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悪魔っ娘ライフの楽しみ方  作者: 久条 巧


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20/44

その18・仁義なき戦い

 さて。

 ここ最近の城塞都市ワルプルギスは、どの商会がヒト族交易許可証を手に入れるのかという話題で盛り上がっている。

 筆頭候補は、やはり長年王室御用達を行なっていたイスュタル商会。

 続いてライオネル商会が有力であると言う噂が流れ、そのすこーし下にカナン商会の名前が上がる。

 ここ数ヶ月の急成長ぶりには眼を見張るものがあるが、王家の受けの良さとなると先の二つには及ばないだろうと。

 そんな噂が流れているある日。


──カチカチカチカチ

 酒場カナンのカウンターで、マチュアはうたた寝をしていた。

 よく見る不思議な夢の中では、マチュアはこの酒場の中で魔法陣を広げ、なにかを作っている。

 それが何かはわからないが、マチュアはふと喉が渇いて眼を覚ました。

「ふぅ。喉乾いたなぁ。誰がお茶……なんてね」


──ガチャッ

 突然マチュアの目の前にティーセットが置かれる。

「ふぉあっ‼︎なんだなんだ」

 そう叫んで目の前を見ると、ステアがバスケットもカウンターに置くところであった。

「なんでなんでどして?」

「我は主人の召喚竜なれば」

「どこの世界にお茶宅配する竜がいるんだよ。とっとと別の姿になれ、人は不味い」

「むう……ならば」


──ドロン

 人の姿から竜人の姿に変化するステア。

「これなら構わんだろう?」

「ん、許可。あっちの結界はどんな感じ?」

「最も外、草原部には多数の魔族が拠点を作りつつあるが、あれは様子見だろうなぁ」

 片目を閉じて額に指を当てるステア。

 これで結界内の様子が一目で分かるらしい。

「目立った動きがなかったらそれで良いわ」

 そう呟くと、またマチュアはうたた寝を始めていた。

 その間、ステアはホールの掃除と酒のラベル剥がし。


 夢の中で、マチュアはステアと何か話しをしていた。

 だが、それも目が醒めると忘れる。

 この夢が一体なんであるが、マチュアはいまだにわからない。

 まるで、マチュアがもう一人いて、眠っている間は、そのマチュアが何かをしているような。

 そんな錯覚が、夢の中で繰り広げられていた。


 やがて目が覚めたとき。


──ガチャッ

「マチュアちゃん、マフィン売って下さいませんか……え?」

 アレクトーが楽しそうに入ってくるが、店内にいるステアを観て凍りつく。

 すると。

「では、注文していたマフィン受け取りました、またよろしくお願いしますね」

 そう大きく告げて、ステアは店の外に出て行った。

 横目でそれを追い掛けると、アレクトーはすぐにステアを追いかけたが、すでに翼を広げて何処かへと飛んでいってしまった。


──ガタガタガタガタ

 この騒動の合間に、マチュアは無意識に傍にあった『何か』をしまうと、マチュアものんびりと酒のラベルを剥がし始めた。


「ま、ま、マチュアちゃん、今のって竜人族よね?何があったの?」

「ふぁ。どっかの商隊の噂を聞いてきたんだってさ。マフィン四つお買い上げしてったけど、とうとう私のマフィンもリザードマンに知れ渡ったか」

 腕を組んでウンウンとボケをかます。

「リザードマンじゃないわよ、あれは竜人族、それも黒の竜人族と言えば、伝説の戦闘種族よ?」

「へ?そうなの?」

 キョトンとしているマチュアに、アレクトーもやれやれと言う顔をしている。

「全く。マチュアちゃんはもう少し歴史とか勉強した方が良いわよ」

「勉強は嫌いだ‼︎それでマフィン幾つ?」

 そう話しながら、カウンターの中からマフィンの入った平箱を取り出す。

「四種五個ずつで」

「あ、メンバー分ね。はい、四種六個ずつ、一個ずつサービスするよ」

 アレクトーの持ってきたバスケットにマフィンを入れていく。

 そして代金を受け取ると、まだ手の付いてない二箱を持って向かいのパスカル雑貨店に向かった。



 ◯ ◯ ◯ ◯ ◯



「遅い……」

 マフィンの納品を終えたマチュアに、パスカルはそう告げながら代金を支払う。

「ここにくる前にお客が来たの。少しぐらい許してよ」

 そう告げて見るが、店の外にはずらりとマフィン目当ての客が並んでいる。

 マチュアの納品が終わってやっとマフィンの販売が開始されたので、みんなホッとしている。

「そんなんじゃ、ヒト族交易許可証を発行して貰えないよ?」

「そんなの運ですよ〜だ」

「王都に貢物は?」

「マフィン送ったよ?この前王宮から注文あったから」

「それは貢物でなく注文だがねぇ。ま、頑張りなさいや」

「はいはい。なんかいる?」

 そう問いかけると、咥えていたキセルを箱に戻す。


「ちょっと良いかな?これは質問なんだけど、例えばこのロングソード、斬れ味はいいが刃が欠けやすい。そして高額なんだけど売れ行きがいい」


──ピッピッ

『ロングソード、魔法付与なし、ランクC、斬効果上昇、耐久力ペナルティー』


「ふむふむ」

「これの耐久力を上げるにはどうしたらいい?」

 ならばと、マチュアは足元にチョークで魔法陣を書き込む。

 漢字で『これは良く切れる長剣ですが、耐久力も素晴らしい』と魔法陣っぽく書き込むと、その中に受け取ったロングソードを入れる。


(無詠唱、刃保護……だったかな)


 そのあとは魔力を注いで魔力を注ぐと、先ほどの魔法を付与する。


──ブゥゥゥン

 やがて魔法陣が静かに収まると、ロングソードを手に取る。

「はい、これで良い?」


──ポロっ

 咥え直したキセルを落とすパスカル。

「こ、この魔法陣は?」

「新しく師匠から教わった魔法陣魔術?」

 口から出まかせ、きました。

 そんなものは存在しないし、漢字もない。

「へぇ……どれどれ」

 すぐさま鑑定の天秤を出して結果を確認する。

 これには大勢の冒険者が集まってきた。


──ゴクッ


『ロングソード:スライサー付与、斬属性上昇、刃部分破壊不可、第三級マジックウェポン、価値不明』


 この結果には、その場の冒険者が次々とマチュアの元に武器を持ってくる。

 だが、パスカルはそれを制してマチュアに話しかける。

「……もう一本いけるか?」

「うむ。成功確率100回やって二本だけ、あとは砕け散るけどいい?」


──サーッ

 まるで何もなかったかのように、冒険者たちは装備を戻して散っていく。

 そして、パスカルがマチュアにロングソードを手渡した。

「頼む」

「うい‼︎」

 魔法陣は残っているので、全く同じ技法でエンチャントを施す。


──ブゥゥゥン

 やがて魔法陣が静かに収まると、再びロングソードを手に取る。

「はい、成功したよ」

「ん。金貨何枚?価値がわからん」

 完成したロングソードを受け取って、パスカルがそう尋ねるので。

「んじゃ一本一枚で金貨二枚でよろしく」


──ジャラッ

 そのまま金貨を受け取ると、速やかに拡張エクステバックにしまう。

「あ、床の魔法陣消すので雑巾貸してくれるかな?」

「別に書いておいても構わんぞ?面白いから」

 そう告げるので、近くに大勢冒険者がいるのを確認して。

「これは研究して完全成功するようにするよ。そうすれば武器も防具も、新しく買わなくても今のやつを使い続けるでしょ?壊れにくい防具や刃が欠けない武器」

「はぁ。冒険者には最高だなぁ」

「それをカナン商会で売り出したら、きっと王都からも客が来るだろうなぁ。そう思わない?」


──ザワッ

 あちこちの冒険者がそれは良いなと喜んでいる。

 実際に今の武具は消耗が激しい上に、二つの商会で販売を独占しているので、値段がかなり高いらしい。


「あ、マチュア、それはイスュタル商会とライオネル商会が黙っていないぞ?」

「カナン商会を武具取り扱いから放り出した商会など潰れてしまえ。うちは庶民に優しい商会だ、商会のために人がいるんじゃない、人のために商会があるんだ」


──オオオオオオオツ

 このマチュアの言葉には誰もが驚く。

 しかもパスカルも笑っている。

「その通りだ……まあ、マスケット商会もその悪い方代表だったんだけどな」

「私がオーナーに変わってからは庶民の味方だよ」


──プッ

 これには大勢の冒険者が噴き出した。

 そして魔法時を消していくと、マチュアはのんびりと酒場カナンへと戻っていった。



 ◯ ◯ ◯ ◯ ◯



 それから二週間後。

 現状では神聖アスタ公国と繋がる八つの都市の整備が終わるまで、何もすることができない。

 最短で三つの都市を整備したら街道は繋がるので、まずは最も手前のボーマン一家の支配都市を整備することになった。

 結果としてボーマン支配下の交易都市ララックの整備が始まり、ボーマンもそれに協力することで罪は免除された。

 その整備が終わるまで、アスタードにはさらに大勢の市民が集まってきた。

 グラントリ一家の商隊はワルプルギスとの交易回数を増やし、カナン商会はさらに収益を上げ始めたのだが。


「失礼します。こちらにカナン商会のマチュア様がいらっしゃるとお伺いしましたが」

 酒場カナンで、いつものようにマフィンの仕込みをしているマチュアのもとに突然の来客。

 身なりなどから貴族かと思われる。


「そうですが、どちらの商会ですか?」

「え、何故商会と?」

「あっちを訪ねてここに来るような貴族はいないよ。貴族なら呼んでこいって使いが来るから。何処?」

 そうカマをかけると、相手もしどろもどろになる。

「まあ、言いたくないなら構わないけど、何の用?」

「我が主人が、貴方様と是非お話がしたいと。馬車も用意してありますので、宜しければどうぞ」

 へぇ。

 それは楽しそうである。

「今行くから待ってて」

 すぐに片付けを行うと、マチュアは外に出て箒を取り出して座る。


「あ、あの、馬車はこちらで」

「箒でついて行くからご心配なく」

「はぁ。それでは速度が追いつかないのではないですか?」

「ご心配無用。こう見えても神器クラスのアーティファクトなので、馬車と同じ速度で飛びますから」

 そのままのろのろと馬車の後ろに着くと、走り出した馬車と並走する。

 これには御者も驚いたらしく、馬車の中に乗っていた使いのものさえ驚いていた。


──ガラガラガラガラ

 やがて馬車は城塞から外に出ると、グランドリ王国領に向かう街道に出る。

 そしてしばらく進むと、馬車がゆっくりと停車した。

 マチュアも箒から降ると、箒と拡張エクステバックを空間収納チェストにしまい込む。

 どう見ても待ち伏せにしか見えない。

 まあ、何が来ても怖いものはないのだが、相手が何者か確認したいのもある。

 なので、ここはいつもの演技だ‼︎


「ここが待ち合わせ場所ですか?」

 馬車に近づいて御者に問い合わせると、御者も静かに頷く。


(魔法の鎖……)


 無詠唱で魔法の鎖を発動し、馬車を固定する。

「いらっしゃいましたよ。それでは皆さんのおもてなしを存分にお楽しみください」


──ガサガサガサッ

 街道の左右の茂みから、大勢の男たちが現れる。

 冒険者らしい装備を身につけ、様々な武器を構えている。

 人数にして十人、マチュア一人に十人とはかなり慎重である。

「君たちは何者だ、私がカナン商会のものと知っての事か‼︎」

 その叫びには誰も耳を貸さない。

「悪いな。あんたを殺したら金になるんでね。どうせ半魔族のツノオレ、殺して捨てたところで罪にもならんよ?」

「ど、どうしても私を殺すのか……良いだろう、かかってこい」

 素手で身構えると、周囲の男たちをじっと眺める。


(平均レベル50、クラスも様々。チーム情報はないからフリーの冒険者か、商会の雇われか……)


 ゆっくりと体内に心力を循環させる。

 呼吸を整え、敵の動きをよく見る。

「へっへっへっ。一撃では終わるなよ、少しは楽しませろよっ」


──シュウッ

 マチュアに向かって走り込みながら、武器を上段に構えて振り下ろす。

 だが、それを左腕で受け流すと、震脚を伴った掌底を胴部に叩き込む‼︎


──ドブワアッ

 たった一撃。

 それで目の前の男の胴体が吹き飛んだ。

「あと九人、やるなら命を賭けてこいやぁぁぁ」

 その声に左右から二人の男が駆け込んで来ると、上段と下段の攻撃を繰り出して来る。

 だが、上段で切りかかった男の懐めがけて、力一杯の鉄山靠を叩き込むと、下段の攻撃をジャンプして躱す。


──ヒョイッ……ジャラアアア

 すると、マチュアが空中に浮いた瞬間に一人の男が鎖分銅のようなものを飛ばしてマチュアの左腕と胴体を絡めた。

「ふん、どうやらそこまでの……」


──ブチッ

 右腕で鎖を掴んで引きちぎると、絡まっている鎖を解き放そうとする。


──ブワッ

「こ、この化け物がぁぁぁ」

 まだ鎖が絡まっているマチュアに向かって、別の男が切りかかった。

 だが、体を放ってその攻撃を鎖で受けると、脆くなった鎖を力任せに引きちぎった。

「あ、鉄山靠の人も死んでるか。あと八人だよ」

 コイコイと相手を挑発すると、今度はマチュアが反撃に出た。


………

……


 30分。

 これがマチュアが全て仕留めた時間。

 後半は戦意を失って逃げていた男たちを追いかけて仕留めていた。

 魔法や武器は一切使わず、全て体術のみ。

 そしてべっとりと血濡れた手を振って血を落とすと、馬車に近づいて行く。


(魔法の鎖、解除)


 すでに戦意喪失した御者と、逃げたくても走り出せない馬車。

「は、早く逃げろ‼︎」


──バシィッ

 鋭い鞭が馬に打ち込まれると、魔法の鎖から解き放たれて自由になった馬車が素早く走り出した。

「まあ、ここまでおっけ。影潜り……」

 走って馬車に追いつくと、忍者のスキルにある『影潜り』で、スッと馬車の影に飛び込む。


 あとはゴールまで乗せてってもらうとして、マチュアは影の中で血糊を拭い去り、のんびりと着替えを始めた。



 ◯ ◯ ◯ ◯ ◯



 馬車はワルプルギスに戻り、真っ直ぐに商業区へと抜ける。

 カナン商会の前を抜けて、さらに奥にあるライオネル商会までやって来た。

 馬も御者もヘトヘトの中、マチュアを呼びに来た従者が急いで裏口に向かうので。


──スッ

 馬車から従者の影に移ると、あとは真っ直ぐにラスボスの部屋へ。


──ガチャッ

「ら、ライオネル様……」

 顔面蒼白の従者。

 その異様な雰囲気に、ライオネルは頷く。

「その様子だと失敗したか……あの小娘ははどうした?」

「そ、それが、途中まではついて来ていましたが、どうやら上手く撒いたようです。今頃は疲れ果てていますので、早く追撃をお願いします」

 フン、と鼻息を鳴らすライオネル。

「腕利き冒険者が十人で仕留められないとはな。それで小娘の状態は?」

「それがその、無傷でして……」


──ダン‼︎

 力一杯机を殴りつける。

 天板と足にヒビが入り、机が傾げる。

「ふざけるな、たかが半魔族の小娘一人だぞ、あいつは化け物か」

 そこまで言われるのなら。


──ス〜ッ

 ゆっくりと従者の背後の影から現れるマチュア。


──パチン

 指を鳴らして遮音結界を施し、扉は逃げられないように魔法鍵マジックロックを施す。

 その指の音で、従者は慌てて振り向くと。


「はろう。これはこれはライオネル卿。商売では叶わないと見て、暗殺まで考えましたか」

 いきなり現れたマチュアに驚く。

 従者は一歩、二歩と後ろに下がるが、すぐに壁を背に逃げ場を失ってしまう。


「貴様がマチュアか。どうやってここまで?」

「ん〜、この人の影の中に入ってました。従者さん、案内ありがとう」

 そう告げてから軽く会釈する。

「ふん。この無能が……」

「さて、ライオネル卿。商売は正々堂々、このような愚策に溺れるとは落ちぶれたものですね」

「ふん。マスケット商会のように二流の商会でいたなら手は出さなかったよ。貴様のとこを潰すのに、どれだけの損失を出したことか……」

 そう呟きながら、ライオネルは机の死角でナイフを構える。

 それを理解した従者が、怯えながらもマチュアに話しかける。


「出る杭は打たれる。このワルプルギスではライオネル商会とイスュタル商会があればいい。残りの商会など、我らの傘下に加わっていればいいのだよ。それをかの半魔族如きが」


──ヒュンッ

 その刹那、ライオネルがナイフを構えてマチュアに向かって飛びかかった。

「死ねぇぇぇぇぇ」


──ガギィィィィン

 一瞬で暗黒騎士に装備を換装すると、炎帝剣でナイフを弾く。

 そのまま天井にナイフが突き刺さると、マチュアはライオネルに一言。

「ここで死ぬ?それともカナン商会には手を出さないと誓って生き残る?」

「ふん、貴様のような小娘に頭を下げる気はない」

 スッと従者を見ると、既に戦意喪失状態で、床に座って命乞いしている。


「あ、あのね、手を出すなっていうのは、今回みたいな卑怯な手を使うなっていうことで、武具を抑えたのは良いのよ。なら別の手段に出るから。手を出すなっていうのは、暗殺とかそう言う実力行使ね」

 死ぬ気満々のライオネル。

 こういう輩が一番厄介である。

 正体を明かせば終わりだが、そんな事はしたくない。

 むしろ、こんな親父はいらん。

「とにかく忠告したからね、それじゃあね」


──スッ

 すぐさまライオネルの執務室から酒場カナンに転移するマチュア。

 なお、ライオネルの部下が異変に気がつき、魔術を解除して部屋から救出するまでは、実に4日程かかったそうな。



 ◯ ◯ ◯ ◯ ◯



 ライオネルが無事に救出された翌日。

 マチュアはのんびりと酒場で仕事をしている。

 ライオネルの部屋に施された魔術については、どうやら箝口令が施されたらしく、街の中でも噂は流れていない。


この日も、マチュアは酒場カナンのカウンターで眠っていた。

──スヤァ

 最近になってわかって来た。

 自分の中のもう一人の自分の存在。

 時折、マチュアの肉体を使いたいらしく、その間はマチュア本人が眠りにつく。

 今、この瞬間にも、何かをしているらしい。

 でも、マチュア本人は眠っているので、それが夢の中と勘違いしている。


(まあ、夢でも構わないよ。地球の事を持っと見せてくれれば……)


 長い夢。

 その中で、マチュアは不思議なものを見ていた。

 酒場カナンの中で、マチュアは地球のカードゲームを楽しんでいた。

 魔法によりカードデータを実体化し、戦わせる。

 そのシステムを、マチュアは夢の中で作っていた……。




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