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ヤンデレ好きの作者は徐々に、国王の溺愛っぷりを出していくつもりです。よろしくお願いします。
「シェリル!」
とある王宮の庭園で行われていた午後のティーパーティーに、突如現れた 月が隠れ花も恥らう程の眉目秀麗の男性。
蜂蜜のように甘い色合いの ふわふわと揺れる髪。晴天の眩い輝きをそのまま閉じ込めたかのような、どこまでも透き通った瞳。
どんな名画を描いた者でも、彼の麗しさは表せないであろう溢れ出す魅力に、衣服で隠れていても分かる鍛えられたその体。
そして、なにより煌びやかな服装はこの国の王族であることを主張している。
少女達は 彼との恋を夢みて、少年達は彼のようになることを夢みる。
そんな全国民の夢である彼は、心優しく 統治力を持ち 若くしてシェバ王国の国王になった フェリックスである。
「まぁ!フェリックスったら、そんなに急いでどうしたの?」
対する優雅にティーカップを白魚のような指先で操り、満喫している女性。フェリックスの妃、シェリルである。
月のように昼間は銀に輝き、夜は黄金に輝く神秘的な髪をもつ。そんな髪に負けず劣らず、氷のように清らかな白肌に散りばめられた 化粧など必要のない程に整えられた彫刻品のような顔のパーツ。
常に艶々と潤んだ瞳は 高貴を表す紫であり、熟した果実のように魅惑的な唇は弧を描く。
まさに 一笑千金、匂い立つばかりの美しさである。
「先ほど、実に見事なドレスが届けられたのだが…」
「届いたのね!明日のナイトパーティーで着るドレスなのよ。先日、フェリックスが宝石をくれたでしょう?とても綺麗だったから、それに合わせてドレスを見繕ってもらったの!」
「喜んでくれたのなら、よかった。だが、あのデザインはどうしたのだ?」
そう、シェリルをこよなく愛するフェリックスにとって、ドレスを新調することなど気にすべきことではないのだ。
むしろ、シェリルは浪費家ではなく、良政を行う彼にならって国民を愛し、王国のために様々政策を生み出している。
「流行に沿ったドレスなのよ。開放的なデザインで、斬新性に惹かれたの!」
「りゅ、流行………。」
愛する婚約者を流行遅れにする訳には いかないが、それでもフェリックスは首を縦に振ることはできなかった。
それもそのはず。ドレスは、マーメイドラインで背中が がっぱりと空いたデザインであった。
マーメイドラインという点で、身体にぴったりすぎてシェリルのスタイルの良さが引き立ちすぎるのに、背中も空いているなど、飢えたライオンに巨大な生肉を差し出しているようなものだ!と、フェリックスは憤慨していた。
「えぇ。だって、フェリックスがくれたブルーダイヤモンドの髪飾り、貴方の瞳にそっくりでしょう?だから、身につけてたら貴方がずっと側にいてくれるような気がして…。それに、ブルーといえば海で、海といえばマーメイドじゃない!」
頬や耳を真っ赤に染め上げ、潤む熱のこもった瞳で、紅口白牙のその口で、愛する人に「貴方の色を身につけたいの」と言われ、喜ばない男性がこの世にいるだろうか?いや、存在しない。
「そうか、わかった。」
その一言にすっかり気を良くしたフェリックスは 笑みを浮かべ、全身から シェリル大好きオーラを放った。そして、名残惜しそうにシェリルの頬をひと撫でし、髪にキスをおとして帰って行った。
その様子を見たメイドは、興奮収まらない様子でシェリルの元へと飛びついた。
「シェリル様!もうっわたしっ!キュンッ…………キュンッですわッ!!!なんですの〜!その破壊力!もう〜こっちが恥ずかしいですわ!ご馳走様でございまぁあだッ!」
言い終わるよりも早く、メイドの頭に拳骨が落ちる。
「エイミー。シェリル様の前でそのような はしたない言葉に態度。許されることでは ありませんよ。」
髪をまとめ上げ、キリッとした瞳に、一本の芯が入った美しい立ち振る舞い。
メイドの鏡でもある彼女 アルシアは、シェリル付きのメイドであり、王宮のメイド達をまとめ上げるメイド長である。
「いたぁ〜い!メイド長だって、頬を赤らめてたくせにぃっ!」
その一撃は木刀の一撃に値するともいわれるアルシアの拳骨をくらってもなお、シェリルに抱きついて離れない見習いメイド エイミー。
本来ならば、彼女の態度は不敬罪にも値するが エイミーを妹のように可愛がっているシェリルは全くもって気にしない。
「うふふ、いいのよアルシア。だって、フェリックスったら、本当に素敵なんだもの!」
「シェリル様は、エイミーに甘すぎます。そんなことをしても、調子にのるだけですよ。」
シェリルの細い腰に腕を巻きつけ 撫でられているエイミーに、アルシアはため息を吐いた。
「そんなこといって、メイド長だってシェリル様に抱きつきたいんでしょ「おだまり」
おっと、そこには黒い微笑みを浮かべ片手に木刀を持った鬼…アルシアが!
「あああ、アルシア!暴力はいけないわ!」
わたわたと焦るシェリルに、プシューと殺気の抜けていくアルシアに、顔色を無くしたエイミー。
「シェリル様がそう仰るならば、仕方ありせんね。」
そうして、午後のティーパーティーは穏やか(?)に終わった。




