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空を飛びたいと言ったけど、竜になりたいとは言っていない  作者: 氷桜 零
三章 世界の危機は、自分の危機
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36.


宣言通り、翌朝私はヴィルの執務室に呼び出された。

いつもと同じように第一騎士団長の執務室に行くと、挨拶もそこそこに、第一騎士団長からヴィルの元に向かうように言われた。

それで一緒にヴィルの執務室に来たのだ。


ヴィルに促されるままソファに座ると、目の前のソファにヴィルと第一騎士団長が座った。

いつぞやの再現のようである。


「さて、何から聞いたものか……」


「話が長くなりそうなので、お茶でもいれましょうか?」


「あ?ああ、そうだな。頼もう。」


私は亜空間からティーセットを取り出して茶葉を入れ、魔法でお湯を注いだ。

その間、目の前の二人は興味深そうに眺めていた。


人数分のカップにお茶を注いで、二人にサーブする。

紅茶のいい香りが、部屋中に充満し、心を落ち着かせる。


「ではまず、私個人の話から。質問があれば、その都度聞いてください。私は光竜、光属性の竜です。光竜は影属性以外の全ての魔法を使うことができます。一番得意なのは光属性ですけど。私は仕事兼趣味で人間界に来ました。」


「待て、竜とは何だ?」


「竜は世界の管理者です。神に近い存在だと思っていただければ。竜種は七種類。火属性の火竜、風属性の風竜、水属性の水竜、土属性の土竜、植物属性の華竜、光属性の光竜、影属性の影竜。属性や強さは、鱗とツノで判断できます。」


「仕事兼趣味とは?」


「簡単に言うと、世界の監視と人間界を見たかったからですね。世界に瘴気が溢れると、化獣が増え、堕人が生まれて、いずれ世界が崩壊します。それをさせないことが私の仕事です。」


「堕人とは、アレか。」


「はい。より濃い瘴気の下に生まれる、知能をつけた化獣、それが堕人です。瘴気が濃ければ濃いほど、知能が優れて人に近くなります。今回のは、ランクでいえば下級です。」


中級になればもっと知能が上がり、罠やフェイントなど使ってくる。

上級は、ほぼ人と言っても過言ではない姿をしている。

そしてもちろん、最上級は堕神だ。

あんなに単純に倒せるものではない。

あの時は、下級だとわかったから余裕があった。


「あれで下級……」


「瘴気を無くす方法はあるのかい?」


「ありませんね。負の感情があるところに、瘴気があります。相互作用の関係なんですよ。ただ、薄くする方法はあります。」


「それは?」


「人間同士の争い、他種族に対する差別の解消。そうすれば負の感情は薄れ、同時に瘴気も薄れます。」


ヴィルたちは、難しい顔で黙り込む。


当然か。

そんな簡単に戦争をやめたり、差別を解消できていれば苦労はしないだろう。


私は一息ついて、紅茶を飲むのだった。






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