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庭園のなかで  作者: 藍原 華夜
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プロローグ

百合展開なので苦手な方はブラウザバック!!!

 あれは六年前のこと。若くして亡くなったお父さんの生まれ育った田舎へ夏休みの間帰省していた。お父さんの両親、つまりは祖父母の家の周りには子供はほとんどいなくて私は退屈していた。ほとんど・・・とは、ただ一人だけ一つ年が上のお姉ちゃんが大きなお屋敷に住んでいたのだ。そのお姉ちゃんは生まれた時から病弱で体のことを考えてこんな田舎に引っ越してきたそうだった。お姉ちゃんはいつも白いワンピースを着ており、漆黒の髪に色白で不健康な肌はさながらお人形さんのようだった。遊ぶところは決まってお屋敷で、これといって何かをしていたわけではないがお姉ちゃんと一緒にいれて楽しかったことだけは覚えてる。

 でも、私がこの田舎にいるのも時間の限りがある。楽しかった時間はすぐに過ぎ去った。

「また、来年くるからね。」

「私はいつでも待っているわ・・・。ね、一つ契を結びましょうか。」

契、小学四年生の私にはその言葉の意味はイマイチわからなかったが、その言葉の完美な響きに興味を持ち二つ返事で承諾した。

「いい? 今から私があなたにすることは誰にも言っちゃダメだからね? 約束できる?」

「うん! 私、お姉ちゃんの言うことならぜぇぇったい守れるよ!」

「ふふっ・・・ いい子ね、じゃあ契を・・・」

そしてお姉ちゃんは私の唇に優しく口づけをした。


 その年の冬、祖父母が乗っていたバスが高速道路で横転、乗客全員が死亡した。私は祖父母が亡くなったことより、田舎へ行く機会がなくなる。お姉ちゃんに会えなくなることがショックであったのだ。我ながらこの気持ちには驚いた。その時、小学四年生の私は初めてその感情に気づいたのだった。

「私、お姉ちゃんのこと好きだったんだ・・・ でも、もう会えないんだよね」

連絡先でも聞いておけば良かったと後悔したがもう遅かった。

「て言うか、私お姉ちゃんの名前すら知らないんだよね・・・ こんなので好きだなんてね・・・」

自嘲気味に笑っても悲しみは拭えず、堪えきれずに涙が零れてきた。周りの大人たちは祖父母が亡くなったことに悲しんでいると思っているのだろうか。だったら、私、悪い子なのかな。でも、このお姉ちゃんへの気持ちもここまでなんだよね。そうして、私の初恋は淡く消えていったのだった。



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