人と悪の共存
アルフォンスがルシファー? どこから突っ込んでいいのか分からず思考が停止する。
「つまり、あなたも悪魔の眷属だということですの?」
リナの質問にアルフォンスが声を上げて笑う。アルフォンスがこんな風に笑うところを初めて見た。
「眷属などではない。私がルシファーそのものだ。その言い草だとお前さん達は眷属のようだのう」
「そうだ。僕はマモンと契約を交わした」
「私はアスモデウスの眷属よ」
「ふむふむ、なるほどのう」
そこからアルファンスはしばらく黙った。目を閉じてピクリとも動かない。
「あなたがルシファーだというのなら、この世界に悪魔が存在しているという事か?」
「相変わらず質問ばかりだのう。自分で思考を巡らせる楽しみを知らぬ。その質問の答えだが、イエスだ」
「何のために? それに、マモンは暗闇の世界にいた。なぜあなたはこの世界にいるんだ?」
「アスモデウスも同じでしたわ。暗闇でかつての栄華を取り戻すために耐え忍んでいると言っていました」
「仕方がない、無知な若者に知恵を授けるのが老人の役目だ。まず最初の質問だが、100年ほど前までこの世界には悪魔が存在していた。いや、正確には人間と共存していたのだ」
「そんなのありえないだろ? かつての人間が悪魔の存在に気付いていたら大騒ぎだろうが、そんな歴史は聞いたことがない」
「何を根拠にありえないと言う? だがこの質問は往々にして長く語る必要があるので後に回すとしよう。次の質問だが、お前さん達がいう暗闇とは冥界に近しい世界だ。その世界に名前などない。私以外の悪魔が存在する世界だ」
「じゃあどうして人間の世界にいた悪魔は、今もこの世界で共存していないんだ?」
「ではその質問に答えるとしよう。ちと長くなるので心するのだ」




