サリナと特訓
その後というものの、俺はクラスの皆に近所迷惑になるのかというほど騒ぎ立てられたが、生憎と、Eクラスの近くには他のクラスは存在せず、隅の方だったため被害は出なかった。まぁ要するに1年棟の隅っこの空き部屋ってワケだ。
そして俺はクラスに張り出されている序列表に目を向ける。うん、しっかり俺は最下位で、ローゼンは1位だな。これでいいんだ。
そのまま俺は無言で温かい目をクラスに向ける。その後もパーティーは続き、午前の授業は無くなった。
時間はだいたいお昼休み頃。俺はいつものようにサリナと校舎裏の花壇前のベンチに腰掛ける。
「なぁサリナ、最近どこか体の調子が悪いとかないか?ほら、俺がこの前お前を書き換えちゃったじゃん。」
「ううん、特に変わったことはないかな~、あっでも最近自分が思うようにこのアルフから貰った銃を使えるようになったよ!!見てて!!」
そう言ってサリナはベンチから立ち上がって腰につけているガンホルダーから拳銃を取り出し、近くの木にAIMを合わせ、1発打ち抜く。
パァン!!
サリナが狙ったところに弾は従順に飛び、見事木にヒットする。かかった時間はわずか5秒にも満たない。かなり腕を上げたようだ。俺はただ単純に感動して手を叩く。
「えへへ~、私上手くなったかな~?」
「あぁ、前は構えに不安定さが混じっていたが、今見たのはちゃんとしっかり構えてターゲットを狙えていた。すげぇよ、かなり上達したな!!」
「そ、そうかなぁ~?えへへ~。じゃあ今度は剣と組み合わせて使えるようにしないとね!!アルフ、教えて!!」
「おうよ!!まずはな...『program』...そこにオークを3体生成。」
『視点情報から座標を指定、x=274594.027067 y=457809.263726 z=000003.008179 g=56.213kを代入完了...追加項目を適用。数の項目に3を代入完了』
俺がそう言い放つと目の前にオークが3体生成された。奴らは獰猛としたオーラを発している。その状況を見てサリナは息を飲んだ。
「さぁ、まずはテキトーにこの3体を殺ってみてくれ。じゃあ、始めッ!!」
俺が声高らかにそういうとサリナは鞘からシュラちゃんを、ガンホルダーから拳銃を取り出しまずは拳銃で一体のオークにAIMを合わせ、1発。
パァン!!
するとオークは手に持っていた片手剣で弾丸を斬る。サリナは自身の弾丸が斬られたことに理解が出来ず、俺の方を青ざめた顔でこちらを見てくる。俺はそこで一つアドバイスを入れる。
「いいかサリナ。万能手はな、どちらか片方の武器をただ単に使うんじゃなくて、両方の武器をセットで使うんだ。例えば...そうだ、剣で先に敵に牽制を仕掛けて、敵のガードを取ってる隙に銃でキルを狙うとかな。...まぁいい、取り敢えずやってみろ。」
「う、うん!!」
サリナは少し不安気味に俺に了解の意味のレスポンスをすると、俺の言ったことを完全に模倣するように、
「はぁあああ!!」
しっかりとシュラちゃんを敵に当て、敵が剣でガードしているうちに、片方の左手に拳銃を構え、1発。
パァン!!
サリナの撃ち込んだ弾丸は見事オークの心臓部分を打ち抜き、血を吹き出した1体のオークが倒れこむ。その光景を見ていた2体のオークがコンビネーションを組んで攻撃を仕掛けてくるが、サリナはシュラちゃんで1凪ぎで2体分の敵の隙を作り、左手に握られている銃を右から左へ流すように動かし2発。
パンパァン!!
サリナの撃った2発の弾丸は的確に2体のオークの頭に見事、ヘッドショットが入る。脳天を打ち抜かれた2匹のオークもその場に倒れこみ、そこに血だまりができる。サリナは、シュラちゃんと拳銃を鞘とガンホルスターにそれぞれしまい、ニコニコとした笑顔で俺に向かってくる。
「できたよアルフ!!、私しっかりできてたでしょ?」
「おう!!しっかりっていうどころか自分で応用までできてて俺はすげえと思ったくらいだ!!そんだけできていれば、敵無しだな!!」
「えへへ、っていうかあのオークの防御力ちょっと高くない?私のシュラちゃんでも斬れなかったんだけど...」
「あぁ、そうだな。あのオークは俺がサリナ用に強化したものだ。サリナの攻撃をあのオークが防げたのも防御値8桁くらい底上げしていたからなんだよな。そうでもしないとサリナの一撃で全部土に還っちまうからな。ま、でも万能手の練習にはぴったりだろ?」
「ちゃんと私の事考えてくれてたんだ...ありがとっアルフ!!」
そう言ってサリナが俺に飛びついてくる。俺の心臓の鼓動のペースが速まっているのがバレてしまう...
俺がそんな風にのんけていると、ずしゃッと校舎の角から数人の人影が倒れてきた。耳を澄ますと会話も聞こえてくる。
「あいたたたた...ちょっと何をするんですかシャロン!!」
「何をするも、こんなところで覗き見する会長のほうがおかしいんでしょ!?」
「こら、静かにしなさい2人とも、アルフ様にバレてしまいますよ?」
「そんなこと言ってるローゼンが一番覗こうと必死になってるじゃない!?」
「しー!!会長興奮しすぎ、彼らにバレてしまいますよ?ほら、バレないうちに帰りましょう」
「ハーマン先輩ッ!!何が何でも学ぼうとノートとビデオカメラまで持ってきてその言い草はヤバいですよ!!」
「何を言っているんだ君たちは、僕はただ単にオマケ程度に何か見れないかと、思っているだけだ!!」
「ハーマン、その言動とその装備がおかしいって言ってんのよ!!じゃあ何で貴方はEクラスにきたのよ!?」
俺とサリナはお互い顔を合わせて、深いため息をついた。




