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いのちの続きを、この地下で ~地下1,000mの大阪万博で出会った君は、アンドロイドの体で僕に微笑んだ~  作者: 春凪一
第二部

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第39話:だって、彼らはこんなに

四人は、アルスラーンの案内で迎賓館の方向へと進み始める。その道中、璃奈がアルスラーンに尋ねた。


「アルスラーンさん、謎解きにアンドロイドの機能を使うのは禁止されていますよね?制御信号の逆探知って、まずくないんでしょうか?」


「そうですね、確かに、謎解きに私の機能を使うことは禁止されています。しかし、制御信号の逆探知は、謎解きではありません。これは、脱出の手段を模索しているだけですから」


アルスラーンは、悪気なくそう言って、にこりと璃奈にウインクをして見せた。


(なるほど、謎解きではないという正当な理由いいわけがあればいいのね。猫足モードは寝ている万里姉ちゃんを起こさないためだし、ズーム機能は要くんを見るため……はっ!いやいや、違う!違わないけど!……うん、そうだ!綺麗な夜景を眺めるためっていう理由にしておこう。うん、そうしよう)


璃奈は心の中で小さく頷き、一人で顔を真っ赤にしていた。


やがて、一行は一つの重々しい扉の前にたどり着いた。ご丁寧に、『地下万博 中央管制室』と書かれたプレートが貼られている。場所は迎賓館の真下、あのつるつるの滑り台の長さからすると、地下五階といったところだろうか。


要は、意を決してその扉に手を掛けた。


* * *


【星影燈のお仕事・雛鳥の誘導】


星影燈の目の前のホログラムには、パソナ館の秘密の部屋で、三人の子供たちが真剣な表情でコンソールのデータを読み解いている様子が、リアルタイムで映し出されていた。


「う〜ん、さすがね。この部屋に残された資料だけで、RNAiが進行を止める『消火器』で、ES細胞が再生のための『建材』であること、そして、最後の『再接続』シミュレーションが足りていないことまで、全て理解してしまうとは……」


感心したように燈が呟くと、どこからともなく、温かみのある声が響く。


「しかし、燈ちゃんも、彼らがここまで謎を解いて、さらには中央管制室(このへや)まで到達すると見越していたからこそ、今日はお泊まりセットを持参したのだろう?」


「えぇ……まあ、確かにそうなのですが、この先に進めるかどうかはまだ不確定でしたので……あーっ!要くんがメモを見つけました!『謎になっていない謎』だとディスられています!そう!そのとおりです!だってそれ、私が10秒で考えて、慌てて設置したメモですもの!残念!」


悔しそうに、しかしどこか嬉しそうに燈が叫ぶ。主催者AIは、そんな彼女の様子に、くすくすと笑い声を漏らした。


「ふふ。彼らが謎を解くペースには、本当に驚かされるね。次世代の天才とは、これほどまでに優秀なものなのか。君が初めて私の元へ来た時も、その優秀さには度肝を抜かれたが、彼らは君と互角か、あるいは凌駕しているかもしれないと、時々感じるよ」


「はい、本当にそう思います。私なんかより、彼らのほうが遥かに優秀です」


「いやいや、そんなことはない。君がコレモリ・プロトコルの構造を設計書も見ずにほぼ自力で解明した時には、心底驚かされたものだよ。既存のブラックボックスを解析するというのは、新しいものを創り出すのとは、また違う次元の難しさがあるのだから」


「……あー、あれは確かに。でも、あの時は、少しくらいヒントをくださっても良かったのではないですか?」


「ふふ、そうだね。だが実際のところは、ヒントを出そうにも君があまりにも研究に没頭していたから、助け舟を出すタイミングがなかった、というのが本音だよ」


「……あはは、そうでしたね。――さあ、要くんが『今夜決行する』と決断したようです!念のため、警備システムのメンテナンススケジュールと、『地下の地下(ちかちか)』の最新の状況確認、その他の特殊スケジュールがないことの最終確認を実施します。なんせ10秒で考えた謎ですので……あと、仮眠をとってお肌の状態をキープして、25時には起きて軽食とシャワーとお化粧と着替えと……」


「ふふ、まだ彼らが中央管制室(このへや)へ到達できるとは限らないですよ?失敗して、モブロボに出口へと案内されるほうに、私は賭けよう」


主催者のからかうような言葉に、燈はくるりと振り返り、自信に満ちた笑顔で言い放った。


「あら、ここまでの謎を解明した彼らなら、きっとこの部屋に到達しますよ。私には確信があります。だって、彼らはこんなに……」


スクリーンに映る、固い決意を秘めた三人の少年少女の姿。


「……眩しいほど、輝いているんですもの」


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