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【完結】俺の彼女はセイジョウです  作者: アカアオ
2章 ファナエル=???編

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グラサン+ピアス=刺客

「体育館裏に行くなんて何気に初めてだよな」


 俺は一人そんな言葉をこぼしながら夢の中で伝えられた待ち合わせ場所に来ていた。

 あの教室の雰囲気から逃れたい思いとファナエルのためにも一刻も早く事態を収めたいという気持ちから、朝にもらった黒いガムを噛みながら全力疾走してしまったのでしんどくてたまらない。


 誰かに告白されるでもなく、不良にカツアゲされるわけでもなく、超能力組織の人間に呼び出されて体育館裏に来る男子高校生なんて俺ぐらいなもんだろ。


 そんな文句を頭の中に浮かべながら周囲を見渡す。

 すると見覚えのある服装をした一人の少女がコンクリートの上で熟睡している姿を発見した。


 「シスター服‥‥‥じゃなくて修道服って言ってたな。夢の中に出てた氷雨って人はこいつで間違い無いはずなんだけど」

 「間違うよな〜その服の名前。日本じゃ修道服を見るのはガキの頃見るアニメの中ぐらいだもんな」


 ぬるりとした低い男の声が背後から囁いてくる。

 嫌な悪寒を覚えた俺は、思わずその場から離れてバッと振り向いた。


 「あ〜年取ってもアニメが好きで見てるタイプか?気ぃ悪くしたならすまねぇな、別にお前の趣味を否定しようと思ってる訳じゃないんだ」


 そこに立っている男は俺より体格も一回り大きく、筋肉質なやつだった。

 髪色こそ何も染めていない黒色だったが、彼が身につけている茶色いサングラスとギラギラ輝く耳のピアスは俺に僅かな恐怖心と近づきたくないという気持ちを与えるには十分すぎるものだった。


 そいつはニヤリと口角を上げたまま、クシャクシャと自分の頭を撫でながら軽い口調で話しかけてくる。


 「まぁそんなに警戒すんな。俺は『お前の事を助けたい』って言う友達の手伝いをしてるだけだからよ」

 「それじゃあアンタも」

 「多分お前が考えてるので合ってる。シンガンって組織の一員だよ」


 これが証拠だと言わんばかりに彼が取り出したスマートフォンの画面には、修道服に身を包む氷雨と彼がツーショットで写っている海の写真が表示されていた。

 

 「修道服の人には何度も言ったけど、何があろうとファナエルと別れるつもりはないからな」

 「氷雨から聞いてたとおり頑固なやつだな。自覚してんだろ、そのファナエルって女と付き合ってから体に異常が起こってること」

 「そんな話はもうとっくの前に終わってる。それでも俺は彼女と一緒に居たいって言ってるんだ」

 「たいそう聞き分けの悪いガキだ。お前が頑なにそう言うなら‥‥‥その自慢の彼女、寝取ってやっても良いんだぜ」


 カチャリとサングラスを外す。

 表れた奴の目には嫌なぐらいの自信が詰め込まれてあった。


 俺なんかよりも女の人をよく知ってそうな顔をしたそいつの顔を見て俺は自然と右手に握りこぶしを作ってしまった。


 「お前ー」

 「なんて事言ってるのですか!!」


 俺が握り拳をその男にぶちかまそうとしたその瞬間、俺たちの間に割って入った黒く小さな影が男の顔に特大の飛び蹴りを食らわせていた。


 男はその蹴りを食らって後ろに吹き飛び痛々しい音を鳴らしながら地面に激突する。


 「雄二(ゆうじ)、初対面の相手にそんな事言っちゃいけないって何度も言っているのです!!一体いつになったら礼儀や作法を覚えるのですか?!」

 「起きたのか氷雨。アレは違うんだ、言葉のあやっていうか冗談っていうか」

 「冗談で取引先の相手を怒らせましたなんて言い訳、社会では通じないのですよ!!」


 雄二(ゆうじ)と呼ばれたサングラス男を絶え間なく説教しているのは夢の中で散々合って話した修道服の少女、氷雨だった。


 氷雨は雄二(ゆうじ)の顔を5,6発ボコスカ殴った後、俺の方に振り返ってペコリと頭を下げる。


 「私の部下が飛んだご無礼を掛けたのです。話し合いで発生する料金は全部このバカに払わせますので何卒私の話を聞いていただけないでしょうか」

 「あ、あの〜大丈夫なんで頭下げるの今すぐやめて。話なら聞きますから」


 目の前で小学2年生ぐらいの女の子が社会人顔負けの謝罪を述べながら頭を下げている。

 今に至るまでにどんなやり取りがあったにせよ、この絵面はまずいなんてものじゃないので俺は慌てて彼女に顔をあげるようにお願いをした。


 「ありがとうございますなのです。それじゃあここで話をするのもアレなので、オシャレなカフェにでも行きましょうなのです」


 氷雨はそう言いながら顔をあげると、左手で俺の腕を掴む。

 

 「それじゃあ雄二(ゆうじ)、お願いするのですよ」

 「はいはい分かったよ。秋良君だっけ、初めての移動方法だと思うからせいぜい酔わないように気をつけろよ」


 割と悲惨な事になっている顔でそういった彼は氷雨の肩にポンっと手を置く。

 その瞬間、ビュンというテクノチックな音と共に浮遊感に似た変な感覚が俺の体に襲いかかった。


 「ま、目的地に着くのは一瞬だけどな」

 

 気がつけば体育館裏に居たはずの俺たちの体は、街中にあるオシャレなカフェの玄関に移動していた。

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