プロローグ
同性愛者が優遇される世界で描かれるBLはあってもNLを書こうとする人を見かけなかったのでどうしても書きたくて書き始めました。
自分の生き方を振り返りながら、なるべく丁寧に描いていけたらなと思います。
身長158cm、体重は秘密。2月22日生まれのB型で、猫の日生まれの名に恥じぬ無類の猫好き……という訳でもないけれど、それなりに猫は好き。
好きな音楽特になし。だけど音楽自体は好きで、音楽プレーヤーとイヤホンはお友達。
趣味は読書。好きな作者の本は一通り読む人種で、表紙買いとかもするタイプ。ラノベも好きで、アニメも好き。けど、最近流行りの異世界転生やトリップものは一時期ハマって今は食傷気味。
どこにでもあるありふれたプロフィールを掲げ、ありふれた街のありふれた道を歩く私の名前は桜瀬冬華。
寒い冬を超えて咲き誇る桜のように、強く逞しく生きなさい。だなんて字面に似合わない男前な理由でつけられたこの名前との付き合いももう18年と少しばかり。この名をつけた母はもう会えない所に旅立ってしまったからけれど、実は結構気にいってる。
友人もそれなりに多い方だと思っているし、小学校から腐れ縁の如く一緒の進路に進んでいる親友だっているこの生活が、私は多分すごく好きだった。
あぁそうだ、あくびが出るほど退屈に繰り返すこの日常を、私は涙が出るほど大切に思っていたのかもしれない。
大きなマンホールが突然抜け落ちたみたいな軽々しい感覚で、落とし穴にでもハマったかのように、落ちていく瞬間をスローモーションみたく感じながら、重力のままに身体がどこか果てしない地底へと吸い込まれて行く。
走馬灯のように過去を振り返りながらも、私の頭は未だかつてないほどに冷静だった。私はここで死ぬのだと、極めて冷静かつ冷酷な判断を下していた。
酷い話だ、私がもう少し生きられたなら、イケメンと付き合っていちゃいちゃのらぶらぶな生活を送り昔私を振った奴にざまぁみろと中指立てることだって出来ていたはずなのに。
おっと、ついつい欲望が垂れ流しのダダ漏れになってしまった。
けどまぁしょうがないでしょうよ、これで終わりなら、終わってしまうのならばせめて……イケメンの彼氏の1人や2人、はずかしがらずにアタックでも何でもして、作っておけばよかったなぁって思ってしまうのが乙女心ってもんですよ。まぁ、相手にされるかどうかは別としてね?いいのよ、妄想なんてご都合主義なもんなんだから。
イケメン最高、2次元ばりのイケメンが今目の前に現れたなら勢い余ってプロポーズしてしまいそうなほどに、今世最大の願いはきっとイケメンと付き合うことだったのかもしれないとすら思う。
父よ、残念な娘でごめん。母さんは天国に着いたら笑って馬鹿娘って言ってくれると思うから、許してほしいな。娘は一足先に母のところへ参ります。
なんとも残念な思考回路のまま、少女は深い深い闇の中へと吸い込まれていく。
朦朧とした意識の中起こったそれは、足掻くことすら許されないほどの、一瞬の出来事だった。