第一撃 前哨基地制圧
1946年12月某日、山口・島根間 検問所
兵士「24歳?若いな、ヤップの兵隊さんよ」
トヨダ・AA型乗用車の助手席に乗った青年が答える
青年「あんたの国も徴兵制だろ?20歳になったら軍に入れられる」
兵士「まぁ、そりゃそうだが,,,その歳で生き残ってるヤップの兵士をあまり見かけないもんでな」
兵士「一番気になるのは...」
運転席に近づく兵士
兵士「おい、そこの女」
兵士「なんで女が運転してんだ?家に帰って裁縫でもしてろよ、イタリア軍みたいな恰好しやがって」
若い女「だってこいつ免許持ってないんだよ」
若い女は腰の辺りに手をやった
若い女「それに...家ならもうないよ」
二人が同時に拳銃を構える
ダン、タンタン
検問所は沈黙した。エンジン音だけを除いて
青年「ずいぶん簡単だったな」
若い女「二人しかいないなんて」
青年「死体は片づけなくていいのか?」
若い女「どうせオオカミが片づけてくれるよ」
青年は呆れるように答えた
青年「日本にオオカミはいないぞ...まったく」
車が停止する
若い女「着いたよ、さぁ降りた降りた」
二人はトランクから小火器を取り出す
青年は九九式短小銃のチャンバーを確認し、若い女はベレッタ Modello 1938Aにマガジンを差し込んだ
青年「不安だな」
若い女「硫黄島から生還したあんたが言ったらおしまいだよ」
青年「いや...君のお姉さんがドイツ軍にいるんだろ?あの人がここにいたら...」
若い女は余裕そうに答える
若い女「姉ちゃんなら見逃してくれるよ、というより、自分の故郷を焼いた国にまだ忠誠を誓ってるのかな...?」
青年「それもそうか」
青年は銃剣を小銃に装着する
巡回に飽きた兵士が前を歩いている同僚に話しかける
兵士1「なぁ、裏切り者って知ってるか?」
兵士2「あぁ、将校の服を着たやつがドイツ兵を殺しまくってるんだろ?」
兵士1「総統閣下の演説を聞いてそんなことができるはずがない。アーリア人の恥さらしだ」
兵士2「殺された将校の服を鹵獲したやつが暴れているだけじゃないのか?総統閣下も気にしていないようだし、そのうち―」
ナイフが兵士2のこめかみへと深く刺さった
兵士2「イッ」
兵士1「え?」
兵士1がナイフが飛んできた方向へ小銃を構えると、日本兵が向かってきた
腹に銃剣が鍔まで刺さり、兵士は悶える
兵士1「うわ...」
直後に銃剣を抜き、そのまま銃床で顎を殴り上げる
意識を失い倒れた兵士の顔を銃床で何度も殴りつけ、認識票でしか判別できないレベルまで損壊させた
若い女「やりすぎじゃない?」
青年「ハァ...ハァ...いいんだこれで...確実に仕留めないと...」
青年「ふぅ...役割分担だ。俺は監視塔を制圧し、そこから援護する。君はテントを掃討してくれ」
若い女「Jawohl。」
青年は銃剣を外し、小銃を背中に背負った
ハシゴを上り、ドイツ兵のアキレス腱を斬りつけ、バランスを崩して倒れたところを、頸動脈を掻っ切った
青年「このkar98k、狙撃眼鏡がついているじゃないか、ありがたく使わせてもらおう」
若い女がテントに短機関銃を向ける
タタタタタ
テントに無数の穴が開き、中から悲鳴が上がる
もう一つのテントから、銃声を聞きつけたドイツ兵が飛び出す
兵士「襲撃だ!」
青年「見えた」
青年が引き金を引くと、ドイツ兵の頭が文字通り吹き飛ぶ
青年「うっ...kar98kってこんなに反動が強かったか...?」
若い女は新しい弾倉を短機関銃に装填し、件のテントに向かって発砲した
若い女「これで全員かな?」
青年「そうみたいだな」
日が沈み始める
青年「今日はここで休むか」
三つ編みの先を指でいじりながら若い女が答える
若い女「嫌だね、血生臭くてたまったもんじゃないよ」
若い女「もっと離れたところで野宿しよう」
二人は車に乗り、去った
―――――――――
怯える兵士「ま、待ってくれ!家族がいるんだ!ほ、ほら!」
兵士は胸のポケットから家族写真を取り出す
女「それはみな同じだ、国を恨むんだな」
兵士は諦めたかのように女を挑発し始めた
怯える兵士「この裏切り者!その軍服はお前みたいなやつが着るものじゃない!」
女「ほう?」
女の後ろで別の兵士がゆっくりと小銃を構える
怯える兵士「このアーリア人の恥晒しめ!お前なんか死んじまえばいいんだ!」
別の兵士が発砲した。だが、女は弾を避け、行き場を失った鉛弾は怯える兵士の脳天に命中した
兵士「あ、ありえない!小銃弾だぞ?!」
女は振り返り、マウザーC96を構えた




