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蒼焔の魔女 ~ 幼女強い 【感謝! 8000万PV・書籍版第1巻2巻同時発売中・コミカライズ企画進行中!】  作者: 一 二三


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迫る影 ㉙

「恐ろしいことに理屈は成り立っていますね・・・」

「面白いわね。本当に成り立つものなのか詳細に検討してみる必要は有るけれど、戦時だけ徴用するのなら資金的な負担は小さくなるわ。領民を養いながら―――、いいえ。産業と領民を育てながら、様々な面で領地の利益を大きく出来る」


 よほど提案が気に入ったのか、セリーナお婆様はニンマリと笑う猫のように目を細めている。

 この表情、だいぶ分かってきたけど、お婆様が本気で面白いと思っているときに出るんだよね。

 滅多にしない表情だから、人前では出さないように隠してるんだろう。

 構想上、戦費調達に問題が無いとご理解いただいたところで最初の話に戻ろうか。


「・・・人も、物も、戦費も賄えるなら、恒常的な派遣軍―――、仮に“第2軍”としましょうか。その設立は可能だと考えます」

「第2軍ね・・・。南部防衛を第1軍として、第2軍を必要なときに必要な場所へ派遣する。ただでさえウォーレス領軍が強すぎると騒いでいる王宮の反発を招く恐れが有るから、国王陛下とも話し合う必要が有るわね」

「ミリアでも少し荷が重いでしょう」

「・・・えっ?」


 思わぬところで王様の名前が出て、ちょっと驚いた。

 しかも、わざわざこっちから話に行くの?

 でも王宮かあ。

 ほんと、面倒くさい人たちだな。


 王妃様とお母様はお友だちだし、テレサとルナリアと私も仲良しだし、西部国境地域の貴族たちみたいに叛逆したりしないっての。

 セリーナお婆様の心配は分かるけど、王都まで話しに行く必要ある?

 日本での業務報告みたいに電話一本で、とは行かなくても、王様たちなら手紙でもオーケーしてくれそうだけど。


「・・・王妃様がウォーレス領へ来られたときに話せば良いのでは? カレリーヌ様がご一緒してくださるなら、もっと話が早いでしょうし」

「叔母様ね・・・。足を運んでいただけるように私からも手紙を出しておくわ」

 何が王国の存続のためになるか、最も厳しい目で見極める人はカレリーヌ様だと思う。

 カレリーヌ様に対する王様の信頼と力関係は王都で見た通りだろう。

 王妃様とカレリーヌ様のお墨付きが出れば、王様の承認は取れると思う。


 利益を分配することで国内貴族を抑えて国内の安定が図れる以上、王様も宰相さんも反対しないという確信が有る。

 王妃様もかな。

 あの人たちは、そういう人たちだ。

 眉間を寄せたシェリアお婆様が本格的にぐりぐりとこめかみを揉み始める。


「まさか、アマリリア様やカレリーヌ様まで便利使いにするとは・・・」

「・・・協力してくださるとカレリーヌ様がご自分で仰ったのですよ? 王妃様もです」

 まるで私が周囲の人を都合よく使ってるみたいじゃん。

 酷い言われ方に反論しておく。

 シェリアお婆様だけかと思ったら、セリーナお婆様にも首を振られた。


「王国のためなら協力いただけるでしょうけれど何事も控え目になさい。貴女は目立つのだから、やり過ぎては無用な敵を作ります」

「・・・あ。ハイ」

 そんなに目立ってる? と思いながらも、包囲を受けた圧倒的不利な状況に無条件降伏しておいた。

 政治の場である王宮や社交界を詳しく知るお婆様たちに抵抗しても私に勝ち目は無いからね。


 “沈黙は金、雄弁は銀”という言葉も有る。

 お婆様たちは私の提案について話し合いを始めている。

 知恵袋のシェリアお婆様が実現の可否を考えて、セリーナお婆様が質問する、いつものやり取り。

 沈黙してますよー、と両手で自分の口を塞いでいると、私を見つめているエターナさんが大きく息を吐いた。


「フィオレ様は凄いですね」

「・・・ん? 私?」

 溜息を吐かれたのかとエターナさんを見上げれば、そんな感じの表情では無いね。


「とても難しいことを話されているのは分かったのですが、私には中身が全く理解できませんでした」

 賢そうに見えたと?

 目をキラキラさせているところを見ると、エターナさんはお婆様たちと私のやり取りを聞いて感心してる感じかな。

 ナニ言ってんのかサッパリ分がんね、とか、いい大人がそれで良いのか?


 賢そうに見えるというのなら、正真正銘の純正サラブレッド天才児のテレサも似たような感じなんだろうし、テレサに較べれば見た目と中身が一致していない私はナンチャッテだからなあ。

 国産車だとエターナさんが思っているクルマは、日本車のエンジンに積み変わっているんだから。


 王都へ行って会ったら、テレサの賢さにビックリするんじゃないかな。

 なお、実は賢いルナリアは最近どんどん脳筋寄りになっていて、水を得た魚のようにイキイキとしている。

 今もエイラさんを捕まえて木剣を片手にじゃれついているしね。


「・・・向き不向きは有るから気にしなくて良いよ」

「はい! この身が朽ち果てるまでお側に仕えさせていただきます!」

 私の中身に関わることだからサラッと流そうと思ったら、堂々の思考放棄宣言が返ってきた。


 思考停止じゃなく、放棄だよ、放棄。

 それで良いのか? と本気で思わなくも無いけど、センシティブな辺りをツッコまれても困るからノータッチでスルーするよ。

 さーて。ルナリアはどうしてるかなー。



迫る影㉙です。


思考放棄宣言!

次回、参りました!?

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― 新着の感想 ―
ルナリアが脳筋寄りになりすぎて色々不安なんだよねぇ。
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