第一章「神様との出会い」
十二才のときに、神様のような人と会った。神様でなければ、他に誰だというのだろう。夢かもしれない? 常識で考えるなら、その可能性は高いけれど、そのあと長い旅が続くことを思えば、全部が夢だったとも思えない。そう、神様との面会はすべての始まりだった。
ぼくの「十二才」は、たぶん普通で、どこにも特別さは見られなかった。ママも「楽しく生きてくれればいい」といっていたぐらいで、成績トップを目指すことも、将来スポーツ選手になることも期待されてなかった。そんな期待を感じさせるものは、ぼくにはなかった。
だけど、あとからわかったことだけど、ぼくはパパよりもママよりも、うんと年を取っていた。それは今のぼくではなく、トータルのぼくという意味で、魂の年齢といって差し支えない。魂は、人間として生きれば生きるほど、年を取る。たくさん生まれ変わっている人ほど年寄りということだ。
ぼくの特別なところといえば、たまに、昔の人生を思い出すということだろう。男性もたくさんあるけど、女性もたくさんあって、早死にすることもあれば長生きすることもあった。住んでた国もバラバラだった。そんな過去生といわれる魂の歴史を、映画の予告編のような感じで、ちらっと見ることがあった。
神様と出会ったのは、ぼくの数多くの人生を通した魂の切なる願いだったように思う。ずっと神様を探していたのだ。信仰熱心だった人生でも、金儲けばかり考えてた人生でも、いつか神様に会いたいというのは、どの人生でも通して抱いていたようだ。この身体の、この日本人として生まれた、ぼく以外は。ぼくにとっては、古い漫画のキャラクターのような感じで、だからこそ、あれが本物だったという実感がない。
さて、神様と出会ったときの話をしよう。それはすぐに語り終えるくらい短い出来事だ。
銀河のなかにぼくはいた。気づくと、360度星々のなかにぼくはいて、その美しさに魅了された。完全な静けさのなか、星々のきらめきの海にいた。はるか遠くの星々の光も目のスクリーンに映り、ぼくは巨大な銀河に溶け込んでいた。
大人になったら、パパみたいなサラリーマンになるのかな、ユーチューパーみたいに人気者になれたりするのかな、なんて思っていたぼくだけど、地球のどんな仕事につくよりもこの銀河を見ることのほうが尊いと思えた。
自然と涙がこみ上げてきた。ぼくの魂の、無数の人生がこういっているようだった。
「この壮大さと美しさを一度でも知ってしまえば、地上のことはすべて小さなものに思える」
そして、神様と出会った。神様は、目の前にぼんやりと浮かぶ、サッカーボール大の光だった。その光はこういった。
「地球は体験するための星です」
数々の人生の記憶を断片的に知っているぼくとしては、そうなんだろうな、ずっと体験してるんだろうなと思った。
「あなたはもう、壮大な視点で、愛を体験しなければいけません。今世では、総まとめの人生にしなければなりません」
神様がそういうと、ぼくの内奥では、遂にこのときが来たんだと実感していたのがわかった。ぼく自身はよくわからず、素直に「それはどういうことですか?」と質問した。
「あなたへの贈り物です。『愛』の手形を渡しました。あなたには『愛』が刻まれたので、愛を体験する旅に出なさい。愛を与え、愛を受け取りなさい」
気づくと、部屋のベッドの上で、ただただわけもわからず涙が止まらなかったのを覚えている。ぼくの魂からすれば、ずっと会いたかった神様と出会い、贈り物を与えられたわけだ。けれど、ぼくはまるで友達が喜んでいるかのようで、自分事と感じるにはちょっと距離が遠かった。
その日から確かにぼくは変わった。物事に対する見方がどこか鈍感になり、勉強もクラスメートも、親のいうことも、あまり重要だとは感じられず、昔ほど興味を感じなくなった。両親は鬱じゃないかと疑い、本気で心療内科に連れて行こうとしたが、ぼくはかたくなに断った。そういう問題ではないのは明白だったから。




