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蒼焔の魔女 ~ 幼女強い 【感謝! 8000万PV・書籍版第3巻発売&コミカライズ、もうすぐです!】  作者: 一 二三


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精霊魔法というもの ③

「来ると良い、ねぇ」

「・・・念のために言っておくけど、“来い”ってことだよ? 取って食ったりしないから、大丈夫大丈夫」

 封建制ではない現代日本人的な感覚で言えば、お母様の物言いは校舎裏への呼び出しみたいに高圧的なものに見えるかも知れないから、誤解を与えないようにフォローを試みる。


 いや。フォローするのはムリだな。

 貴族って高圧的なものだし、実際、お母様は偉い人だし、そういうものだと納得して貰うしかない。

 反発されるかと心配したけど、テツさんは小さく肩を竦めただけだった。


「だろうな。って、熊まで運んでくれるのか?」

「・・・心配しなくても横取りしたりしないよ?」

 広げた魔力の手で熊とシカをワッシと鷲掴みにして持ち上げる。

 大型ワンボックス車並みの巨体が2つ宙に浮いてるんだから、シュールな光景だよね。

 微妙そうな表情で熊を見上げてテツさんは小さく溜息を吐いた。


「そういうつもりで言ったんじゃねえんだが。まあ、良いか」

「・・・あ。でも、血抜きのときに熊の血は飲ませて欲しいかな」

「あっ。わたしも!」

 怒りに任せてビンタしただけだけど、一応は私も戦ったんだから廃棄する血の一口ぐらいは飲ませて欲しいな、と主張してみれば、ルナリアもシュッと手を挙げて主張する。


「「「「「えっ?」」」」」

「「えっ?」」

 ターバンの人たちから驚きの声が上がって、私たちも驚く。

 表情に嫌悪感が見えないところから察するに、血を飲む行為に驚いてるって雰囲気じゃないね。

 なら、何に驚いてるんだろう?


「獲物の血を飲むのか?」

「・・・テツさんも飲んでみると良いですよ?」

 すでに十分すぎるほど強いけど、テツさんも冒険者なんだから強くなった方が良いだろうと提案してみれば、困惑してるっぽい仕草でテツさんは頭を掻く。


「ああ、うん。そのつもりでは居たんだが」

「・・・へっ? そうなの?」

 おや。意外。テツさんは血の効果を知ってるっぽいね。


 どこから情報を得たんだろう?

 カレリーヌ様や宰相さんのように間諜を使っている耳の早い貴族家なら、血を飲むことで体内保有魔力量が増えるという情報を得ているだろうけど、市井に情報が広まるには早い気がする。


 じゃあ、テツさんたちがどこかの貴族家の息が掛かった人たちなのかと言えば、そんな人たちとドネルクさんが懇意に―――、というか、癒着に近い関係を持つのかと言えば、あのカレリーヌ様の直孫であるドネルクさんがそんなに脇の甘い人だとは思わない。


 王都の騎士団長だったドネルクさんはウォーレス家からの信頼が篤い人だし、ドネルクさんの耳にはお母様たちから情報が入っていただろう―――、ていうか、実際にドネルクさんは知ってたけど、ドネルクさんがテツさんたちに血の件で助言するのかと言えば、それは無さそうに思う。


 だって、ドネルクさんは王家に近い立場で王様の治世を守護する立ち位置なんだから、優先順位的に王都騎士団の強化が先に来るはずだもの。

 その優先順位は王様たちも同じだろうし、テツさんたちは全く別のルートから情報を得た可能性が高いんじゃないだろうか。


「わたしたちの他にも飲んでる人がいたのね」

「・・・一般的ではないけどね」

 ルナリアの感想に頷き返していると、テツさんも首を傾げて私を見ている。


「情報交換したいもんだな」

「・・・そうだね。私もドネルクさんから頼まれてることが有るから、話したいかな」

 テツさんから情報交換を申し出てくるってことは、独自ルートかな?

 それはそれで、どこからどうなって血を飲む結論に至ったのかその経緯に興味が有るし、独自ルートってことは独自に得ている情報が有るかも知れない。


 何より、テツさんはどこからどう見ても日本人だ。

 実際に話してみて間違い無く現代日本人―――、勇者だと確信した。

 私が勇者だと疑うぐらいなんだから、ドネルクさんが疑いを抱かなかったはずがない。


 王様だってそうだろう。

 王様の耳に入っているなら、当然、宰相さんの耳にも入っているはずだ。

 そのドネルクさんたちが答えを出せずに、私たちに“テツさんたちと会え”と依頼してきたんだから、よほどの理由が有るはず。


 まあ、ある程度の予想は付くよ?

 テツさんが本当に勇者だとするなら神教会絡み―――、外交的な地雷になり兼ねない存在をどう遇すれば良いのか決め兼ねたんじゃないかな。

 だから、王国を代表する知恵者のお母様や、イレギュラーな事態への対応力を見せた私たちの意見を聞きたいのだろうね。


 ドネルクさんと王様が“知恵を貸して欲しい”なんて頭を下げてくるほどの「問題」なんて、他に思い付かないし。

 そんなわけで、テツさんたちにも自覚を持って貰うために「問題」の存在を明らかにした。

 私の目をじっと見てテツさんが片眉を上げる。


「頼まれてるってのは?」

「・・・テツさんたちとの付き合い方・・・になるのかな?」

「付き合い方ねぇ?」

 テツさんがニヤリと口角を引き上げた。



精霊魔法というもの③です。


外交的な地雷!?

次回、曲者!?

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― 新着の感想 ―
「来ると良い」って言うのは「来い」って事だよ? 誤解を解くどころか余計高圧的になってません?
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