40.
難民が来る原因の可能性として、あと思いつくのは戦争。
日本でもよく、「戦争難民が〜」って話を聞いたことがある。
でも日本に来る難民ってすごいよね?
日本はここと違って、海で囲まれているんだよ?
飛行機と難民って、なんか違和感がすごい。
「あとは、何処かと戦争するために、徴収しているとか?」
「戦争だった場合、鉄なども大きく動くが……戦争には人が必要だから、難民にはならないだろう。」
「じゃあ、やっぱり飢饉が有力説?」
「おそらくな。」
そっか。
この世界では、平民も徴兵されて戦争に行くんだ。
徴兵された人も、残された人も、どっちも大変だよね。
戦争なんて、権力者が喜ぶだけで、平民は誰も喜ばないのに。
「難民が増えたから、少しずつ治安の悪化が目立ってきている。一部の難民はスラム街に住み込んで、スラムの住民との間で諍いが起きている。それに難民が多すぎて、王都の外、外壁の近くに難民の集落ができ、旅人や商人と衝突したり。問題が山積みだ。」
うわー……
そりゃあ、治安も悪くなるわ。
諍いの度に、騎士が仲裁に走るんでしょ?
余計な仕事が増えてるね。
解決するには、難民をどうにかしないと。
「飢饉だと仮定した場合、支援物資の依頼とか来てるよね?どうするの?」
「そこも疑問なんだ。実はマーヤン王国から何の連絡も来ていない。もちろん、支援物資の依頼も。」
「それは……変だね。」
「ああ。マーヤン王国の現状が把握できないんだ。情報は集めているんだが、国外に出る者ばかりで、国内にはいるものがいない。国内に入ろうとすれば怪しまれるから、手をこまねいている状態だな。」
確かに、国内に入る人がいないのに、入ろうとしたら普通に怪しい。
でも入らなければ、情報を集められない、と。
…………空、飛んでいく?
……行っちゃう??
空のデート、誘っちゃう???
別に、偵察じゃないし?
ただのデートだし?
竜だから、隣国でも近場のデートの範囲だよね?
車でドライブデートするようなものだよね?
「話を変えるんだけど……」
「??」
「私、お空のデートしたいなぁ?ヴィルだと嬉しいけど、ヴィルは総団長で忙しいだろうし。別の人とお空の散歩でもいいよ?」
「……?…………!?」
不思議そうに眉間に皺を寄せていたヴィルは、ハッと何かに気がついた。
「そうだな……私は一緒に行けないが、一緒に行ける者を手配しよう。少し待ってくれ。」
「はーい。」
ヴィルが騎士たちに指示を出すのを、私は部屋の隅で黙って眺めるのだった。




