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元死神は異世界を旅行中  作者: 佐藤優馬
第4章 学園入学編
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寮生活

 『はあ、マジかよ………』

 『こうなるとは思ってなかったねー……早速トラブルに巻き込まれてるじゃん』

 『ほんとだよ………』


 あの後、教師に聞きに行ったのだが、どうやらむこうの手違いだったらしい。書類上だとあいつは男になっていたらしく、それをそのまま鵜呑みにして部屋割りをしてしまったらしいのだ。だが、蓋を開けてみればあいつはどこからどう見ても女で、男と同室にするには問題がある。何しろ、在学中に不純異性交遊を行ったものは退学なのだ。勿論その中には、そういうことも含まれている。手を出したが最後、即終わりである。というか、そんなことをすればアカネ辺りが黙っちゃいないと思う。

 それなら部屋を分ければいいと思ったのだが、そこでも問題が生じた。なんと今年は受かった人数が例年よりも多いため、部屋に空きがないのだ。つまり分けようと思えば、片方は廊下か物置で寝ることになる。それは学園に問題があると取らわれかねないため、却下されたのだ。よって、あの女とは同室にならざるを得ないとなったわけだ。現在、自室のベッドの上で頭を抱えてる最中というわけである。シルフィも今回ばかりは苦笑いである。


 「私は大丈夫ですよ?気にしていませんし」

 「俺が気にすんだよ……つか、お前は警戒心低すぎじゃねえのか?」


 そりゃ、あの侯爵のことがあったとはいえ、年頃の女ならもっと警戒すべきではないかと思うのだ。ニーナにしろ、アカネにしろ、エレナにしろ。あれ?俺の周りに普通の女っていないのか?半ば本気で悩む俺に、同室のそいつは声を掛けてくる。


 「大丈夫ですよ。問題ないですから」

 「その根拠を聞いてるんだがな……もういい。とりあえず、場所決めんぞ」


 いろいろとめんどくさくなり、もっと建設的な話をすることにした。早く寝たいし。今日はもう授業もないし、寝ておきたいのだ。まずは部屋の内部を確認する。


 寮はそれほど広くはないが、寝るスペースとしては十分な広さがある。言うなれば、簡易型のホテルのような感じだろうか?まずは玄関があり、そこで靴を脱ぐ仕様のようだ。ここら辺は日本に通じるとことがあってホッとする。靴で家の中を歩き回るのには違和感があったのだ。

 玄関の脇には、服を掛けるための押し入れがある。ハンガーもあり、ここが服を入れる場所で間違いないだろう。ただ、ここは狭いため、あまり長くいたいと思える場所ではなかった。

 少し歩くと、場所が開ける。小さいながらもキッチンがあり、机と椅子もある。自炊も可能ということだろう。キッチンは畳一畳分、リビングはせいぜいが畳三畳分、といったところか。食事をしたり、ちょっとした作業をするときにはここで十分だろう。

 その奥にはもう一つ部屋があり、二段ベッドが置いてある。ここは畳六畳分ほどで、そこそこの大きさである。が、机が二つほど占拠しているので、あまり大きさの割には広くないと思えるのが現実だ。この机で勉強なり研究なりしろということなのだろう。先程のリビングの机よりも大きいからだ。

 そして、トイレだが……これはここにはない。廊下にあるのだ。貴族のものともなれば、ついているだろうし、もっと大きいのだろうが。平民ならば、これでも十分な方だろう。貧しいところじゃ、外に出てトイレというのも珍しくないそうだからだ。


 「場所、ですか?」

 「ああ。机はどっちを使うのかとか、ベッドはどっちを使うのかとかだ。キッチンは俺は使わんから、お前が勝手に使え」


 料理を作るよりも、携帯食料を創った方が速い。なら、時間短縮のためにもそうするべきだろう。俺の言葉に納得したらしく、ルームメイトは頷いた。


 「そうですね。私は特にこだわりもないので、どちらでもいいですよ?」

 「そうか。それならベッドは俺が上で、机はベッドから見て右にしとく」

 「わかりました」


 むこうが頷いたのを確認すると、荷物を自分の机の近くに置いておき、早速ベッドで横になる。食堂が開くのはもっと先だし、平民用の風呂に至っては時間決めがされている。どちらにせよ、やることはないのだ。こういうときは、寝て待つに限る。俺が目を閉じようとしたとき、下から声を掛けられた。


 「そういえば、自己紹介がまだでしたね。私はローレルって言います。これからよろしくお願いしますね」

 「あー、うん、そう。よろしく」


 適当に済ませて、今度こそ目を閉じる。玄関の方でノックの音がしたが、そんなことは気にしない。寝られるときに寝るのは俺にとって当然のことなのだ。パタパタと音がしたことだし、ローレルが対応しに行ったのだろう。心地よい微睡みに身を委ねようとして……


 「どういうことですか!レオン君を呼んでください!」

 「……終わったか………」


 静かにぼやいた。まあ、薄々予想はしていた。もしかしたら遊びに来るかもなー、とか。一緒に探検しようとか言いだすだろうなー、とか。けれど、願わくばもう少し後にしてほしかった。ほんの少しでもいいから、眠りたかったのだ。


 (俺の平穏ってのは、どこにあんだろな………?)


 押し問答の声と、どたどたというこちらに近づいてくる音を聞きながら、この状況をどう説明したものかと考えるのだった。

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