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蒼焔の魔女 ~ 幼女強い 【感謝! 8000万PV・書籍版第3巻発売&コミカライズ、もうすぐです!】  作者: 一 二三


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第2次領有宣言 ㉑

「2人とも気を付けて行くのだぞ」

「うむ。ガルダの襲撃を受けたときは直ぐに撤退して構わんのだからな」

「無事に帰ることを最優先になさい」

「温かいお茶を用意して待っていますからね」

「・・・はい」

 お爺様たちとお婆様たちが口々に心配する言葉をくれて、素直に頷き返す。


 上空は風が強いのなら、きっと寒かろう、ということでお母様も私も膝下まで隠れる外套を着せられた。

 今朝の航空偵察任務は敵支配地域へ侵入する強行偵察みたいなものだけど、防空兵器で迎え撃たれるわけでもないし、ガルダに追われたとしても逃げ切れる自信は有るからね。

 私に気負いはない。

 認識の一致を見たところで出発か、と思いきや、お母様が首を振る。


「いいや。初手から“白焔”と“蒼焔”をブチかませばどうなるのかを確かめたい。襲撃を受けたときは迎え撃つぞ」

「・・・えっ? あ。ハイ」

 お母様からの正反対の指示に脊椎反射で返事を返すとお父様に首を振られた。


「君ら2人だけなんだぞ。あまり無茶はしないでくれ」

「む。どうなるかの経過を見るだけだ。無茶はしない」

「・・・ま、まあ、適宜判断ってことで」

 お父様の心配顔にお母様が譲る姿勢を見せたので、2人の間に日本産の玉虫を差し込んで決着を図る。


 くだらないことで夫婦ゲンカに発展された方が、2人の子供である私たちは困るからね。

 お母様としては、“白焔”の使用を制限された縛りプレイで感じていたフラストレーションを解消したかったのかも知れないけど、リスクを増やしてまで解消する必要はないだろう。


「ヨシ。行くぞ」

「・・・うん」

 背中側から脇の下にお母様の腕が差し込まれ、ヒョイと抱き上げられた私の両足がブランと宙に浮く。

 まあ、私が伸びた猫みたいになるのはいつものことだ。


 それは良いんだけど、この体勢ってお母様の大きな胸にムギュッと後頭部を押されて、私が強制的に真下を向かされるんだよね。

 どのみち上空から地上を見下ろすのだから、問題ないのか?

 いや。ずっと下を向かされていると私の首が痛くなりそうなんだから、問題、大有りじゃん。


 飛行体勢を取ってから調整するか。

 魔力の手でお母様の腰骨の辺りからお尻を包み込んで私の腰と一纏めに固定する。

 魔力の「足」を6つ地面に突いて少し伸ばせば、私ごとお母様の両足も地面から離れて体が宙に浮く。


「・・・どんな感じ?」

「馬よりも安定しているぞ」

「・・・そりゃどうも」

 馬は4つ足だけど今の私は6つ足だからね?

 いやいや。そうじゃなくって。


「・・・描き取るのには問題無さそう?」

「ちょっと待て」

 待機を命じたお母様にトリアさんから画板が手渡される。


 昨夜、どう作業したものかと話題が出て、画板にインク壺を兼ねたペン立てを取り付けたらどうかと提案したんだよ。

 そうして領主館の手先が器用な誰かがチョイチョイと作り上げたのが、この画板。

 A3サイズほどの板に紙が貼り付けてあって、画板の両端に紐が取り付けてあるから取り落とさないよう首に掛けられる。


 画板の上端には本当に鉛筆キャップのような形のペン立てが生えていて、あのペン立ての中にインクが注がれているんだろう。

 口頭で提案しただけなのにイメージ通りに作り上げる工作スキルが何気に凄いよね。

 などと油断していたらコツンと私の後頭部に画板が乗っけられた。


「む。頭が邪魔になるな」

「・・・これでどう?」

 邪魔だからと”獰猛くん”みたいに頭を撤去するわけには行かないから私が体を前傾させると、斜めになった私の腰骨の上にお母様が跨がる感じになる。

 馬に跨がるのと違って鐙がないから踏ん張れないよね。


 お母様は両手を放してスケッチ作業をすることになるから、安定性を増すためには小細工が必要かな?

 遊園地の空中ブランコみたいに背もたれが有れば、両足がブラブラしていても平気だろうか。

 お母様の背中の後ろまで固定範囲を伸ばせば、スッポリと体が収まる椅子のようになったはずだ。

 体幹が安定したようで、具合を確かめるようにお母様が両足をブラブラさせる。


「おう。問題無さそうだ」

「・・・んじゃ、行くよー」

 6つの「足」を同時に伸ばせば音も無く垂直上昇したように見えるのだろう。

 見慣れてきた人も増えたはずなんだけど、護衛に就いている領軍の間から大きな響めきが上がった。


 ヤジロベエと同じで、支点である接地面から離れて高度が上がるほど前後左右が不安定になる。

 自転車と同じで、運動エネルギーが加わって移動している方が安定するから「足」を前へ踏み出す。

 川面を渡ってきて髪を嬲っていた江風(かわかぜ)の向きが、前方からのものに変わる。


「・・・もっと高度が高い方が良い?」

「そうだな。全景で捉えるならもっと高い視点の方が描き取りやすい」

「・・・りょーかーい」

 グーンと「足」を伸ばせば高度が上がる。


 エレベーターのような上昇感と共に吹き付ける風が強くなる。

 今、どのぐらいの高さだろうね?

 ふと気になっただけなんだけど、高度計のような便利グッズは存在しない。


 比較対照できるものが無いかと周囲の景色を見回してみれば、森の木々を挟んだ向こうにピョコッと四角いものが樹上に飛び出しているのが見える。

 あれは慰霊碑の天辺だよね。

 その横に質感の違うものが突き出しているように見えるのは“獰猛くん1号”の両腕かな? 



第2次領有宣言㉑です。


出撃!

次回、技術!?

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― 新着の感想 ―
絵にするとかなり凄いポーズしてる
多分これ見た目は凄くシュールだな
二人乗り獰猛くん3号を作る方が楽なのでは?
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