十九話 頼み
こんな話も・・・いかがでしょう?^^
「君・・・名前は?」
山本はニコニコしながら尋ねた。それはまるでお爺さんから孫に名前を聞くような尋ね方だった。
「柳内・・・柳内特務少尉であります。」
そうか、そうかねとしきりに山本は頷きながら柳内の肩に手を置き軽く叩き、助言をするかのような口調で柳内に言った。
「これからの日本を作っていくのは君のような若い人間なんだ、我々老人はこれを終えたら君たちのような若い世代に繋ぐようになる・・・これからもしっかりやりたまえ。」
そう言って山本は会議室から一時退出した。柳内は聯合艦隊司令長官という思いもよらない人に話しかけられ励まされた、その感慨にふけりずっと立ち尽くしていた。
「柳内、柳内よ」
「はっ」
高松宮から呼びかけられ柳内は目を覚ました。彼は嬉しさのあまりぼーとしていただけだったのだがどうも他の人から見れば意識が飛んでいるように見えていた、と書かなければ語弊になってしまうだろう。
「申し訳ありません、高松宮様」
「よいよい、今日のような大事な会議の時に君を連れてきてしまったのだ、相当気が滅入る様であっただろう。そのようなことがあった後だ、なんら問題があったって不問であるよ」
「お気遣い感謝致します。今後このような事が無いよう勤めて参ります。」
今彼らは車に乗り、一度天皇陛下(以後今上天皇と記させていただきます)に事態を伝えるために皇居に向かっている所だった。勿論運転士も近衛兵のため傍聴などは無い。高松宮は少し黙想し柳内に話しかけた。
「しかし、そちは奇抜な事を考えるな。まるで山本のようだよ。」
柳内はぺこりと半身を傾け礼をし返事をした。
「ありがとうございます。ですが、これらは全て高松宮様からお教えくださった外国事情があってのこそ・・・私が奇抜なのではございません。」
「謙遜するではない、前にも言ったがそちの考えがこの戦局を大きく変えるやもしれんのだ。胸を張るが良い。」
そうである、と言わんばかりに高松宮は何度も頷いた。そして彼は胸ふと思い出したかのように軍服の内ポケットから一枚の紙を取り出した。
そして再び目を閉じそのときの記憶を思い出していた。
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「高松宮様!」
「おお、山本か。なにか用かな」
そう言って部屋から退出してきた山本は高松宮を探して呼び止めた。探すために早足で駆けていたが彼も歳なのか意気が少し上がっていた。
「申し訳ありません、呼び止めてしまい・・・実はお願いが」
「今の階級はそちの方が上なのだ、私はそちよりも階級が低い士官なのだ。それ相応の接し方をしてくれ、私はそっちの方がよいのだ・・・用件とは?」
山本の話を区切るかのように高松宮は山本に言った。実際に高松宮はそのようなことには皇族であっても特別扱いはしないでくれ、と言っているエピソードがある。
では、と言い山本は高松宮を直視した。
「そちらの従兵・・・柳井少尉を私に譲っていただけませんか。」
山本の言葉に嘘偽りは無かった。
こんばんは信濃です!いつもご愛読ありがとうございます。
さて近況報告ですが・・・そんなことやってる暇はありません!!
アクセス解析を今日になって発見しまして、ぽちっと・・・
総閲覧数・・・10002件!!(私が見たとき)ひええええええ!!
二ヶ月の間にこれほどの方に呼んでいただいていたとは露知らず・・・投稿速度が遅かったり日本語がおかしかったり・・・謝罪してもし尽くせず、感謝しても感謝し切れません・・・本当に皆様ありがとうございます!!
まだまだ精進してまいりますので、引き続き呼んでいただけると光栄です!ほかにもご意見、ご感想などお待ちしております!では!