表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蒼焔の魔女 ~ 幼女強い 【感謝! 8000万PV・書籍版第3巻発売&コミカライズ、もうすぐです!】  作者: 一 二三


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

848/1169

迫る影 ⑲

「・・・それで、この騒ぎは一体?」

 エターナさんたちだけでなく、柵の外側には多くの難民たちが鈴なりになって、熱心にエターナさんたちの模擬戦に見入っている。

 疲れた顔に笑みを浮かべて声援を飛ばしている人たちも、たくさん居る。


 国を守り切れずに敗れたとはいえ、エターナさんたちはエクラーダの民にとって守護者なのだ。

 未だ騎士に対する敬意も憧憬も失われてはいないのだと感じさせられる。

 しかも、私という神輿や安住の地との間を取り持った同胞の代表者だ。

 失意に打ち拉がれる人たちに希望をもたらした同胞なのだから、そりゃあ人気も出るのだろう。


「見ての通りですよ」

「これだけ大きな音をさせていればねえ」

 肩を竦めるシェリアお婆様の後を引き継いでセリーナお婆様も苦笑する。

 お婆様たちの声に被さるように、ガンッ! と、また衝突音が響く。


 オーケー。大体の想像は付いた。

 先に訓練場へ出ていたエターナさんのところへ、食事を摂り終えたエイラさんが合流したと。

 そして2人が模擬戦を始めたことで、音に釣られた難民たちが集まって観戦をし始めたということだろう。

 セリーナお婆様が言う通り、これだけ大きな音を立てていれば人の興味を引くに決まってる。


「・・・ですよねー。済みません」

 エターナさんは部下になるエイラさんとの約束を果たして、エイラさんの力量を見てあげているだけで、騒ぎを起こすつもりは無かったのだ。

 エイラさんを教え導く職務を与えたのはお母様であり、私で、エターナさんに罪は無い。


 決して遊んでいるわけではなく、エターナさんは職務として行っているだけだ。

 ただ、すぐ傍に難民たちがいることを考えて居なかっただけで、難民たちにも騒ぎを起こしている認識は無いのだろう。

 エターナさんたちの行動が職務に服したものならば、その責任は命じた上司の私にある。


「まあ、良いんじゃないかしら」

「そうですね。現役の騎士に力量を見定めてくれて助言をくれるのだから、騎士を目指したい者には良い刺激になるでしょう」

 頭を下げた私にお婆様たちは揃って首を振る。

 シェリアお婆様の目線を追えば、柵の最前列で若い男女だけでなく子供たちまで押し合いへし合いしている。


「・・・あっちの子たちは順番待ちですか?」

 あれって、絶対、エイラさんの後に相手をして貰うつもりだろう。

 わざわざ乗馬訓練場へ場所を移して配慮したエターナさんに、その大勢まで相手をするつもりは無かっただろうし、訓練の音に引き寄せられた周りが勝手に盛り上がっているだけで、これもまたエターナさんに罪は無いと思う。


「頼もしいことですよ。国を追われても立ち上がろうとしているのですから」

「・・・そうですね」

 シェリアお婆様に言葉にも嘘は無いと感じる。


 私の口からも勝手にホッと息が出た。

 私も煽ったけど、煽らなくても難民たちは立ち上がったのだろうと感じさせられる。

 あれ? 待てよ?

 煽った私が責任を感じるのなら、もっと煽っていたエターナさんは自業自得じゃないの?


 だったら、エターナさんは煽りまくった責任を取って、模擬戦希望者の相手をしてあげるべきだな。

 判決、有罪ギルティ

 密かに審判を下している私を他所に、じーっと模擬戦を見つめていたルナリアが口を開く。


「エターナって強いの?」

「結構強いと思いますよ。あの盾の使い方は特に参考になります」

 シェリアお婆様が褒めるってことは、本当に結構強いんだな。

 シェリアお婆様はお母様のお師匠様の一人だというし。

 エゼリアさんたちもシェリアお婆様に鍛えられたと言っていたはずだ。


「盾を重視するエクラーダの剣術は後退しないとは聞いていたけれど、本当に一歩も後退しないのね」

「へぇー・・・」

 お婆様の言葉にルナリアの興味がさらに深まったのは、目の輝きを見れば明らかだ。

 セリーナお婆様も感心するぐらいだから、本当にそうなのだろう。


 セリーナお婆様の旦那様はハインズお爺様だし、騎士団長さんの実家のお嬢様だったのだから、目は肥えているはずだ。

 お婆様の説明に模擬戦を見るルナリアの目にも熱が籠もってきている。

 私の目もエターナさんたちへと向く。


「・・・後ろに下がらない、か」

 確かにお母様とエゼリアさんたちの模擬戦とは、ずいぶんと違うように見える。

 お母様たちの模擬戦はスピードとパワーがぶつかり合う感じだったけど、エターナさんたちの模擬戦に派手な動きは無い。


 どっしりと低く腰を落として向かい合った両者が肩から肘の長さまでの距離で足を止めて、相手の体勢を崩そうと火花が散る勢いで盾をぶつけ合っている。

 互いの膝が当たるぐらいのギリギリまで間合いを潰して、ほとんど盾での殴り合い。

 それでいて、盾の脇や上から木剣で突き合うのだから、1メートルも間合いが無い超近接戦闘というか、まさに白兵戦って感じだ。


 何て言えば良いんだろ?

 エターナさんを100人並べて密集陣形を取らせれば、ファランクスが出来上がりそうな感じ?

 いや。古代ローマのレギオンかな。



迫る影⑲です。


有罪!?

次回、強み!?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
いつも楽しく読んでます! エターナさんの部隊用に、いつか強力な盾とか発明したりして! 色んなものがこれからも見つかるだろうし! 盾がメインなら強化は必要だしね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ