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お飾りではなかった王妃の実力  作者: 鏑木うりこ


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第21話 思うところがある男達

「まあでも、ありがとうございます。実際の所助かりました。ハイランド家から使用人20名、どこかの宿を手配しなければと思っておりましたから、お屋敷の方に連れて行ってよろしいのですね? お祖父様」

「も、勿論だとも、フレジット……君?」


 大丈夫でしょうか? フレジットに押されておりますよ、レイクリフ様。


「では、すぐに。ガハラト、場所は分かるね? では姉さん、私はすぐに仕事にかかります。この調子なら絶対公爵家は穴だらけなんでしょう? 腕がなります!」


 楽しそうに執事補佐のガラハトを呼びつけて挨拶もそこそこに行ってしまいました。

 ぽかんとシュマイゼル様と公爵様がフレジットの後ろ姿を見送っておりますが、本当にフレジットはお金と経営に関しては頼り甲斐があります。


「フレジット君は何というか……」

「服のセンスも悪いです、鈍感でお料理の味もわからない事があります。婚約者にも逃げられるほど情けない所もございますが、わたくしの可愛い弟なのですよ」


 そう笑うとシュマイゼル様も少し警戒心を緩めてくれたようです。


「信頼なさってるのですね」

「ええ、あの子は絶対に家族を裏切ったり貶めたりしませんわ」


 シュマイゼル様とわたくしの今の関係はただの口約束の結婚のみ。レイクリフ様との関係は騙された契約書のみ。しかしフレジットの中で、それでもこの方々はもう「家族」なのです。

 わたくしが微笑んだこの方々を、あの子はそれだけで信じたのです。


 フレジットはそう言えばエルファード様には一度も強気に出た事はありませんでした。きっとアメリア子爵令嬢にも()()だったのでしょう。

 ただ、慇懃に振る舞い「家族」の枠に入れようとしなかった。そういうところに勘が働いたのでしょうか。


「フレジットと一緒に行ってはいただけませんか、レイクリフ様。あの様子では本当にすぐに暴れ出してしまいそうです」

「暴れるとは……彼は武芸に秀でていると聞いたことはないのだが……」


 ふふ、そういう事ではないのですけれど、フレジットはきっと「暴れ」ます。わたくしが説明するより実際を見た方が早いとレイクリフ様にお立ち頂いて、フレジットと共にレイクリフ家へ行って頂きました。



「シュマイゼル様、なぜこのような事を?」

「あ、あの……すみません。少々必死でした……」


 バツが悪そうに頭を下げられますが、国王としてあるまじき行為にわたくしは些か腹が立つ、と言うものです。


「もう、誰かにアイリーン様を取られたくなくて……」

「わたくしを欲しいなどという方は他にはおりませんでしょうに」


「そんなことはない! どの国も隙あらば貴女を連れ去ろうとしてくる、間違いないです!! 絶対に他国へ行かないでください!」


 シュマイゼル様は必死ですが、もう若くもなく、そう美しい訳でもないわたくしが連れ去られる訳がないではありませんか。おかしな方です。


「いくら何でもそのような事は……」

「あります! あの何の旨味も強味もないナザールをあれだけ繁栄させて続けている力一つとっても稀有な物。アイリーン様はご自分を過小評価しておられる。貴女と貴女の家族を繋ぎ止められるなら、どんな汚い手でも使いますよ、私は!!」

「あの、汚い手は如何なものかと……」

「必死で見苦しくても私はことチャンスを絶対に逃したくない、いいや逃さない!!逃しませんから、覚悟してください!!」

「え……?……」


 あまりの勢いに思わず後退ってしまいましたが、シュマイゼル様の本気は伝わりました。彼は何故ここまで必死なのでしょうか、わたくしには分かりかねますが、熱意は怖い位に伝わって参りました。

 

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