目覚め
「うッ....」
頭の痛み、そして寒さで目が覚める。
『解凍成功、覚醒を確認しました、扉を開きます』
狭いカプセルの扉が開き、膝が崩れ前のめりに倒れる。
「寒い」
芯から凍えるとはこの事かとも思うが、寒すぎてまともな思考も出来ない。
とりあえず温まらければいけない。
丸まってジッとしていたいが、周りの温度も決して温かいとは言えず、倒れたまま周りを見る。
地面はどうやら硬質な板...いや、病院のようなビニール系の床だ。
ほこりが溜まりあまり綺麗とは言いずらい。
壁は、コンクリートを打ちっぱなしの壁で、黒く大きな数字が書かれている。
数字は三千と書かれていた。
自分が入っていた所を見る。
金属製のカプセルだろう、外側に錆が浮き出ており、結構な年数が経っている事が分かる。
中は柔らかそうなクッションが入っているが、濡れている。
排水溝も付いておりそこから水が流れ出たのだろう、よく見ると上からマスクの様な物も垂れ下がっている。
後分かる事は全裸、これだけだ。
せめてパンツを履いていたかった。
いや、入れ墨も有る、右腕にトライバルが書かれていた。
正直趣味じゃないが、これはどうでも良い。
頭を触ると坊主にされている事もわかる。
これは...五厘刈りと言った所か...
「えっきし!」
思わずくしゃみを出し涼しい風を作る。
手がまに合わなかったそれだけだ。
それ以外分かることは無く、少しため息をついた後、俺は扉の様な物にフラフラと近づく。
足元を薄暗く照らすダウンライトが生きているのと、さっき聞いた音声を考えると、扉に電力は通っているだろう。
扉に近づきセンサーに手を当てる。
『ピピッ電力不足です』
「チッ」
もう一度行うも拒否される。
諦めて、扉と天井付近に有る箱の開ける。
中には、チェーンが入っており、その先には歯車が付いている。
これは知っている、引けば開く。
ガリガリと音を立て少しずつ扉が開いていく。
だんだんと体も温まってきて、イライラも募るが、そこは我慢だ。
膝上まで開きそこから外に出る。
そとは、薄暗いと言うか、暗い。
本は読めないが、何が有るかはわかる程度の暗さだ。
正直怖いが、我慢する。
俺はやればできると言われていた様な気がする。
壁を見ると数字が書かれている所を見るとこれは案内的な事を表しているのだろう。
右や左に行くことも出来るが、少し狭くなっている。
ここは病院と仮定しよう。
病院なら広い所をストレッチャーが通るとして、救急の場合出入り口に繋がっている筈だ。
まぁ病院に行ったことすら分からないが恐らくそうだ。
そんな気がする。
ゆっくり歩き、広い所を通っていると、だんだんと病院じゃないかもしれない物が見えてきた。
金属製の格子で道が塞がっていたのだ。
「はぁ...」
ため息をつきまた考える。
道を引き返すか、ここで誰か来るのを待つか。
足の裏の埃の付き加減からして、誰も来ない可能性が高い。
しかし、俺を起こしたと考えると誰かが来る可能性も微レ存。
微レ存ってなんだっけ?
格子に近づきガシャガシャと揺すると格子が開いた。
いや、超人パワーとかではなくて普通に格子が開いた。
しかし謎が深まる。
この格子が開くのは俺の確認ミスだが、病院と言う線は薄くなった訳だ。
ならここは監獄って事になるのだが....
トライバルの入れ墨を見ただけで俺は何か悪い事をしていたのかもしれない事を考えるが、これが全く分からない。
そう考えると俺はもしかしたら囚人で眠らされていた可能性もある。
おいおい看守は何処だ、ちゃんと見張っていてくれよ。
起きたら起きたで、しっかり面倒を見てくれ!
そう思うが仕方なく歩いて出口を探す。
そうして暫く歩いていく。
「うおっ!?」
思わず声を上げる。
地面にボロボロの布切れと頭蓋骨が落ちていた。
その周りは、弾痕が付いている。
よく目を凝らすとその周りにも大量とは言わないが、弾痕や、手榴弾でも投げたのだろう、ボロボロに地面が爛れていた。
汚いと思いつつも歩くと開いている扉を見つける。
怖い物見たさと言うか、汗が冷え寒くなってきたので何か服か、シーツでも探そうと思い覗き込んだわけだ。
中はロッカー室と言うかガンロッカーになっていた。
ガラスで覆われたケースが幾つか並んでいる。
開いているガラスケースを開け中を見る。
拳銃が入っているが、錆で、置いてある金属に癒着していた。
しかし、空いていないガラスケースも有る。
取っ手を触るとプシュっと音が鳴り、扉が開いた。
中には拳銃とショットガンが掛けられていた。
拳銃を手に取り見る。
9×19と刻印されている。
空の弾倉3つと50発入りの箱が二つ。
ショットガンも見てみる。
チューブには6+1と書かれいる。
弾は、バックショットとスラグ、あとは非致死性のプラスチック弾が20発ずつ置かれていた。
とりあえずそれは置いておいて、別の所も見てみる。
銀色のパッキンで包まれたシャツとパンツ、ブーツも置かれている。
恐らくこの部屋は、看守のロッカー兼ガンロッカーなのだろう。
分けろよとも思うが、この際四の五の言ってられない。
ありがたく服を頂戴し、ベルトに拳銃と背中にショットガンを背負う。
後は、誰かの私物だろう、こじ開けたらキャップ帽が有ったので被っておく。
すると少し安心したのだろう、喉の渇きを感じる。
キャップと一緒に置かれていた缶のジュース。
恐らくエナジードリンクって言う奴だ。
しかし、手を付けずらい。
死体の風化の仕方からして正直1年2年と言った年月が経ってるような感じをしない。
しかし、このロッカーに入っていたものは死んではいなかった。
迷う...非常に迷うぞ...
「よし...行くか...」
喉の潤いも満たせたので、その場を後にした
ぼちぼち歩いて行く。
コツコツと軍靴から音が鳴る。
正直言うとわざと音を立てて歩いている。
人なら会いたい幽霊なら会いたくないそんな状況だ。
そうやって歩き、曲がり角を曲がる。
すると遠くの方で人らしき物体が横切るのが見えた。
思わず声を上げそうになり、拳銃を構える。
ぶるぶると震える体、しかし震えが少ない銃口。
これがまた異様になじむ感触。
さっきまで立ててた足音を消すかのように歩く。
そうして横切った所まで行くと甘い匂いを感じる。
地面には埃が有るものの、小さ目な足跡が刻まれている。
「女子のにおいじゃ」
思わず呟き女子が行った方向に歩き始めようとするとバタバタと騒がしく走ってくる音が聞こえた。
思わず俺は近くの部屋に飛び込み隠れる。
「チッ! どこ行った!」
「足跡が此処で別れてる! 一つは小さいもう一つはデカいからちげぇ! 向こうだ!」
「おら! 付いてこい! 逃がすんじゃねえぞ!」
そう言って男達は走っていった。
うーん...女子を助けに行くか、男達が北方向に進むか....
そう思いつつ部屋からそっと出ると硝煙の臭いを感じる。
女子が来た時には感じなかった匂いだ。
これは助けて一発宜しくお願いしたい。
いやいや、相手の人数は...4人か...後ろからならワンちゃんあるか?
そう思いつつ女子が逃げて行った方に向けて俺は静かに走った。




