだったのだ?レズン。」
聞かれて嬉しそうに答える、
「父上!この奴隷、今度行く学園に連れて行ってもいいですか?」
学園・・・だと・・・
こんな駄文を読んでいただきありがとうございます。