パリ支部の連中を黙らせろ!
「お前は……レイ・チェンバース」
ジョージが僕を見て立ち止まる。
どうする? どうすればいい?
昨夜、この男に殺されかけた恐怖が蘇る。
「――ほらァ、そこをどくんだァ!!」
ジョージの背後からサイモンの声が聞こえた。
「サイモンっ! アルフォンスが追手を始末しろって! それで! それで……」
くそっ、動転してうまく説明できない。
さっきまで炎の蛇がいれば、誰にも負けないと思ってた。でも、ジョージが放つ威圧感は僕の自信を吹き飛ばすには十分だった。
「あぁ? 始末? それよりその腕はなんだ?」
「……だァかァらァ! どけって言ってんだァ!!」
サイモンが後ろからジョージを蹴り飛ばしたらしい。ジョージがつんのめって、僕の方へ数歩進んでくる。
「何をモタモタしてるんだァ。ジョージはそのまま走り続けなァ! それとワンちゃんが処分するのはパリ支部の連中さァ!」
「パリ支部? なんでロンドン支部にパリ支部がいるんだ?」
「そんな事よりその腕はどうしたんだって聞いてんだろうが!」
「おだまりィィィィィイ!!! ジョージはさっさと走るゥ! ワンちゃんはパリ支部の制圧だァ! いいかァ? このあとロンドン支部の連中が出てくるがァ、そいつ等は通すんだァ。その次に出てくるパリ支部を黙らせなァ!」
サイモンがぶちキレた。
それを見たジョージは、文句を言いながら僕の横を走り抜けていく。その後ろにサイモンが続き、さらにロンドン支部の隊員達が続々とサイモンを追って走っていった。
……なんだったんだ? 今朝から訳の分からない事の連続だな。
だが僕に考えてる時間は無かった。無数の足音と雄叫びが聞こえるや否や、目の前にパリ支部隊員が次々に現れる。
「前方に不審な人影を発見……ん? 奴ですっ! レイ・チェンバースです!」
隊員が僕を指さした。
「あら……あなたが噂の? 思ってたより可愛いらしいのね」
集団の中から女性が1人、ゆっくりと出てくる。
「誰だ!」
「そんなに怖がらなくて大丈夫。ただの……パリ支部長よ」
一難去ってまた一難ですね。悪魔と契約すると不運になるんでしょうか?
感想、評価、ブックマークを頂けると励みになりますので、良ければ読者の皆様のお声を聞かせてください!




