第十九夢:Overwhelm
――戻ってきた。
張り詰めたこの空気。
――戦場。
これが、自分の居場所だ。
クリフは、〈霙〉を構えて疾走する。
身体に流れる心力――魔力のようなものだ――を、〈青鋼〉で創られた剣身に流し込む。
日中では確認できないが、創られた剣身が淡く発光するのを感じた。
複雑な関節構造を持つ〈グレイ〉が、奇抜な動きで襲い掛かってくる。
――無駄だ。
横薙ぎ。
一匹を両断する。
緑の霧が立ち上がる中、クリフは舞った。
護衛対象をこの輪から解き放つべく。
彼女へと伸びる魔の手を、斬り落とした。
彼女の手を握り、駆け抜ける。
馬車の方へと。
心力で辺りを探ってみたが、これ以上敵が現れる気配は無い。
安全なはずだ。
クリフは、エリザが〈ステファン号〉に乗り込むのを確認して、迫る敵を振り返る。
鉤爪の一撃を、軽い足捌きで受け流し。
右へのサイドステップを踏みこみながら、一閃。
青い斬線が走り、後を追うように緑の線が滲む。
倒れこむ一匹を無視して、前方へ跳躍。
もう一匹を、袈裟に斬り捨てる。
その双眸からは、一切の感情が感じられない。
いや、強いてあげるなら。
――安堵感。
(生きているという実感が持てる)
他者の命を踏み躙り、泥沼から這い上がる。
――嗚呼、自分は生きている。
世の中そう甘くは無いのだ。
弱肉強食。
弱きものは、消えていく。
――ならば、せめて。
自分の手の届く範囲のものは。
自分がこうと決めたものだけは。
弱いものでも。
他者を斬ってでも。
この手で。
必ず。
――護ってみせる。
最後の一体を、屠った――
はい、前回に続きアクションシーンをご覧頂きました。
クリフ君圧倒的であります。
その強さは、やはり彼の想いに比例してのことなのでしょうね。
全ては、彼女を護るために。




