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蒼焔の魔女 ~ 幼女強い 【感謝! 8000万PV・書籍版第1巻2巻同時発売中・コミカライズ企画進行中!】  作者: 一 二三


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迫る影 ㉗

「・・・だとすれば、また西部国境戦線へ部隊を派遣する必要が出てくるかも知れない」

 そのとき何が起こるのか。

 私が懸念する真の意味を察したのかエターナさんの顔色が悪くなる。


 エクラーダ難民の流入を原因とする実働部隊の派遣。

 防衛出動でも治安出動でも鎮圧しに行くことには違いない。

 つまりは、エクラーダ難民を対象とした鎮圧・治安維持部隊だ。

 それは、血が流れることも有り得るという意味になる。


 王国の混乱に乗じて他国がちょっかいを出してくる可能性も排除できない。

 相手に野心が有る限り、一度有ったことは二度でも三度でも有るはずだ。

 今度も水際で阻止してくれる。

 私がブチ上げた構想の意図を知ってお婆様たちが表情を厳しくする。


「先の内戦で派遣した規模の部隊を常設で用意しようと言うのかしら」

「・・・はい。レティア防衛部隊の規模を維持したまま、独立して動ける部隊が有れば何が起こっても慌てずに対応出来るのでは無いかと」

 ちょっとオブラートに包んだけど、対エクラーダ難民なら、エクラーダ部隊で対処させたい。


 同胞の言うことなら難民たちの反発が小さいだろうし、私が指揮して難民たちの前へ顔を見せれば事態を最短の時間で混乱を収められると思う。

 1000キロメートルは遠いけど、フレーリアやオルレーシア様のためにも、そうしてあげたい。

 じっと聞いていたシェリアお婆様が首を振る。


「待ちなさい。独立して? 派遣を前提にした常設部隊ですか。人員は戦闘部隊だけでなく輜重にも必要になります。人を増やせば給金も必要です。軍を2つ維持するとなれば、消費する資金も兵站も重複するのですよ?」

 仰る通りだ。


 でも、そんなことは分かってる。

 分かった上で、私は採算が取れると踏んでいる。

 強力な軍事力を持てば、何かが起こる度に応援を求められることは必然だからね。


 軍隊を動かせば、人も物もおカネも莫大な支出が発生する。

 他国への侵略戦争なら、略奪や奪った権益で穴埋めも出来るだろう。

 でも、リテルダニア王国は侵略戦争をしない。

 私も侵略戦争は許さないとお母様から釘を刺されている。


 派兵先が国内となれば、得られるものなど無いのが普通だ。

 そりゃあ、派兵先の領地に恩を売ったり、いくらかの利権を得ることは出来るかも知れないけど、短期的には戦費を賄うほどの利益は得られないはずだ。

 だったら支出そのものを減らせば良い。


 タダでは転ばず「次」に繋げれば回収できるはず。

 こちらの経済圏に取り込んで、長期スパンで回収以上の利益を出す。

 現代の地球で行われていた経済システムを導入すれば支出は抑えられるんじゃないかな。


「・・・農地を増やせば食料生産量は増やせます。先ずは領内を豊かにして、余ったものを輸出に回すのですから資金も稼げるはずです。輸送に従事する領民が増えれば、戦時徴用で輜重部隊の不足を埋めることは可能ではないでしょうか」

「輜重部隊に平時は商人をさせておく、ということかしら」

 セリーナお婆様の確認に首を振る。


 私が持ち込みたいのは、物流部門のアウトソーシング。

 ロジスティックシステムの外注だ。

 設備投資―――、近代兵器を開発・購入するのでもなければ、支出に占める割合が一番大きなものは人件費だからね。


「・・・いいえ。商人ではなく、あくまで輸送の仕事です。商人は商品を持って行商するのではなく、商人が買い付けに来て買い取った商品を輸送するだけの仕事にするのです。こちらの商人も同じように相手側の領地で商品を買い付けて、輸送の仕事をする人は荷を運ぶことだけに特化させれば、知識がなくてもおカネがなくても商業に携われます。商品の知識を覚えておカネを蓄えれば、商人として独り立ちする道も見えてくるんじゃないかと」


 有事なんて、そうそう起こるものじゃない。

 有事と平時を較べれば、平時の方が圧倒的に長い。

 普段は自立させておいて必要なときだけ人員を借り上げる。

 これは平時の支出の大きなコストカットになる。

 しかも、領民に仕事を与えて税収を増やし、将来的な領地の発展にも寄与する。


「知識が不要で誰にでも出来る仕事、ということね?」

「・・・はい。商人は多額の現金を持って旅をする必要が無くなりますし、輸送の仕事をする人たちも、現金を持っていなければ不埒者に襲われにくくなるのでは有りませんか?」

 稼いだおカネの中からは税金が取れるし、商人として育って稼ぐ額が大きくなれば税金も増える。

 販路が広がれば増産した食料の現金化が容易になるし戦費の捻出が楽になる。


「不埒者―――、盗賊の類いですか。多少はそういう面も有るでしょうね」

 輸送上の事故はコストの増加になるけど、野菜や干し肉や塩の現物を襲う盗賊がどれだけいるだろうか?

 現物を奪ったところで、現金化するのに手間が掛かって捕まるリスクが増えるのなら、盗賊にしてみれば美味しくない獲物になるのでは無いだろうか。

 美味しくなければ襲わないだろう。



迫る影㉗です。


経済圏構想!?

次回、リース!?

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― 新着の感想 ―
狙われる美味しい干し肉
いや、輸送システムだけでは多額の現金の移動は必要無くなることは無いのでは? 明らかにこちらに多く資金が流入する構想である以上領内では最終的に購入額よりも販売額が増えることになる。 そうなると例え行商方…
屯田兵の近代化版ですね
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