今日の所はシダ植物に感謝して、いいお湯加減な所で筆をとめ、奥みかんは寝かせて頂きます
「おう。よく撮れてるよ」
前回、愛子が「写ルンです」で、ダルマ店主の顔を正面から数枚撮ったのが出来上がったから、持ってきたのである。
ロックバンド『ユニコーン』の過去アルバムジャケットにも一般の「おじいさん」が登場するが、それを真似た。
店内には愛子と悠太が市内で採取してきたシダ植物がところ狭しと並べられている。
シダ類は良いなあと悠太は室内全体を見渡す。
「今日1日感謝のテーマ」は植物だけに意識を向けると彼は決めた。
「引き寄せの法則」ご存じだろうか?
いろいろな対象物に感謝してたら神経が疲れてしまう。
いろいろな色、あなたは何色が好き?その内の緑色はやっぱり目に優しいものね。
第一に生活にそんな余裕は無い。
感謝する対象は1つに絞るべきだと悠太は悟りを開いた気持ちになる。
彼は海亀が産卵するかの様な形状の「女子糞」が好きである。
彼の手の上に乗る様に愛子にうんこしてもらいたい。
意識が卑猥な方向へ。
これは仕方ないのではないか。
「野球部員2人と話する機会が先日あって。甲子園を諦めてる様な発言がありました。じゃあ何で毎日練習してるんだよと。前田ってやつは上半身裸で素振りしてるわけですよ。女に見せたいのかって。他に安藤って選手筆頭に監督から結構な体罰を受けてると聞きだしました」
悠太は適当にギターをチューニングしながら、ダルマ店のおっさんに涙ながら訴えた。
愛子は、やかんに水を汲みシダやら苔に水やりしている。
「広田監督だろ。俺の後輩だ。実は俺も野球部でよ。あいつの指導係をしたこともあるよ。母校で監督やれるこれほど幸せなことあるものか。あいつの考えを聞いてみたいね」
そう言うと、おやっさんはダルマに走らせていた筆の動きをとめて筆を額に巻いていた手ぬぐいにはさむと、あぐらを崩し立ち上がった。
そうかと思うとバランスを崩し、また腰を床に落とした。




