5話 住人とうどんは凄かった
「ええええええええ!? 魔力が、うどんってなんなんだよ!?」
「じゃあ、こっちからも行くぞ」
俺は魔力の麺、ウドゥン(一応名付けた)を振りかぶる。
そして、ウドゥンをフニヤに向かって飛ばすと、ウドゥンは鞭のようにしなりながら真っ直ぐフニヤの元へ。
ドゴォッ!! フニヤは吹き飛び、壁に叩きつけられた。
やべ、貴族だった。まあいいか、いちいちうどん職人一人の為に追ってはこないだろう。
俺はそのまま歩き出す。
後ろからは悲鳴と怒号が聞こえる。すげー田舎者を馬鹿にされてる気がするが気にしない。
「サヌキさん、レベル高かったんすね?」
いつの間にかやってきたサラダが驚いている。
そうか、俺は仲間をつけてもらえなかったからソロが多かったし、基本的にはうどんを作っていたから知らないのか。
「……いや、俺なんてまだまだだよ。師匠の方とはうどん作りのレベルは天と地ほどだったしな」
「いや、うどん作りのレベルの話じゃねーんだワ」
「いや、でも、うどん作りがうまくなればなるほどあの魔力は強くなっていくんだぞ」
「マジっすか。どんだけなんすか……」
そんな事を話していると遠くから汚い声が聞こえてくる。
「待てこらあ! 絶対に、許さねえぞ! クソ田舎のクソうどん職人が!」
フニヤが立ち上がってる。思ったよりタフだな。それとも、手加減したせいか? まあ、どうでもいいや。それよりも、だ。
「田舎とうどんを馬鹿にするヤツは許せねえな……」
立ち上がるなら、何度だって踏んでやろう。足踏みうどんのように。
フニヤが魔法を放ってくる。俺は余裕で避けられる、が!
アイツ見境なしに魔法放ちやがった!
街の色んな所にぶつかり、大惨事だ!
崩れた壁や屋根が街のみんなに降り注ぎそうになる。
「くそ!」
そう思った瞬間、美しい金髪が俺の目を奪う。
「スゥさん!」
「お姉さんにまかせておきなさい!」
そう言うと、彼女は手をかざして、何か呪文を唱える。すると、降り注ぐ瓦礫は空中で静止する。
これは……風魔法か。流石エルフ。この風があれば麺づくりも……。
「サヌキ、なんか変なこと考えてない?」
「ないです」
「さっすが、スゥさん! って、うぎゃあ! こっちにも瓦礫が! スゥさああん!」
「サラダ! あなただってこういうのなら、なんとかできるでしょ!」
「ううー、わかったっす!」
そう言いながらサラダは自分のリュックの口を広げ、落ちてくる瓦礫に向かって行く。
リュックの口の何倍もある瓦礫だったが、吸い込まれるようにリュックの中に入っていく。
「は?」
「ポーターの天才、サラダの能力は、無限収納。無機物ならなんだって入れられるのよ。あまりに凄すぎて誰かに利用されたくないからって、本人に秘密にしてほしいっていわれてたけど。まあ、出ていくならもういいでしょ」
スゥさんはそう言いながら、俺にウインクをする。
ああ、やっぱりこの人はかわいいなぁ……ていうか、無限収納!? すごすぎるだろ!
いや、驚いてる場合か、俺も働かないとな。
「ウドゥン魔法、【強靭なる白い紐】」
俺は白い魔力の紐を生み出し、瓦礫を掴みどかし、更に危険に晒されている人を動かす。
「ほげええええ!? そんなことも出来るんすか!?」
サラダが驚いてるが、俺のはただの魔力に固さをつけて動かしてるだけだからな。
「相変わらずすごいわねえ」
スゥさんも驚いてる。
「まあ、すごいのはうどんですから」
「絶対違うと思うっす……」
サラダがそう言いながらさっき吸い込んだ瓦礫を取り出していた。
便利だな。あれがあれば、巨大化しすぎて持って帰れそうにないアイツが作ったうどん作り魔導具もいけそうだ。
そんな事を考えてたら、スゥさんにほっぺつねられた。のびるのびる!
【滅びたサヌキの村】
住人:3人(予定)
スゥ エルフ、風魔法の使い手 ←NEW!
サラダ ポーター、収納魔法 ←NEW!
村長:サヌキ(仮) うどん職人 特徴、魔力がうどん状
村の状態:ボロボロ
エルフの呟き「なんでこの男の頭の中にはうどんしかないのかしら……私が入る隙間があっても……」
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