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幼蛇少女を拾いました。  作者: 猫缶(犬派)
1/2

1.人間になりました。

 




 私、蛇のにょろと申します。


 赤味がかった鱗がチャームポイントの、素敵な可愛い蛇さんです。

 今まで嘘もつかず、盗みもせず、清く優しく美しく生きてまいりました。いや、盗みはしたかもな。

 そこはおいといて、そんな素敵な蛇さんに、バチなんか当たる訳ないのに。



 なんで私はカラスに追われてるんだぁぁぁぁあ!

 あ、来んな来んな、近寄るな。

 ん?……もしや、あの傷……

 生まれた時、私の兄妹を目の前で食ったやつじゃ……

 家族の仇、なんて言ってられない。今は逃げるのが精一杯。

 ごめんよ、兄妹。潔く私は逃げさせてもらうっっ!



 ……やばいこれ、めっちゃ近くね?追いつかれそうじゃね?

 というか、追いつかれてね?


 喰われてね⁉︎



 私の体がふっと浮く。生まれて初めての空中浮遊。

 ちょっと楽しかったりもする。


 駆け巡る走馬灯。私を産んで夜逃げしたお母さん。恨んでます。私は今までたくましく生きてきたよ。

 雀さん。今まで食べたり、卵食べたりしてごめんよ。君たちのお陰で私はこれまで生きてくることができた。君たちの死を無駄にしないためにも出来るだけ長く生きていたかったけど。


 その命ももう尽きる。


 ああ、兄妹、私も今からそっちへ逝くよ……

 生まれ変わったら、食物連鎖の頂点に立ちたいな……







 バン‼︎


 大きな音がして、地面に叩きつけられる。

 あれ、私死んだんじゃなかったっけ……?


 キョロキョロと辺りを見回す。


 と、背後に気配がした。黒づくめの二人組。




 人間。人間がいた。


 ど、どうしよう。なんかこっち見てるよ?やばい、人間に殺されるの?人間に殺されてゴミになるくらいなら、カラスさんの胃袋に貢献したかったなぁ……


 ところが、その人間たちは意外にも私に何かを差し出した。


 何これ、鼠?鼠にしてはなんか大人しいな。

 あ、死んでる。新鮮なやつ以外食べたくないけど、お腹ぺこぺこだしな。仕方ない、食ってやろう。


 私はなんの疑いもなく、それにかぶりついた。


 パクッ……ズッズッズッズッ


 獲物はゆっくりと、しかし確実に私の口の中へ。

 というか、よく考えたら、私、今、凄く無防備じゃね?


 気付いた時には、網で捕まえられていた。

 人間は私からいとも容易く鼠を取り上げ、代わりに何か錠剤のようなものを入れて、去って行った。


 んん、なにこれ、にがっ


 思った直後、激痛が身体中を襲った。



 そして、目の前が真っ暗になった。








 んむ。あー痛い。

 頭が痛い。

 首は動く。尻尾……は、違和感はあるけど動かせる。

 腕……も、動かせる。


 ん?腕?


 腕⁉︎


 え?私は蛇だぞ?だから腕なんてないはず。

 でも、確実にあるのだ。ぐいい、と伸ばしてよく見てみると、先っぽが5本に分かれていた。これがよくある指、というやつだろうか。あれ、人間って確か指が5本だったな……


 まさか。いやいやいや、それは流石にない。飲んで人間になる食べ物なんて聞いたことないし。


 そのまさか。


 下に目を向けると、そこには尻尾なんてものはなく、二本の足。


 確定。



 兄妹よ。私は人間になってしまったよ。


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