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第8話

街の中の左上、俺たちが1番と番号を付けた場所。

ここには、道具や武器を扱っているお店が多く、基本的な買物ができる。

自分達で道具や武器を作れるようになるまではここに通うことになるのかな?


そして、今はポーション屋のおばちゃんにポーションについて色々聞いてる。

このおばちゃん、なんか面白いんだよね。


「へー・・・ポーションの回復量ってわかんないんだ」


「あったりまえさ、そんなもん大体しかわからんよ」


「なんかこう・・・善し悪しとか解る方法ないの?やっぱりさ、いい商品を買いたいじゃん」


「そうさなぁ・・・一番確実なのは自分で作ることだね。確実に良いポーションを手に入れれる」


「それ作れるようになったらって話でしょ?おばちゃん、俺らまだ初心者だよ」


「あんたはせっかちだね、物には順序ってのがあるんだよ。次に確実なのはいい職人から直接買うことだね」


「いい職人のいる場所は?」


「そんなもん自分で探しな。全部を教えてもらえる程甘くはないよ?」


「ぶーぶー」


「ぶーぶー文句を言うな!まったく・・・、最後はまぁ目利きを覚えることだね」


「目利き?・・・わかった、色と臭いだな」


「それでもわかるけど、確実なのは透明度だね。きれいに澄んだものほど質がいい。ほれ、これを見れば違いがわかるだろ」


そう言って、2本のポーションを渡される。

1本はやや赤みがかったほぼ透明な液体が入っている。

これは向こう側が結構見えるな。

もう1本は完全な赤色で、反対側がまったく透けていない。


「ほー・・・こんな差が出るんだ」


「ド素人とこの街一番の職人の差がそれだよ。あんたらも錬金術やるんだろ?それくらい透明なのを作れるようになるといいねぇ」


「いやいや、そんな簡単に作れたらこの街一番の職人泣いちゃうよ?いいの?」


「はっはっはっはっ、確かにそうだ。そんな簡単に作れたら引退するとか言い出しそうだ。いいね、あんた気にいったよ。ほれ、店売りできる通常品質の1本やるよ」


やや濁ってるかなー・・・くらいのポーションを貰う。

なるほど、店売りはこれくらいじゃないとダメなのか。

これは使わないで目安として持っておこう。


「お?ありがとうおばちゃん。じゃあ、これくらいの品質を作れるようになったら見せにくるよ」


「それはありがたいね。うちとしてもいい職人とは仲良くしたいからねぇ」


「こっちも固定取引相手がいると助かるからね、お互い様だよ。じゃ、他にも色々見て行きたいからもう行くよ」


「あいよ。またおいで」


ポーション屋を出る。

おばちゃんに合わせて会話しただけで1本ただで手に入るとはラッキーだな。


「お前凄いな。あーゆう人は苦手なんだよなぁ・・・」


「ん?黒やん苦手なんだ。俺は親戚のおばちゃんがあんな感じだからさ、慣れてるんだよね」


「あー・・・確かに親戚のお節介なおばちゃんって感じがするわ。うん、俺の苦手なタイプだ」


「全ての人を好きになるのは無理だしいいんじゃない?ポーションについて知れた、目安となるのを貰った、今後の取引相手になる可能性をくれた、でいいじゃん」


「・・・だな。さて、次は武器屋か?」


「んー・・・ポーション関連は今の店で大体教わったしもういいだろ。道具類は?さっきので完了?」


「んー・・・とりあえず俺は3軒も回れば充分だと思うぞ?」


「まぁ・・・どこも似たような品ぞろえだったしな、終わりでいいか。んじゃ、武器屋だ」


「武器屋はどこだ?」


「・・・しらねーのかよ。ちょっとさっきのおばちゃんに聞いてくるわ」


「よろしくー」


出たばかりの店に戻る。

案の定、おばちゃんに話しかけられる。

事情を説明し、武器を扱っているお店を聞いた。

関係ないことまで色々と教えてもらい、少し時間がかかったが知りたいことは教えてもらった。

お礼を言い、外で待っている黒猫に伝える。


「聞いてきた、すっげぇ関係ない話まで聞いてきた」


「・・・だろうな。店の場所聞くだけで10分はかからないからな」


「この街一番の職人が武器を卸している高レベル向けの店と、俺たちくらいのレベルの人が集まる店を聞いてきた。どっちに行く?」


「んー・・・今すぐ新調する必要はないからな。鍛冶師の勉強の為にも高レベル向けの方に行こう」


「ん、案内するわ」


「よろしくー」


俺の道案内で武器屋に移動する。

その間におばちゃんから聞いた関係ない話を聞かせる。

そこまで遠い場所ではないため、半分も話さないうちに到着した。

早速、店に入る。


「いらっしゃー・・・あー、うちはお前らみたいなレベル用の武器は置いてないぞ?」


「知ってます。鍛冶師見習いとして、一流の武具を見に来ました。買う予定は一切ないですが、色々と見ていいですか?」


黒猫が店員さんにお願いする。

買う気が一切ないってのを宣言するのはどうなんだろう・・・。


「冷やかしとは若干違うのか・・・。でもなー、買う気がない奴にうろつかれるのもなー・・・」


「・・・あ、ポーション屋のおばちゃんの紹介できました」


「ポーション屋のおばちゃん?・・・あー、あそこの。あの人がうちを教えたのか。なら、見せなきゃ後で色々言われちゃうからな、好きなだけ見てていいぞ」


おばちゃんの影響力って凄いんだな。

俺らみたいな客じゃない客の要望を普通に通しちゃうとか・・・。


「ありがとうございます。俺は剣でこっちは銃なんですが、両方とも扱ってます?」


「あるぞ。剣はそっちで、銃はこの道を奥まで行った突き当りらへんだ。近くに別の店員がいるから、聞きたいことがあったらそいつらに聞け。店長が許可出してるって言えば大丈夫だ」


この人、店長だったのか・・・。

この街一番の職人と契約してるって言うからもっと凄い人を想像してたけど、普通の優しそうなおっさんにしか見えないな。

あ、でもあれか。この人は雇われ店長の可能性もあるのか。

そのうちおばちゃんにでも聞こう。


「俺はこっちだから、ある程度終わったらどっちかが声を掛けに行く、でいいか?」


「んー・・・うん、それでいいぞ。じゃあ、またあとで」


そう言って、言われた通りの場所まで移動する。

突き当りに着くと、壁一面に銃が飾ってある。

美しい銃、かっこいい銃、厳ついやつに可愛らしいやつなど、色々な銃が置かれていた。

あのピンクの銃とか誰が買うんだ?


「いらっしゃいませ。おや?あなたのレベルではここにあるものは装備できませんが・・・入口で店長に何も言われませんでしたか?」


「あ、どもども。店長さんには鍛冶師見習いとして一流の武器を見に来たと言って、通してもらいました。なので、自分が使うため・・・ではなく、今後作る際の参考に見るだけです」


「なるほど・・・では、基本的なものから一風変わったものなど、簡単に説明致しましょうか?」


「お願いします。訓練所で銃の扱いは習ったんですけど、銃の善し悪しは知らないので・・・」


「畏まりました。それでは、少々準備いたしますので、お待ちください」


店員さんが壁に飾られた銃をしばらく見た後、いくつか台に置き始めた。

シンプルなものや装飾が多い物など、合計5丁だ。


「それでは説明させていただきます。1つ目はこちらのシンプルなものになります。この銃の最大の特徴は特徴がないこと、になります。簡単に言いますと、癖がないため誰でも扱うことが可能であり、練習や実戦、幅広く対応できるのが魅力となります」


無駄な装飾がなく、現実の銃に近い銃だ。

大きさもなんとも言えない大きさで、大きくもなく、小さくもない大きさだ。

特徴がないことが特徴・・・確かに、これを説明するのは難しいな。


「2つ目はこちらになります。先ほどと同じような見た目ですが、こちらは銃自体の軽さに拘ったものになります。銃自体が軽いため、扱いやすく、動きが早い敵にも容易に対応できます。しかし、銃自体を軽くするために威力を犠牲にしているため、高火力を求めているお客様にはあまりお勧めできない一品になります」


見た目はさっきのと変わらない、無駄な装飾がない銃だ。

けど、持ってみるとすぐに違いがわかる。

さっきの銃の半分くらいだろうか、それくらい軽く感じる。

威力を犠牲に、扱いやすさに特化する。

現実でも似たような発想でサブマシンガンが生まれたんだっけ?覚えてないや。


「3つ目は先ほどと逆の、銃自体は重い代わりに高火力を出せるものになります。通常の銃よりもやや大きいため、人によっては持つことすら困難になるでしょう。しかし、それを補って余りあるパワーが自慢の一品になります」


一目見ただけでわかる、でかい・ゴツイ。

一応持ってみるが・・・、うん。俺には無理だ。

まず、手に収まらない。

そして、構えると手がプルプルする。

参考にはなるけど、自分用で作ることはないな。


「4つ目はこちら、少々見た目が変わったものになります。この銃の特徴は、属性弾の風に特化していると言うことです。一部属性弾が扱えなくなっていますが、通常の風属性の属性弾以上のダメージを叩きだすことが可能になっています」


全体的に風をイメージしているのだろう、緑色で羽根が付いている。

重さは普通くらいだが、装飾が邪魔に感じる。

装飾の付け方にセンスが必要そうだな・・・。


「そして、最後がこちらになります。この銃は、呪いを付加する弾を撃てます。おそらく、ご存じないかと思われますが、全ての銃は全ての弾を撃つことができません。一部の特殊な弾はそれに対応した銃以外では装填することすら不可能なのです。この銃は、見た目が派手で、装飾もたくさん付いていますが、呪いを付加する弾を撃つための装飾になっているのです」


へー、知らなかった。

オリジナルの弾を作っても、自分の武器次第じゃ撃てない可能性があるのか。

これはかなり重要だな。

場合によっては、複数の武器を持ち歩く必要があるかもしれない


「以上となります。他にもいくつかあるのですが、あまり多くの事を一度に言われても大変だと思いましたので、5種類に抑えさせていただきました」


「あ、お心遣いありがとうございます。そうですね、とても参考になりました。あと、自分には早いってのがよくわかりました」


「お客様のお力になれたのでしたら、嬉しく思います」


「いえいえ、こちらも助かりました。では、そろそろ友達が待っているので行きますね」


「ご利用ありがとうございました」


丁寧に頭を下げられる。

買ってないから下げる必要ない気もするんだけどな・・・、まぁいいか。

4つ目の説明を受けているあたりから黒猫が後ろにいたことに気付いていた。

なんか今日は待たせてばかりな気がする。


「お待たせ。なんか今日は待たせてばかりだな」


「ん?ああ、気にするな。これくらい別にいい。んじゃ、次の区画に移動するぞ」


「了解」


店長にもお礼を言って、店を出る。

次は右上の区画、2番と番号を付けた区画の探索だ。




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