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英雄の旅路  作者: トンヌラ
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夜戦

――――――――――――――平原上空


 イーストフィールドの戦闘から10時間後の深夜である現在。夜に乗じて一気に進軍することになり既に臨戦態勢が整っている。イーストフィールドにはソル部隊とサンセットの部隊が行き、今回の指揮下にはネクサスとネメシスの部隊が入っている。両部隊共にソル単騎に負けている結果が出ているが、強いことには変わりないであろう。



ラーズグリーズ「闇夜に乗じて一気に前線を上げるぞ。アールバシオン共和国への道を作るんだ。」

ネクサス3「アールバシオンの国境は今も獣人とかが頑張って防衛しているんでしょ?」

ネメシス5「アールバシオン共和国の国境は広いからね。やっぱり人魚はいい国を抑えたよねぇ。」


 キティートなど居ないため現状、ハーピーの指揮官は我ということになる。地上では風月が指揮をしている。兵士の体力を消耗せず長距離の行進が出来るペースを保ちつつ、一部のケンタウロスを残したり足の速いケンタウロスを往復させることによってしっかりと補給路を確保している状態を維持していく。


風月「おい。青二才。とっとと先に行け。制空権の維持も大事だぞ。」


 風月がテレパシーで我に文句を言ってくる。確かに制空権も大事だが地上との連携も大事だろう。しかしこの夜だ。きっと想定していない攻め方や奇襲の考えがあるからこのような文句を言ってくるのだろう。


ラーズグリーズ「……了解した。では先行しよう。大規模な敵陣を見つけたら連絡する。」

風月「攻撃はしなくていいからな。空からの攻撃も火力はあるが蹂躙は出来ないだろう。」

ネメシス2「風月と話してるの?あんな暴君の何処が良いのよ。胸?」


 ハーピー達が少しだけ不機嫌になるが、気にしない。とにかく種族間の問題より目の前の問題である人間と魔族の戦争の終結を考えなければならない。

 アールバシオン共和国は技術大国。あそこは何としても守り抜かなければならない。あそこの国が開発する数多のモノは今後絶対に役に立つ。



――――――――――――――セントラルカントリー/ノースコルーダー


風月「大規模ではないが中規模な陣地はあったな。連戦連勝だが気を付けろよ。」


 深夜ということもあり陣地の殆どは完封で壊滅させることが出来た。爆発物などの轟音が鳴り響く武器は使えない。つまりハーピーの出番は偵察などに限られる。ケンタウロスは足音さえ気を付ければ夜襲はお手の物だ。


ラーズグリーズ「我等ハーピーはこのままこの回廊要塞を突破する。流石に上空を飛ぶと発見されるだろうがそのまま飛び続けろ。ケンタウロスの突破口を開くんだ」

ネクサス・ネメシス「「対地攻撃了解。」」


 仕事モードに入れば協力種族関係なく与えられた任務をこなす。ハーピーは確かに強いがそこ辺りのストイックな性格はケンタウロスに通じる何かがある。ケンタウロスからすれば本気を出されたハーピーに負ける可能性があるからあのような高圧的な態度になるのだろうか。

 悩ましい出来事が続くが風月から「ボサッとすんな!」と怒鳴られる。敵味方の位置を探査する魔法を戦闘時常に表示しているおかげで、ケンタウロスの居所が良くわかる。北の城門まで後少しという場所だ。


ラーズグリーズ「この要塞の北門を吹き飛ばすぞ。総員攻撃開始。」


 高度を上げてから急降下していく。高度を上げていく最中に投下することはせずしっかりと攻撃する場所を通過すると同時に投下を開始する。

 地面が揺れ轟音を深夜の要塞に響き渡れば、流石に防衛を担当しているであろう駐屯部隊が上空に向かって照明を照らし出す。そこで見つかれば対空兵器からの攻撃が確定している。


ネクサス1「私達は照明を潰すぞ!ついてこい!」

ネメシス1「北門を爆破する!ケンタウロスの手助けだ!」


 ネクサスとネメシス両部隊は初動以外は各々勝手に攻撃をしていく。つまり我のやることは出てきた人間の部隊を闇夜から狙撃することである。なるべく一般人に被害を出さないようにするには要塞の外郭をとことんまで攻撃するか、軍事施設を攻撃するのが一番だろう。

 しかしこの闇夜の中、軍事施設と家屋を瞬時に判断するのは不可能に近い。やはりケンタウロスの支援をした方が良いだろう。


風月「北門が崩れたぞ!攻め込め!!」


 遠くで風月の号令が聞こえれば地響きが暗闇の中で響き渡り、徐々に近付いているのがわかる。ケンタウロスの部隊は要塞外に展開している部隊など目もくれず、一直線に市街地へ突入していった。北門への攻撃を行っていたネメシス隊はそのまま別方面の門の破壊活動に移る。


風月「制圧しろ!ここは各部隊の合流点になるんだからな!!」


 風月の一撃は容赦なく家々をなぎ倒していき、移動すれば人間は蹴り飛ばされと、戦闘自体大雑把だが確かに派手だ。強者をアピールして戦い続けることは、味方への注意を自分に向けることでもある。風月は自分が目立って仲間を守る戦略を立てているのだと、戦う姿を見て理解した。


 十数分後、混乱するノースコルーダーをあっという間に占領した。




――――――――――――――セントラルカントリー/ノースコルーダー


風月「後は後続部隊が来るまで防衛か。かったるいかったるい。」


 風月が南門に構えてケンタウロスの部隊が再編制されるのを待機している。ネクサスとネメシス隊は着地して休憩している。今、空を飛んでいるのは我だけだ。つまり上空から【目】の役割をこなせるのは我だけになる。


風月「おい。青二才。東と西の方を見ておけ。俺が南を見る。」


 崩壊した南門に仁王立ちする風月。盾を構え剣を持ち続けて未だに臨戦態勢を整えている。

 少し離れた上空からでも29mの巨体は確かに目立つ。遠目で観察し続ければ目を閉じて深呼吸しているのが見えた。装備品を外さずそして姿勢も崩さずたったまま寝ているのか。


ネクサス3「ラーズグリーズ。お疲れ様。交代よ。」


 しばらく飛び続けていればネクサス隊が空に上がってきた。地上に降りれば遅れてきた軍楽隊の人魚が要塞内に入場する。夜襲ということで演奏できないことに不満そうな声を挙げていたが指揮者の人魚がなだめれば各々楽器の点検や休憩に入っていく。


風月「……おい!敵襲だ!南門から3km付近に敵性反応!真っ直ぐこっちに来ねぇ!」

ネクサス3「敵発見!!ひっ!攻撃確認!助けてっ!!」


 風月が剣と盾を構えて戦闘態勢に入る。その直後ネクサス隊からの救難信号が届く。急いで空に上がるネメシス隊。我も後に続く。


ネクサス5「隊長が落とされた!誰か指示を!!指示をっ!!」

ネクサス2「どうなってるんだよ!砲兵でもいたのか!?」


 隊長であるネクサス1が落とされたことにより統率が失われ散り散りになっているネクサス隊。その背後には真っ黒のハーピーに似た生き物がネクサス隊を追いかけまわしていた。


ネメシス1「ネクサス隊!落ち着け!!人間側が召喚した召喚獣だ!」

ラーズグリーズ「慌てるな。我についてこい。そうすれば生き残れる。」

「演奏用意ー!」「曲は何!?」「打楽器を起こせ!!早く!」


 人魚達が慌てふためく会話が混線してる中、ネクサス隊がそれぞれ救難信号を送ってくる。それと同時に敵性勢力の対空攻撃が始まった。

 ネメシス隊よりも先にネクサス隊の援護を開始した我は、確かにネクサス隊を追いかけまわす謎の召喚獣を体当たりで落としていく。手応えは全くないが怯む以上何かしらの対抗手段はあるだろう。


ネクサス4「回避できないっ!落ちる!!やだっ!!やだぁあああ!!」

ネクサス2「ネクサス4が落ちた!!そんなっ!次は私っ!?死にたくない!!」

ネメシス5「ネクサス4が落ちたぞ!!正体不明が更に出現!こっちに来る!!」


 煙を吹きバランスを崩したネクサス4の反応が探知魔法から消えた。同僚が墜落したような通信が入って更に混乱するネクサス隊。そして我を含めた空に居る面々が正体不明の召喚獣に挟撃される形になっていた。


風月「ちぃっ!この要塞の門を全部破壊することがわかっていたから簡単に撤退したのか!」

ケイローン4-1「首相閣下!!西門からも敵が押し寄せてきます!召喚獣も混じってます!」

サジタリウス17-33「こちら東門!!人間の軍勢は多数!防ぎきれません!!」

ケイローン7-7「砲兵の攻撃が来るぞー!!夜だってのにお構いなしか!!」

クレッセント「曲!!【AceCombat7】より【10 million relief plan】!!【Awakenig】!!」


地上も滅茶苦茶になっている。離れた地点から閃光が度々見えるため、きっとあそこに砲兵部隊が居るのだろう。しかし砲兵部隊を狩りに行くとネクサス隊が全滅するかもしれない。だが、砲兵部隊の攻撃をケンタウロスの部隊は耐えるのだろうか。


ラーズグリーズ「ネメシス隊各員に通達。我はこれより砲兵部隊を狩りに行く。ネクサス隊を任せた。」

ネメシス1「了解!早く行って早く帰ってくるんだよ!!」


 要塞内部から荘厳な演奏が聞こえてくれば、視界が一気に良くなる。気のせいか真っ暗闇のはずの視界が明るくなっている。


サジタリウス11-4「視界クリア!流石人魚だな!反撃するぞ!!E~L点まで掃射!」

ケイローン3-9「斉射開始!!魔法によるデコイだ!!術者本体は森の中にいるぞ!」


 地上部隊が反撃を開始すると同時に我も少し離れた場所に大規模な砲撃陣地を築いている砲兵隊を確認した。なるほど。先ほどから度々見えていた閃光は着弾観測などの斥候部隊か。


ラーズグリーズ「攻撃を開始する。」

ネメシス5「ネクサス1を発見!場所を送る!誰か救援に行ってー!!危ないっ!!」


 ふと後ろを見れば必死に攻撃を回避しつつも反撃するネクサス・ネメシス隊と南門をたった一人で守り切っている風月の姿が見えた。

 砲撃陣地は対空攻撃の嵐だった。我の姿を確認した瞬間に次々と誘導弾が打ち上げられていく。きっとあの大砲は新型であり対空も出来るのだろう。ハーピーの脅威度を再評価されるのは少し嫌な気持ちだ。

 しばらく飛び回ってから急降下爆撃を繰り返す。何往復かすればあっという間に砲撃陣地は壊滅した。


風月「青二才!仕事はそれで終わりじゃないぞ!戻ってこい!」

ネメシス3「凄いわ!ラーズグリーズ!」


 砲兵による攻撃が無くなったことと闇夜に紛れる奇襲の最大の弱点である、【明かり】が改善したことによりケンタウロスの部隊はいつものように最速で突っ込んでは敵を蹂躙する。

 そもそも今回の奇襲は前衛の兵士などおらず魔術師系統の兵科だけの奇襲だったらしい。そのため終わる時もあっという間だった。


 戦闘終了後ネクサス隊は解散。以降ネメシス隊に編入となる。最も、ネクサス隊のハーピーは暫く出撃できないであろう。

ネクサス1 → 墜落後救出。重症により退役

ネクサス2 → 重傷。メンタルが安定しないため暫く出撃は控える様に

ネクサス3 → 軽傷。仲間の墜落に未だに動揺が見受けられる

ネクサス4 → 死亡

ネクサス5 → 無傷。動揺が非常に大きいため休憩するように


ネメシス1 → 軽傷。ネクサス隊の生存者を指揮下に入れ再編成するよう通達

ネメシス2 → 軽傷。疲労困憊のため休憩するように

ネメシス3 → 無傷。多少の動揺が見られる

ネメシス4 → 重症。肉体の損傷は激しいが回復すれば依然戦闘可

ネメシス5 → 無傷。

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