ジャンの暴走
夏休み特別企画!!
三日間連続投稿開始!!!
根性で書き上げた物語をとくとみよ!!!!
絶対にCランク者なってやる。
そう思ってこのランクアップ試験に臨んだのに、俺の思惑とはまったく違う方向へと試験は進んでいった……。
最初はあの気に入らない仮面野郎に震えていたハーフエルフの女の子をアイツから庇ったらその女は俺を裏切った相方と同じ魔術師で。
魔術師ってだけでも許せないのに、あの女は卑怯者の魔術師らしく大人しくしとけばいいのにいちいちでしゃばってくる。
互いに揚げ足取りのようなやり取りを繰り返していたら………あの仮面野郎が休憩を挟もうと抜かしやがった。
盗賊団の根城探しの途中で何を言っている?
こんなところで休憩をしている暇があったらさっさと先に進むべきだ。
もし休んでいる最中に盗賊の見回りに見つかったら一体どうするんだ?
そんな事も分からないのかと。俺は仮面に噛みついた。けど───すぐにこう思った。
コイツ………もしかして俺との勝負に負けるのが怖いのか?
そう思ったら一気に笑いが腹の底から込み上げきた。奇跡の業を使えると宣う魔術師は、結局のところ先頭で戦う奴の陰に隠れてコソコソ魔術を遠くから放つ奴らだ。
きっと俺に怖じ気づいた。そう、思った。
でもそれを否定したのは一緒に試験を受けていたカム、とかいったオッサン。
オッサンに言われて自分とリリーナの諍いがどれだけパーティーに迷惑を掛けていたのかを諭された。理解の追いついたリリーナも顔を青ざめさせている。きっと俺も同じ顔色をしているだろう………。
一人パーティーから離れて、ムシャムシャした気分を剣を振り回すことで無理矢理晴らしてからアイツらに合流した。
それからしばらく歩いてようやく盗賊団の根城である洞窟を見つけ出したと思ったら、
『……なんだか何かに邪魔されているみたいなの。洞窟全体がボンヤリとした……感じかな? みたいなのに覆われているみたいで……』
『嬢ちゃんが言ったことが本当なら、この洞窟には認識阻害か探索阻害を齎す何らかの魔術、もしくはマジックアイテムの類が使われているってことだ。磁場の関係で自然とそういったことがやりにくい場所もあるにはあるが………ここは、違う。んな話も聞いたことが無いしな………』
『ああ……。カム殿の言うとおり。この場所はそういった場所では無い。エルフとして断言しよう……』
『あなた達、ランクアップ試験はここで急遽中止します。急いでこの場から離れなさい』
次々勝手に決められていく決定に俺はついて行けなかった。
どこからか現れたギルド職員のリルとか言う女。
ランクアップ試験の中止の決定に異議を唱えた俺に、仮面は言った。
『だからだ!! たかだかちょっと名がある程度の盗賊団にそんなことが出来る魔術師が居るわけねぇだろ!! 仮にマジックアイテムを使っているんだとしても何時、どうやって手に入れたっていうんだ。買うのだって盗賊団如きの財力じゃ無理があるだろが!!』
そして一番ヤバいのは、そこまでする“何か”を盗賊団がやっているということ。
つまり、ランクアップの試験で今回の依頼をこなすには俺達では役不足だからこの件からは引く。そういうことなのだと。俺はようやく理解した。
不詳不詳ではあるが………俺はみなと共に山を出る決断をした。
だが、そんな決断すらすぐに覆された。
恐らくはマジックアイテムで現れたのであろうローブで姿を隠した四人組。
しかもその四人組は俺達を殺すと豪語した。他の奴らは緊張感を漲らせて奴らを警戒しているが、俺はこの現れた四人組がそこまで強いとはとても思えなかった。
ギルド職員の色香にあっさりと迷って仲間から制裁を受ける馬鹿みたいな二人。
しかも一人は女ときた。
リーダー格のローブ男は強そうな雰囲気ではあるが、その高圧的で傲慢な態度が俺の大嫌いな貴族のようで反感を覚えた。
こんなふざけた奴らに、俺の大事な試験が潰されるのか?
そして事態は予想外の方向へさらに流れた。
『─────あんた、本当はDランク者じゃ無いだろ? もっとランクが上の冒険者………違う、か?』
仮面の言ったこの言葉。
しかも俺以外の奴はあのカムとかいうオッサンの正体に薄々気が付いていたようだった。
なんでそんな奴が、わざわざCランクアップ試験を受けているんだ?
いや───もしかしたらこのオッサンも試験官の一人なのかも知れない。
ギルド職員も陰から見ていたとはいえ、現役の上位冒険者に俺がどう見られていたか?
今までの道中の光景が俺の頭をよぎった。
最悪だ。
このままだと確実にランクアップ試験に落ちる。
俺はCランクになれない………!!
焦った俺は上位冒険者と思わしきオッサンが一人で奴らを引きつけると言う言葉に、やっぱり現れたアイツらは大したことは無いのかと思った。
幾ら上位冒険者でも四人相手はキツいはずだ。
それなのに俺達と協力しないで一人で迎え撃つことを決めたのは奴らが大したことが無いから。
『───行け!!!』
オッサンの合図と共に森の外へと走って行った奴らを尻目に、俺は盗賊団のいる洞窟の方へと走って行った。
『?! 何をやってんだ!! このバカヤロウ!!!』
俺の行動に仮面野郎の怒声が背後から聞こえてきた。
うるせぇ、何とでも言え
俺は絶対にテメェなんかには負けねぇ
勝負にも、試験にも─────最後に勝つのはこの俺だ!!
だがそんな俺の自信も洞窟の中に追いかけてきたリーダー格の男によって粉々に砕かれてしまった。
盗賊団の奴らや、追いかけてきたもう一人のローブを羽織った女の方はギルド職員のリルとかいう女が足留めしていたのが走っている最中に視界の端に映っていた。
大したことは無いと思っていた奴に、自慢だった剣戟も軽々いなされて蹴りを入れられて壁に叩き付けられる。嘘だ、そんなはずは無い!? とどんなに突撃を繰り返し、攻撃を加えようとも男は莫迦にした嗤いで俺を弄ぶ。
強いと思っていた
一人でも大丈夫だと思っていた
どんなに苦戦を強いられても最後に勝のは俺なのだと。
そう、思っていたんだ………。
男に左肩から胸は掛けて斬り伏せられる。
焼け付くような激しい痛みに、俺の喉から悲痛に満ちた悲鳴が洞窟内に木霊して……寄せては繰り返す波のように俺の鼓膜を奮わせる。
斬り付けた男の侮蔑と嘲りに満ちた口元に、もはや反抗心では無く、えも言えぬ恐怖しか湧かない。
無様に震えて、怯えるしかない俺の前に────あれほど軽蔑し、侮り、罵倒した仮面が傷付いた俺を見て立ち竦んでいた。
『ふん………つまらん。少し遊んだ程度でもう怖じ気づいたのか? まあ、いい。まだ一人、残っているしな』
この言葉に俺はハッとした。
いけない、このままではアイツまで殺されてしまう! あんなに悪態を着いた俺をわざわざ助けに来てくれた奴を見殺しになんて出来ない───!!
『っつ………な、何してんだよ………お前……バカなのかこんな所にまで来て………俺のことはいいからさっさと逃げ───?!』
言葉を、最後まで紡ぐことは出来なかった。
聞こえてはいけない音を体の中から発した俺の体は斬られた時とは比べることも出来ない程の熱と痛みを持って蹂躙された。
『あ゛? なに寝言ほざいてんだ、テメェは? 『俺のことはいいからさっさと逃げろ』? テメェみたいな力量も満足に測れないどころか、事態を悪化させるしか脳のない脳筋を助けるわけねぇーだろうが………』
最後まで言えなかった言葉をドスの利いた言葉の数々と共に告げた仮面から覗いたその眼光は永久凍土もかくやという程に冷たく冴えきっていた。
その恐ろしさに痛みも忘れて喉の奥で小さく悲鳴を上げる俺に何を思ったのか…………仮面は俺の頭に踵落としをキメたと思ったら振り下ろした足の重力を利用してそのまま地面に叩き付けられる。
強い衝撃のみを感じ─────俺の意識は暗転した。
実彩にそんな優しさは無い!
ジャンよ、自業自得だ!! でも頑張れ若者よ!!
明日に続く!!!




