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蒼焔の魔女 ~ 幼女強い 【感謝! 8000万PV・書籍版第3巻発売&コミカライズ、もうすぐです!】  作者: 一 二三


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エンカウント! ⑳

 ネイアさんとオーリアちゃんが牽いてきてくれていたルナリアと私の馬を受け取って、鞍へよじ登ったところへピョンと跳び上がってきたノーアを受け止めて私の前へ座らせる。

 ノーアがルナリアの馬に乗るか私の馬に乗るかはその日の気分によるらしい。

 お母様の馬はマキアナさんが牽いてきているから、手綱を受け取ったお母様もヒラリと鞍に跨がる。


「先導します」

「おう」

 兵士さんから受け取った馬に跨がるマリッドさんが馬首を巡らし、マリッドさんに続いてお母様も馬の腹を鐙でトンと軽く蹴る。

 私たちも“1号”を置き去りに、マリッドさんの先導に従って町の中へと向かう。


 見物に集まっていた群衆はお行儀良く路上を空けているから、追い散らかすまでもなく馬列の通行に問題は無い。

 人のざわめきと蹄の音をBGMに揺られながら景色を眺める。

 瓦礫は綺麗に片付けられているけど、未だ城壁の有るべき場所に城門はない。


 制圧戦のとき、私たちは町に入らず城壁外を迂回したから、ここの城門跡を通るのは王都からの帰路に通ったとき以来、2度目だね。

 どうせ町を再開発して整理し直す予定だからって、元の城門や城壁は補修していなかったんだよ。

 森から魔獣は迷い出してくれば町中に入り込まれることになるけど、魔獣の侵入なんてそう頻繁に起こることじゃないからね。


 後で聞いた話だと、普通に考えて街中の民家が獣害に遭うよりも城壁外の農地が被害に遭う方が先だと分かっているから、そのうち城壁を直してくれるだろう、というか、補修工事に労役で動員されるのは喜ばしいことじゃないから住民も苦情を申し立ててくることはなかったっぽい。

 私の常識では無償で領民を働かせるなんて考えられないことなんだけど、前領主は労働力の対価を領民に支払うことがなかったんだろうね。


「・・・ふーん。旧ムーアの町よりは先進的かな?」

「にゃ?」

 私の独り言に反応したノーアが真後ろに座っている私を見上げてくる。


「・・・うん? ああ。レティアの町と違って、この町は木で出来た家が多いなぁって考えてたんだよ」

「にゃ」

 私の指摘に町の景色に目を向け直したノーアの頭をヨシヨシしておく。

 レティアの町では戦火に耐えられるようにと、通りに面した全ての建物が石造りの3階建てなんだけど、“融和派”領地だったこっちの町では「戦火に耐える」という発想がそもそも無かったんだよ。


 外敵に攻め込ませるつもりなんて無いから、このままでも構わないんだけどね。

 今までは領民の教育も遅れていただろうけど、魔法術師が増えればこの町も土魔法を使った石造りの町並みに変わっていくんだろう。

 町の中心らしい大通りの交差点の手前で、従者の人たちを引き連れたバルトロイさんが馬の脚を早めて並び掛けてくる。


「では、また近い内にな」

「・・・あっ。ハイ」

「お気を付けて!」

「にゃっ」

 声を掛けてきたバルトロイさんたちと簡単に別れの挨拶を交わすと、速度を上げて追い抜いていったバルトロイさんたちはお母様たちとも軽く手を挙げ合って大通りを直進していく。


 すでにアンリカさんとの別れの挨拶を終えているバルトロイさんは、街を素通りして旧ムーア領へと向かうからね。

 領主館へと向かう私たちは大通りの角を左折して、バルトロイさんたちの馬列と分岐する。

 王都へ向かうピーシスガードもドネルクさんが書く王宮宛の手紙待ちだから、一旦、私たちと一緒に領主館へ向かう。


 いくらも行かない内に通りの突き当たりに見えてきた大きな邸宅が領主館なのだろう。

 門柱だけが残ってるけど門扉がないね。

 領主館の敷地を示すように設置されている金属製の柵は金メッキされているのか、ギラギラと朝日を反射して私の目の奥を突き刺してくる。


「・・・やっぱり、こんな感じだったかー」

「姉様。目が痛い」

「・・・だよねー」

 本当に目が痛そうにしているノーアをヨシヨシしつつ門柱の間を抜けると、踏み散らされ荒れ果てた庭園の植え込みに拉げた門扉らしき金属製の大きな格子が突き刺さっている。


 制圧戦で領主館を落としたときは、ハインズお爺様が先頭を切って突入したと聞いたから、アレはお爺様の仕業だろうね。

 暴走トラックにでも撥ね飛ばされたような拉げ方だから、あの悪趣味な金ピカの門扉が再設置されることはないはずだ。

 集まってきた兵士さんの1人が轡を取ってくれたので、私が先に鞍から下りて、鞍から飛び降りてきたノーアを抱き留める。


 ドネルクさんやエゼリアさんたちも続々と到着して馬から下りている。

 ルナリアも合流して馬たちがどこへ牽いて行かれるのかと眺めていたら、庭園の芝生エリアに打ち込まれた木柵に手綱を繋がれて、足下に植えられている草花の芽を食み始めた。


「・・・はー。道理で庭が荒れているわけだ」

 この領主館は戦時徴発された占領地の前線本部みたいなものだからね。

 無駄におカネや労力を浪費するだけの庭園なんて領軍には無用なものだし、馬の飼い葉も兼ねて有効活用したんだろう。

 庭木や花壇が不要なものだとまでは言わないけど、私なら食用になる作物を植えるだろうし、マリッドさんたちの有効活用を咎める気はないよ。


「フィオレ!」

「・・・はーい!」

 ルナリアとノーアを連れてお母様たちの下へと急ぐ。


 マリッドさんの先導でゴテゴテと飾り立てられた領主館の中へ踏み入る。

 1階の廊下を進んで観音開きの扉が付いた部屋へ入ると食堂のようだった。

 どうやら本来の用途とは違って会議室として使われているみたいだね。



エンカウント!⑳です。


金ピカ屋敷!

次回、次回こそ作戦!?

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