双子の悲劇
─前世の記憶を持った、化け物の生まれ変わりめ!
それが、実の母親から最初で最後に聞いた言葉だった。
侮蔑的な表情で私達双子を見ながら、アイツは私達を冬の路地に捨て置いたのだ。
─どうしてそんなことをするの?
赤い髪を持った少女は、声にならない、否、声に出来ない叫びを胸の内で意味もなく反響させる。
少女の年齢は、見た目からでも分かるほど幼く、その身には似つかわしくない黒いフード付きの赤いシミの付いたローブを羽織り、左手には少女の倍近くある頭の部分に水晶の付いた大杖を持っている。
そんな少女に、並び立つようにある影が一つ。
─まだ、そんなことも言えないような年齢の僕達をアイツは捨て置いた。
影の正体、緑色の髪をした少年もまた、少女に呼応するかのように暗雲とした声色で漏らす。
─愛情が欲しい。
少女が、まるで遠くにある何かに対して願うような表情で呟く。
そして、その声に追従するように少女と同じ黒いローブを来た少年も呟く。
─怖いよ。
しかし、先程と変わらずその声も、思考も、感情すらもこの暗い世界には何ら影響を及ぼすことはなく霧散してしまう。
そう、ただ意味もない、音にすらもならない感情の思念だけがこの空間に延々と響き続けているのだ。
─空腹も、性的欲求も、睡眠欲すらも存在しないこの世界で成長し続けた。
しかし、双子はその事実に気づいていないのか、それとも、気づかない振りをしているのか、思念のみをこの空間に木霊させ続ける。
─なんで僕が、僕たちだけがこんなに苦しまなくちゃいけないんだ…!
少年の思念に、怒りの影が差す。
─本当は、あんなことしたくなかったのに……………!
少女の嘆きに、悲しみの色が映る。
少年は右手に持っていた剣を大きく振り、剣を覆っていた赤黒い液体を払いながら言う。
─まだだ……まだ足りない。
一方で、少年の隣に立つ少女は、床に撒き散らされた赤い液体を睥睨すると、街中で死体でも見た一般人のように両手で口を押さえ、顔は不気味な程青く染まり、肩を小刻みに震わしとても正常な状態とは思えないような反応をする。
しかし、少女がそんな状態であるにも関わらず、隣に立つ少年は今だ怒りを抑えることはなく、それどころか先程よりもより強く感情を剥き出しにしている。
─ああ…
その怒りの末に、少年は恐らく全てを察したのだろう。
全てを悟った人間らしく、邪悪で、無意味で、醜悪な笑みを浮かべながらようやく、はっきりとした音を紡ぐ。
「ああ、そうなんだ…!」
「あの母親のせいなんだ!!」
「姉さんと僕が死んだのも、町の皆が死んだのも、あの化け物が僕たちの前に現れたのも」
「全部、全部、全部、全部、全部、全部、全部、全部!」
「「あいつの所為なんだ!」」
覚エテイロヨ…セレスティーヌ




