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第二十夢:Don't be sad

祝・二十話!

一日のアクセス数が230を突破しました!

これからもよろしくお願いします<(_ _)>

私は、クリフに言われたとおり〈ステファン号〉を走らせていた。


ミリアを精一杯急かして、山道を駆け抜ける。

路面が荒いので、かなり揺れるが仕方ない。

私の(ひざ)元で、件の子はきゅるきゅると鳴きながら(うずくま)っていた。


「ミリア、頑張って!」


まかせろとでも言うようにぶるると鼻を鳴らし、ミリアはスピードを上げる。

流石(さすが)、〈風馬(フー・アンヴァル)〉だ。

荷をしっかりと(くく)っていて良かった。

この速度(スピード)でいつものように縛っていては、既に荷物は落ちていたに違いない。

それにもしかしたら、(ほろ)内で揺れに揺れて、馬車が横転していたかもしれない。

(こう縛ると、良いですよ)

にこりと微笑みそう言ってくれた騎士(クリフ)のお陰だ。


――そのクリフはというと。


未だ、後方には見られない。

あの〈グレイ〉とかいう奴と戦っているのだろう。

剣を抜いたときの彼は、凄まじかった。


――強い。


普段のあの雰囲気とは違う。

浮世離れしたような、すこし暗いけれどユーモアはあるあの性格とは全然違う。

〈グレイ〉を認めた時の彼の双眸(まなざし)


――楽しげに光った。


それから、一切の感情を捨てたような、朝見たときのような瞳になったのだ。


あれは、いくつもの修羅場を乗り越えた者の眼だ。


危険度〈五〉の生物(かいぶつ)に相対したにもかかわらず、彼の動作は平静と変わらなかった。

いたって普通の動作で、斬り捨てたのだ。


――あれが、本当のクリフ=シルフォードか。


あれが、私を護る楯なのだろうか。

私には、凄烈鋭利な刃に見えたけれど。


憂いを秘めたその刃は、とても強い。


――距離を感じた。


私とは、次元が異なる人物なのかもしれない。

せっかく、仲が良くなったと思ったのに。

それは、錯覚(きのせい)だったのかもしれない。


――なんだか、悲しくなった。


その考えに。


自分のちっぽけさに。


「きゅるるる……」

膝元で鳴き声。

(にじ)んだ視界を落とすと、あの子が(うる)んだ瞳でこちらを見上げている。

「……心配してくれてるの?」


自分だって、痛いだろうに。


親と離れて、寂しいだろうに。


「ありがと……」

零れた涙が、あの子の頭に落ちる。

その子は吃驚(ビックリ)したようで、きゅい、と鳴き声を上げた。

その涙を拭い、頭を撫でてやる。


「――もう大丈夫」


何、落ち込んでるんだ私。

らしくないじゃない。

彼は、私のために戦ってくれているんだ。

この子も、私のために心配してくれている。

ミリアだって、私のために疾走している。

泣いてる暇なんか、ありゃしないんだもの。


(歩き続けるんだ)


先生の台詞(せりふ)を思い出す。


そうだ、行かなくちゃ。


手綱を深く握りなおす。


「さあ、行こうミリア!」


前へ。


私は、前へと進んだ――


そういう時、そういう経験。

皆さんはありませんか?

友達が、近いようで遠いところにいるような感覚。

まるで遠近感覚が狂ったみたいな。

いつもは楽しくバカみたいに話してるのに、

いざとなると、凄かったり、頼もしいヤツ。

願わくば将来、そんな存在になりたいですね(笑)

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