↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/26

プロローグ

(これくらいの時間ならもうすぐ来るかもしれない)


 今は夜の19時過ぎ。いつもなら会社のパソコンの前で残業しながら、小腹に何か入れてるところだ。


 でも、今日は違う。


 仕事をきっちり終わらせ、引継ぎもばっちり。

 午後から半休を取って、最近夫が購入したばかりのマンションの一室に帰ってきた。


 ほとんど仕事でいない私には、むしろこの部屋での思い出が少なくていい。


 ……なんて、私は絶対思わない。


 私は|井口美玖、32歳。会社員として働いてる。

 夫の圭太と結婚して2年目。

 2歳年上の夫は見た目が若く、いつも私の方が年上に見られてしまう。


 このマンションは2人のこれからの結婚生活のため、夫名義で買ったマンションだ。


 駅から近くて広くてキレイ。

 歩いて10分のところには、大きな公園なんかもあったりして、ファミリーや

 新婚さんには大人気らしい。


 ただもちろんその分、ローンは高くなる。


 まだ賃貸に住んでいるとき、毎月のローンに尻込みする私に、圭太は自信満々にこう言った。


「大丈夫だって。2人ならこれくらいは全然払えるって」


「そう…?でも、子どもができた時のことを考えるとさ。私の収入が減る可能性もあるし…」


「育休手当だってもらえるし平気だよ!俺、昔からこういう部屋に住んでみたかったんだよね!」


 少し楽観的すぎるのでは……?

 家賃としてローンと払っていくのなら、もう少し低い方がいいし

 現実的じゃないか?となんども話してみたが、圭太の答えは変わらなかった。


「じゃあ名義は俺でローン組むう!それなら安心だろ?」


『やっぱり家は大黒柱の夫名義じゃないと』といって結局、圭太は借入額

 ギリギリのローンを組んでこのマンションを購入した。


 正直心配もあったが私の収入もある。

 いざとなれば、マンションを売ればいい。


 ずっと変わらずおばあちゃんおじいちゃんになるまで、支え合っていけるだろうと、馬鹿みたいに思っていた。


(今となっては…もう違う)


 テーブルの上には久しぶりに温かい食事を用意した。

 先にワインを開けても、きっと怒らないだろう。


 ガチャガチャ、キー…パタン……。


 廊下の奥から、男女の声が聞こえてくる。

 この長い廊下も、圭太のお気に入りポイントの1つ。


 女の声は若く甘い。

 さあ準備はできた。

 飛び切りの笑顔で出迎えてあげよう。


 妻の留守に、この家で浮気を楽しむ、悪ーい夫を。


「おかえりなさい。あら、お客さんかしら?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。