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蒼焔の魔女 ~ 幼女強い 【感謝! 8000万PV・書籍版第3巻発売&コミカライズ、もうすぐです!】  作者: 一 二三


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精霊種 ⑱

「おう。悪い悪い。“湧き直す”って意味だ」

「“わく”というのは、“虫が湧く”だとか、そういう意味と同じですか?」

 日本語教室かな?

 “リポップ”ってゲーム用語か何かじゃなかったかな。

 ケイナちゃんの質問に、テツさんが説明を加えるついでに爆弾らしきものを投下する。


「そうそう。例の死霊系ダンジョンでも、狩ってしばらくすると幽霊が沸いてたろ」

「そうだったんですか!?」

 “死霊無線”の幽霊を捕まえたときのことか、迷宮で何か有ったっぽいね。

 ケイナちゃんを筆頭にテツさん以外が目を剥いて、レイクスさんが呆れたように首を振っている。


「それが分かるのってテツだけじゃない? 僕も障害物越しだと視えないし」

「それもそうだな―――、ああ、いや。フィオレの嬢ちゃんも分かるんじゃね」

「ああ。確かに」

 テツさんが提起した推測にレイクスさんが同意して、2人して私へ目を向けてくる。


「・・・私?」

「障害物が有って見えていない場所でも、嬢ちゃんなら迷宮内で魔物の数が増えれば分かるんじゃねえの?」

 それ、幽霊の話だよね? 


「うんうん。魔素の反応が分かるって言ってたよね」

「・・・アクティブソナーでですか。幽霊が強い魔物なら分かるでしょうね」

 推測で答えれば、2人揃って首を傾げられた。


「条件付きなのか?」

「・・・迷宮って魔力が満ちていて探知しにくいんだよ。むしろ、“勘”の方が探知しやすいんじゃないかな」

 渡河地点での感覚を信じるなら、私に分かるのは「何か居そう」って程度だと思うよ。


「煙幕の中の敵を探すようなもんか。そりゃあ危険物センサーの方が向いていそうだな」

「・・・そんな感じ。私も渡河地点の迷宮しか知らないから、迷宮がどんなものか明確に理解しているわけじゃないし」

「そういうもんか」

 テツさんとレイクスさんは納得してくれたけど、ケイナちゃんは思案顔で首を傾げたままだ。

 今度は何かと身構えていたら、ケイナちゃんが視線を向けてくる。


「この場所が迷宮だとして、バイコーンが湧き続けるということは、ずっと狩り続けられるということですか?」

「・・・そう! それだよ!」

 私がレイクスさんに訊きたかったのは、まさにそのこと!

 期待していたよりも役に立たなかったけど!

 ビシッと指されて目を丸くしているケイナちゃんに補足する。


「・・・バイコーンの出荷作業は決まった手順が確立されてるからね。領軍も領民も順に作業して貰ってるんだよ」

「あの肉、食えるのか?」

 迷宮の疑い有り、と聞いたからか、テツさんが心配そうに囲いの底を覗き込む。

 迷宮産だとしても、お肉はお肉じゃん。


「・・・食べられるに決まってるじゃん。内戦中には加工したお肉を戦地へ大量に送ることで敵の食料買い占め工作を無効化したよ。どんどんお肉が獲れるから領内ではお肉が安く食べられるし、内戦後も余剰分は干し肉に加工して国内への輸出に回してる。輸出分は領外へ持ち出すときにしっかりと税金を取ってるから、ウォーレス領はものすごく儲かってるんだよ」

 採掘場の有用性を訴えていると、みんなの表情に理解の色が広がっていく。


「へぇ。永久に枯れることのない、“肉が湧き出る泉”ってわけだ」

「迷宮って儲かるんだねぇ」

 テツさんとレイクスさんの感想に深く頷き返す。


 お肉だけじゃないけどね。

 岩塩も有るから儲かっているんだし。

 そこに新たなラインナップが加わる予定なんだよ。


「・・・だから、新しい迷宮で採れる砂糖にも、ものすごく期待してる」

「迷宮、様々だな」

 シカ肉のイメージには自分の中で折り合いを付けたらしいテツさんの認識に、誤解が無いように修正を加える。


「・・・あくまで、収益の柱の1つでしかないけどね。ウォーレス領は、元々、軍馬の名産地だったし、領内に鉄鉱山も持ってる。」

「そこへ岩塩と鹿肉と砂糖の輸出が加わったのか。そりゃあ隣国が攻めてくるわけだな」

 そうそう。面倒くさいし腹立たしいけど、欲深い隣国が涎を垂らして攻めて来るだけの価値がウォーレス領には有る。

 これからもっと価値を高めるんだけどね。


「そんなに儲けてどうするの? 1ヶ所に富が集中すれば、別の問題も起こりそうだけど」

「・・・王国全体を守る軍備を整えようにも、こんなものでは、まだまだ足りませんよ。でも、だからこそ治癒魔法術師や騎士を育てる学校を作るんです」

 私の答えに思案顔のテツさんが宙を見上げる。


「儲けた利益を学校への投資に回す・・・? 領外からも人を受け入れることで、貸しを作って黙らせるってことか?」

「・・・そういうことです」

 理解が早くて助かるよ。

 感心したようにレイクスさんが息を吐いた。


「国王もよく黙っているものだと思ったけど、関係は悪くないみたいだね」

「・・・エゼリアさん―――、お母様の妹が、近くドネルクさんの奥さんになるんですよ。ドネルクさんは王妃様のお兄さんだから、元々、親戚だったウォーレス家と王家の距離は、さらに近くなります。ルナリアとテレサ―――、第三王女殿下は再従姉妹ですしね」

 レイクスさんの理解にも補足情報を加える。


 元々は望んでの政略結婚ではなかったけど、受け入れてしまえばご当人たちが乗り気だし、色々と揉めた結果としては想像以上に丸く収まっている。

 レイクスさんは納得顔だけど、テツさんはまだ納得していないのかな? 



精霊種⑱です。


肉が湧き出る泉!?

次回、縁!?

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