第2章3話「約束」
始まりは瑠花が帝王神候補に選ばれ、メリアの家から旅が始まった頃から。
最初は1時間歩くだけで疲れ果ててしまい、一時は死を覚悟したことまであった。
だがそこに瑠花の補佐をするために呼ばれた琴理によって助けられ、そこで訪れたのが
【50-100 ハイネの町】である。
この町では瑠花のトレーニング、オーラを取り戻すリハビリがメインで行われ、少しづつだが
瑠花はオーラを手に入れ、体力的にも余裕が生まれた。
だがそこにERRORが現れ、瑠花が襲われている所にリリアが現れ、そしてERRORが町全体に忍び込んでいることがわかり、帝国の専攻部隊と護衛部隊がハイネの町に集まった。
瑠花達はリリア達専攻部隊と護衛部隊が動いてくれているからと隣町までの距離を特訓を行いながら移動しているとバルと名乗る町に無数をERRORを忍び込ませた張本人が瑠花達の前に現れた。
琴理が瑠花を守りながらバルの攻撃を耐え、バルが退散した所でリリアが瑠花と琴理の所に現れた気配に気付き、助けに入る。だがリリア自身も瑠花達がハイネの町に到着した時と同時期頃から
帝国という広大な世界を自身の足で走り、ほとんど寝る間もなく動き続けていた反動が現れ、瑠花達の前で疲労が原因で倒れてしまう、
瑠花はリリアの代わりに専攻部隊と護衛部隊の指揮者を名乗り、バルが去り際に言った襲撃日に備えて瑠花に対して信頼がなかった両部隊を無理やり納得させ、襲撃日に備えさせた。
そしてバルの襲撃日当日、瑠花、琴理、リリアの三人はお互いの役割を果たし、結果、バルは消滅し、町の中に無数に居たERRORも排除された。
町や、住人の安否が確認できた瑠花達は本来の目的、【帝王神の試練】を受けるために瑠花とリリアは互いに違う道を通りながらも先に進むことにした。
・・・・・・
瑠花「長かったね、それに本当に出来るとは内心思ってなかったから今でも信じられない自分がいるよ」
琴理「そうね、少し歩いただけで息が立ってた頃に比べたら想像できないかもしれないわね、1つの町の大きさは大体星数個分、ほぼ人間の生身の瑠花が次の街に辿り着くのは到底不可能に近いと思っても本当に仕方なかったことだと思うわ」
瑠花と琴理が居る場所はハイネの町の西側、つまりハイネの町で最も帝国に近い方角、つまり、ハイネの町を超えたのだ。
【50-99 リビアの町】
瑠花「やった!!やったよ!!琴理!次の町まで来れたよ!!」
瑠花は歓喜する!瑠花にとってかなり過酷とも等しい目標がやっと達成されたのだから。
琴理「良かった、本当に、これで帝国で過ごす分には問題ないオーラ量も戻ったわね、本当に最低限だけど」
瑠花「最低限でもいいよ!これで転移装置や他の装置が使えるようになる!帝国に帰ることが出来るし、試練に挑むことが出来る!」
瑠花はやっと自身の次のステップに立てた事に歓喜していた、そして自分がやっと試練に挑む土俵に立つことが出来た喜びがあった。
琴理「とりあえず今日はこの町の避難設備で休みましょう、ここまで平和なら部屋もほとんど開いているはずだわ」
瑠花「おおーー!!」
二人は新たに訪れた町の避難設備に向かった、ハイネの町と同じように宿泊を目的に使用する。
そして二人は避難設備に到着し、そのまま二人部屋に泊まる
瑠花「はあ~~~~疲れた!!本当に疲れた~~!」
琴理「瑠花、夜も遅いし、早くお風呂入りましょう」
瑠花「そうだね!早くこの汗を流したいよ~」
二人は大浴場に向かう、もちろん人はいない、
瑠花「ぶはぁぁ~~、いい湯ですな~~」
琴理「そうね、こうやって落ち着けるのは本当にいいわね~」
二人は浴場でリラックスしていた、そして琴理が次の目的、【試練】について話す。
琴理「次は本格的な試練だけど、どうする?何か準備していく?」
瑠花「う~~ん、多分それはしなくていいと思うよ、そもそも最初から準備できるような試練をあの人達が提示してくるなんて考えにくいし、」
琴理「そうね、試練と言うくらいだからその場から始まる、そんな内容の可能性の方が高いわね」
瑠花「そうそう、そこはフェアというか、全員が均等に苦労するように出来てると思うんだ」
琴理「そういえば最初の試練は月花様の所に行くんだよね?」
瑠花「うん、メリアさんが最初にするなら月花おばさんの方がいいって教えてくれたの!」
琴理「それって本当に大丈夫なの?メリア様ってとことん過酷な道を平然と示す人だから」
瑠花「そうだね、そこは否定しないかな、でも私も最初の試練が身内なら安心かなって思ってるの」
四季月花は瑠花にとって叔母に当たる人物、故に身内なだけに知っている事も多いのだ。
琴理「昔技術開発部隊の副総長をしていた人よね、瑠花同様表彰されて瑠花と同じ帽子を持っているのに、なんで政治部隊に行ったんだろうね」
琴理は「勿体ないな~」と言わんばかりに瑠花に問う、
琴理も技術開発部隊故に功績を残している人は凄い存在なのである、
瑠花「そうだね~、パパが帝国に居れなくなって、私達のママ達が帝国を離れたのも原因じゃないかな」
琴理「そうね、実質10人の専属神の内、4人が帝国ではなく、お父様の側近、秘書、として天帝神王の城に行ってるからね、人員が減れば分散するのは仕方ないことなのかもしれない、わね」
瑠花も琴理もそれが原因で両親とは長い間会っていない、だからこそ、お互い親が不在のために寄り添い合う、昔からそうだった。
瑠花「それに帝国には私達が居たしね!後継者が居るんだからきっと副総長は次世代である私達に任せようって話になったんじゃないかな?」
琴理「かもね、現に今の部隊の副総長は全員私達の世代、【4部隊エリート】だからね」
瑠花「ああ!その呼び方は辞めてよ~、恥ずかしい!」
帝国には専攻部隊、護衛部隊、技術開発部隊、政治部隊(帝王直属部隊)の4大部隊がある
総長は帝国の王パトの専属神が務めている
だが副総長はパトと専属神の子、つまり瑠花達の世代が務めている、4枠しかない故に副総長に選ばれた者は相当優秀であるとされている
専攻部隊ではリリア、技術開発部隊では瑠花、と帝王神候補1位と2位が居ることで大体納得するだろう、
琴理「なら3位と4位は護衛部隊副総長か、政治部隊副総長の二人何かしらね」
瑠花「3位は間違いなく護衛部隊の副総長だと思うよ、全全盛期の頃のリリアちゃんの攻撃を容易に止めるが出来たのはあの子くらいだし」
琴理「それは強いわ、私は流石に全盛期のリリアには勝てる気しないわ、」
琴理はそう言いながら背伸びする、瑠花はその姿を見て微笑む
瑠花「さて、そろそろ出る?お腹も空いたし、明日に備えて早く寝たいしね」
琴理「そうね、私も同じことを考えてたわ、出たらすぐに用意するからお皿とかの準備お願いできる?」
瑠花「らじゃ~~♪」
こうして二人は大浴場を後にする。
そして食事し、就寝に入ろうとしていた時
瑠花「琴理!琴理!今日は一緒のベットで寝ない?」
琴理「ぶふぉーーーーーーーーー!!!」
琴理は寝る前に飲んでいたホットミルクを吹き出す
琴理「え!?なんで!いや!嬉しいけど!すっごく嬉しいけど!?」
琴理は顔を真っ赤にして動揺する、心臓の鼓動が高ぶっているのが自身でもわかる程である
瑠花「え?たまにはいいでしょ?」
だが瑠花はそんな琴理にお構いなしに言う、
琴理(うう、瑠花にその気がないのは重々承知!だけど私としてはその気がなくても一緒のベットで寝ること自体がご褒美・・・ゲフンゲフン!!とりあえずここは瑠花のお願いだし、聞いてあげなくちゃ可哀そうよね!せっかく頑張ってきたんだしね!!?)
琴理は煩悩と理性を頭の中で戦わせ、自身に都合の良い理由を作り上げ、瑠花のお願いを承諾する
そして部屋の明かりを消し、部屋が星の光に照らされる。
ベット自体はひとつでダブルサイズはあるため二人で一緒に寝ても余裕はあった。
そして二人はお互い仰向けの状態で眠る状態で居た。
瑠花「琴理、専属神のこと、覚えてる?」
瑠花が唐突に聞く、
琴理「私から言い出したことなのに忘れるわけないでしょう」
瑠花「それもそっか!」
瑠花は少し笑いながら答える、そして瑠花は琴理の方に向き、琴理の頭を抱きしめるように話す
瑠花「琴理、私が主で大丈夫?後悔しない?」
ぼそっと瑠花は琴理に問う、
琴理「私の気持ちはあの時に伝えたわ、後悔しないし、私がそうしたいの」
瑠花「そっか、でも教えて?なんで急に専属神になりたいなんか言い出したの?」
瑠花は琴理が帝王神候補に選ばれなくて悔しがっていた事を知っていた。
その琴理が誰かの下に自ら着くという行動に少し違和感を感じていたのだ、
琴理「そうね、納得したから・・・かな」
琴理は瑠花の胸の中で話す
琴理「ERRORとの闘いで私はメリア様に助けられた、私も腹部を貫かれて本当に重症だったのよ?そこでメリア様が敵を倒して、私はその時メリア様に聞いたの、「なんで私は帝王神候補じゃないのか?」って」
瑠花はあの闘いの中でそんなことがあったのかと驚いていたが琴理の話を静かに聞く
琴理「メリア様に言われたわ『貴女は誰かに尽くしている方が輝く』って、言われて納得しちゃったよ、確かに私は帝王神候補に選ばれなくて凄く悔しかった、でももし、私が帝王神候補になってたらこうやって瑠花を守ってあげる事も、瑠花の味方では居られなかった。それは私としては死ぬほど耐えきれない、一番の親友と敵になって、一時的に協力していても結局は競争相手だからいつまでも傍に居るわけにはいかない、そんな状況が多分私には向いてなかった、だからメリア様は私を帝王神候補に選ばなかったんだと思う、それですぐに私を瑠花の傍に着けたんだと思う」
琴理はずっと話す、瑠花は琴理の頭を優しく撫でる
琴理「私は瑠花が好き、ずっと傍に居たい、それがどんな使命より、役割よりもずっと強い想いで私の心にあるの、それで私は瑠花の専属神になりたい」
琴理は涙を流す、感情が高ぶってしまい、瑠花に好きだ、と琴理は本心を言っていた。
瑠花「そっか、凄く嬉しいよ、私はその気持ちをちゃんと受け止めるよ、大事にするよ、私からもお願いするね」
瑠花はそう言い、琴理の額にキスをして笑顔で琴理に話す
瑠花「月詠琴理、私の親愛なる友、私の専属神になってくれませんか?これからも私を支えてくれませんか?」
瑠花は琴理にお願いをする、琴理はずっと泣いていた、そして笑顔で
琴理「喜んで!!!」
琴理は青い神々しい光に包まれる、それは専属神の契約を果たした時に現れる現象、この光が発したということは無事琴理は瑠花の専属神になれたという証拠だった。
瑠花「これからもよろしくね、琴理」
琴理「私の方こそ、よろしくね、瑠花」
二人は抱きしめ合いながら、眠る、お互いの気持ちを理解し、認め合い、そして互いの想いが届いた幸福な胸に抱きながら眠る。




