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蒼焔の魔女 ~ 幼女強い 【感謝! 8000万PV・書籍版第3巻発売&コミカライズ、もうすぐです!】  作者: 一 二三


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迫る影 ㉑

 スッとエターナさんたちを指す。

 丁度、エイラさんの盾パンチをエターナさんが受け流したところだ。

 返す刀? 返す盾でエターナさんがお返しし、エイラさんの上体が大きく仰け反る。

 後ろへひっくり返りそうなぐらい仰け反ったのに、エイラさんは一歩も後ろへ下がらないまま耐えた。


「重心の使い方が甘い! 正面から当たらず、ずらしなさい!」

「はいっ!」

 エターナさんの叱責にエイラさんが答えて、驚異的な粘り腰でグッと上体を戻す。

 二人とも足の裏が地面に吸い付いていて、音楽に合わせて踊るサングラスを掛けた花のオモチャみたいな動きをしているように見える。

 とてもじゃないけど、あんなの私には絶対に真似できないよね。


「・・・だってアレ。馬の上であの盾遣いが出来るのかな、って」

「ハッ。それはそうかも」

 ルナリアも気付いてくれたか。

 私が想像するに、あの盾遣いのキモは足腰の強さと上半身の柔軟さなんじゃないかな。


 今、エターナさんが言っていた「重心の使い方」で外部から掛かる力の方向をずらし、衝撃を逃がす。

 傍目に見ていると単純な理屈に見えるけど、盾に遮られた狭い視界であの至近距離だ。

 しかも、身体強化魔法をときどきしか使っていないように見える。

 アレって、とんでもない技術なんじゃないかな。

 不安定な馬上でアレを出来る? 


「・・・騎馬部隊であの盾の大きさは邪魔だろうし、エクラーダ流の強みを無くしちゃいそうに思うんだよね」

「それで相談?」

 私の言いたいことを分かってくれたらしいルナリアがコテリと首を傾げる。


「・・・うん。お母様たちにもお爺様たちにも聞いてみたい」

 何と言っても、このウォーレス領には戦争のトッププロが何人も居る。

 人の命が掛かっているのだから訊かない手は無いし、“下手の考え休むに似たり”で間違いや見落としが有るなら教えて欲しい。

 私の素人分析にセリーナお婆様がエターナさんたちへと目を向ける。


「そう言えばそうね」

 セリーナお婆様は政治的な駆け引きや戦略を練る立場だから、私とは視点が違ったのかな?

 とはいえ、ピーシス領軍の騎馬部隊と混ぜようと考えていた私がミスマッチを起こし掛けただけで、拠点防衛だとか要人護衛だとか別の配置で考えれば優れた技術には違いない。

 これもまた、餅は餅屋。蛇の道は蛇。

 きっと、セリーナお婆様は混ぜる考えをしていなくて私とは想定が違ったのだ。


「・・・シェリアお婆様はどう思いますか?」

「そうですね。確かに騎馬戦闘には向かないかも知れませんね」

 シェリアお婆様が思案顔で頷く。


 シェリアお婆様も混ぜる想定はしていなかったっぽいな。

 「騎馬戦闘には」ってことは、他の運用では活きると判断しているわけだ。

 さっきも「参考になる」って言ってたものね。

 戦い方の違いって、どこから来るんだろうか。


 文化? 環境かな?

 平安時代の「やあやあ我こそは!」っていうのが文化で、戦略や戦術は環境だよね?

 武器や技術の発達も使う場面―――、環境から来るんだと思う。

 環境か・・・。


「・・・エクラーダ王国とは、どういう国土だったのでしょう」

「私たちの王国と同じで海を持たない国です。王国よりも気温が高く、乾燥した気候だと聞きます。国土はそれほど大きくなく、山がちな地形だったはずですよ」

 さすが知識人。

 立てた人差し指を顎先に添えたお婆様は、ほんの少しだけ思い出すようにした後、スラスラと答えてくれた。


 暑くて乾燥した気候と聞くと、日本人感覚だと中東地域みたいな砂漠のイメージをしちゃうなあ。

 何か全体的に土気色な感じで。

 そして、山?


「・・・山ですか。もしかすると、攻城戦や歩兵での野戦が主体で騎馬戦闘は少なかったのかも知れませんね」

「どうして、そう思うのかしら」

 私の推測にお婆様たちが首を傾げる。

 山と聞けば、私はどうしても日本の景色が頭に浮かぶ。


 何だったかの本で、日本で騎馬戦闘が主体にならなかったのは山がちな地形が理由だったと読まなかったっけ?

 対して、広大な平原を持つ大陸国では騎馬戦闘が発達した。

 鎌倉時代に2回も日本海を越えて攻めて来た騎馬系イケイケ大帝国なあの辺のアレな感じのことだよね。

 その批評から察するに、騎馬系民族の強みは自由自在に動ける機動力にこそ有ったんだろう。


 だったら「足」を潰せば良い。

 地形によって行動が制限される状況は、私にとっては非常に有利な環境だよね。

 この場所しか通らないと分かっている獲物なんてワナに掛けてくれと言ってるようなものだし。

 私なら、敵として騎馬部隊と戦うならそう考える。


 体重が重い馬だって山を登れば自慢の脚が鈍る。

 だから、平地が少ない日本では馬の脚を活かせないから騎馬戦闘が主体にはならなかった、と。

 批評を書いた人は、そう言いたかったんだろう。

 私は研究者じゃないし、実際、どうだったか分かんないけどね。


「・・・思い切り馬を走らせる広い戦場じゃなければワナで騎馬部隊を潰せそうですし、そうなると歩兵での戦闘が中心になるのでしょう。でしたら大きな盾を持ったり、城や拠点に籠もった方が有利に戦えそうだな、と」

「なるほど。地形ですか」

 お婆様たちが頷いてくれたことで、私の推論は的外れではなさそうだと確認する。



迫る影㉑です。


地形効果!?

次回、マンパワー!?

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