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蒼焔の魔女 ~ 幼女強い 【感謝! 8000万PV・書籍版第3巻発売&コミカライズ、もうすぐです!】  作者: 一 二三


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精霊種 ㉚

「・・・そこで、レイクスさんに相談です」

「僕?」

 そうそう。あなただよ。

 キョトンとしたレイクスさんが指先で自分を指して首を傾げている。


「・・・魔力を通すだけで攻撃の術式を発射できる魔法道具を、底無しの体内魔力が有る100人が持ってズラッと並んだとしましょう。そんなところへ敵兵が突撃してくるとどうなるでしょうか」

 今、練習中の魔石使用法とは、まるで違う質問をぶつけられたレイクスさんは、自分を指していた指先をそのまま顎先に当てて思案顔になる。


「んー・・・。死屍累々、血の雨が降るだろうね」

「ほーん。魔法の掃射。“弾幕”か」

 またテツさんが地球の知識を口にするけど今回はセーフだ。


 恐らくだけど、今、テツさんの頭の中では戦争映画のワンシーンに有るような、防衛陣地から敵兵の突撃を機関銃で薙ぎ払っているような仮想シーンが再生されているんだろう。

 弓矢が遠距離攻撃手段の時代だと“矢ぶすま”の方が適切な表現だと思うけど、私も“弾幕”って考えてたからね。

 私はレイクスさんに新兵器開発を依頼したいんだよ。


「だんまく、って何?」

「“弾”ってのは、矢とか礫とか飛んで来るものだな。“幕”ってのはデカい布のことだ。たくさんの矢や礫が視界一面に飛んで来る様子を“弾幕”っていうんだ」

 単語の意味を問うレイクスさんにテツさんが答えると、その情景をイメージ出来たらしいレイクスさんが私へ視線を向けてくる。


「それを魔法道具でやるって?」

「・・・出来たら良いな、と」

「ふぅん。面白いね」

 おや。嫌な顔をされるのかと心配していたけど、意外なほど前向きっぽい反応だね。

 採掘場の狭い空を見上げて難しい顔をしていたロブウッドさんも想像できた様子で、難しい顔のままレイクスさんへと目を向ける。


「ちょっと待った。術式の構築には時間が掛かるだろう。1発撃って次の術式を撃つ前に乱戦になるんじゃねえのか?」

「前後2列にして交互に撃てば時間は半分だぜ? 3列にすれば3分の1だ」

 ”3段撃ち”かな?

 こっちの世界の常識なのだろうロブウッドさんのツッコミに、テツさんが“長篠の戦い”みたいな反論をする。


「む。容易に短縮できるんだな」

「決まった距離、決まった威力で、決まった術式を撃つだけなら、術式の構築に時間は掛からないよ。むしろ、そういう融通が利かない機能の方が刻印術式の得意分野だしね」

 簡単に黙らされたロブウッドさんを宥めるように、レイクスさんが魔法道具の利点を述べた。

 一方的に黙らされたままでは終わらないロブウッドさんもまた、反論を試みる。


「でもよ。だったら体内の魔素がどうとか言わず、純粋な魔法道具として作った方が良いんじゃねえか?」

「何でだ?」

 意図を測りかねたらしいテツさんが首を傾げた。

 思ってもみない妙案が生まれる可能性も有るから私もその論拠を訊きたいな。

 ロブウッドさんはレイクスさんに目を向ける。


「魔法道具ってのは誰でも使えるのが売りなんだろ?」

「テツ以外は、だね」

 コクリと頷き返しながらレイクスさんは真逆の答えを口にした。


「・・・なんでテツさん?」

「テツは魔素の放出が出来なくて魔法道具を使えないんだよ」

 放出が出来ない?


 レイクスさんの答えを聞きながら頭の中で王都での起動実験を思い出す。

 魔法道具の起動にはスイッチ部分に魔力を流す必要が有った。

 でも、魔力の消費量は消耗が感じ取れないほど少なかったはずだ。


 具体的には、指先に小さな火を灯す“火”の術式と変わらない程度かな。

 まだまだ体内保有魔力量が少なくて、ルナリアに教わって初めて魔法を使ったときには術式の構築も下手クソだったけど、慣れてしまえば魔力の効率が上がって消費量なんて感じ取れないほど少なくなった。

 もう、本当に少量だよ?


「・・・全く出来ないんですか?」

「魔法道具を起動するために必要な魔素なんて、ほんの僅かなのにね」

 レイクスさんが深々と頷く。


 マジかー。なんで? それ。

 テツさんの体内保有魔力量はアクティブソナーを使うまでもなく膨大なものだと感じ取れている。

 ルナリアや私どころか、お母様よりも多い感じがするぐらいなんだよ?

 それほどの魔力が1人の人間の中に詰まっているんだから、針の先ほどの穴でも空けば水鉄砲みたいにピューッと噴き出しそうなものだけど。


「・・・そこまでですか」

「俺はブン殴った方が早えからなあ」

 私たちが呆れていると、どうってこともなさそうにテツさんが肩を竦めた。

 何言ってんの。この人。


「・・・だからって1人で突撃するの? テツさんが邪魔になって他の人が魔法を撃てなくなるじゃん」

「あ~。集団戦でそいつは拙いな」

 指摘を返せば、テツさんが苦笑する。

 仕方ないね。


「・・・まあ、私が教えますから、最低限の魔法が使える程度にまでは、してみせます」

「お願いするよ。テツが必要としている魔法道具を作るのに、肝心のテツが使えないんじゃ話にならないから」

 それも有ったね。


 レイクスさんの言う通りだ。

 実際に戦争が起こるまでテツさんがこっちの世界に居るかどうかは分からないけど、テツさん自身がレイクスさんに開発を依頼した魔法道具をテツさん自身が使えないのでは行動に制限が掛かるだろう。


 テツさんは平気でも、テツさんと行動を共にするのだろうケイナちゃん1人に負担が掛かる。

 そんなの許さないからね?

 ロブウッドさんが改めてテツさんとレイクスさんの顔を見比べる。



精霊種㉚です。


ブートキャンプのフラグ!?

次回、軍事大国!?

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