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プロローグ:花火の下の二人

いのちの続きを、この地下ばしょで ~地下1,000mの大阪万博で出会った君は、アンドロイドの体で僕に微笑んだ~



偽りの夜空の下、少年と少女は、巨大な円環リングを支える40番目の柱の前で、奇跡のように出会った。


少年は論理の道を、少女は直感の道を、それぞれ全く違う道のりを辿ってきたはずだった。


だが運命は、二人を同じ時間、同じ場所へと導いた。


「やっぱり、ここが正解だね」


「うん、ここで決まりだよ」


二人は共犯者のように微笑み合うと、柱の上部を見上げる。


無数に並ぶスピーカー。そのうちの一つだけが、会場に流れる優しいメロディーを奏でず、沈黙を守っていた。


警備ロボットがそのカバーを開けた時、中から現れたのは、一体の人形。


探し物は、見つかった。


その瞬間だった。


ヒュルルル、と空気を撫でるような優しい音が遠くから響き、巨大な光の華が音もなく夜空に咲いた。


頭上のリングをフレームにして切り取られた、一枚の巨大な絵画。色とりどりの大輪が次々と打ち上がり、視界の全てを祝福の光で埋め尽くしていく。


二人は驚き、言葉もなく、ただ共にその花火を見上げる。


不思議と、会場の音楽は届いていなかった。


二人の世界に満ちているのは、たった一つの音。


ドクン、ドクンと、自分のものか、隣に立つ相手のものかも分からない、あまりにも大きく、そして同じリズムを刻む胸の高鳴りだけが、全てを支配していた。


全ての歯車が、今、静かに回り始める。


――これは、ある夏に見た夢のお話。遠い未来と少しだけ懐かしい過去が交差する、ささやかな冒険の物語。


私たちが生きる現実と、ほんの少しだけ枝分かれした並行世界で繰り広げられたこの物語が、あなたの心に小さな「ifもしも」の輝きを残せますように。


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