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(なんだ…!?アイツは…!?)
醜悪な顔のアイツはキョロキョロしている
木陰に身を潜めた俺は
(気付かれてなくて助かったぁ…
とにかく動いたら見つかりそうだからどっか行くまでじっとしとくか)
何故かキョロキョロをみて落ち着き?を取り戻した俺は早めに最善の方法に辿り着いた
(気配を消そうと思えば思うほど、息遣いや唾を飲み込む音がデカくなってる気がするのは俺だけなのかなぁ…)
と、アホな思考の海に沈むのであった
(ヤバい!考え事してた!!
アイツはどうしてる!?)
木陰から覗くと俺のいる場所とは違う方角へ歩いて行く姿が見えた
(良かった…息を潜める作戦が成功したか)
やがて視界からアイツが外れていった
(色々と気になるけど考え事は後だ!
身を潜められる場所と飲み水を確保しないと…!)
森を歩く事、15分程度経った時
(!!? 水の流れる音がする!!)
知らない所に投げ出された極度の緊張と
知らない生き物と邂逅した少しの緊張で喉がカラカラになっていた俺は
走り出した…
いや、正確には山歩きもほとんどしたことがないから普段の歩くスピードだが…
とにかく気持ちは100メートル走〇〇〇〇ボルト!
『ガブガブッゴホッガハッ』
気管に入った…
「ヤバい…死ぬ…」
人は簡単には死ねない
「生き返ったぁ…」
人は生き返らない…………すみません
「飲んでからじゃ遅いけどこの水飲んで大丈夫かな?
まぁ、見たところ綺麗だし……あっ!?
魚!!」
水は底が見えるほど澄んでいて木漏れ日を反射している
「魚がいるし飲んでも大丈夫だろ?」
素人サバイバル術ここに極まる!!
「お腹が空けばとりあえず魚取ればどうにかなるし
水も確保出来たから…」
(次は身を潜められる場所か…
さっきまでまた独り言呟いていたし…
アイツに見つかってもヤバいし…
気を取り直して探すか…はぁ)
沢?小川?沿いに考えなしに上流に向かって行く
(それにしてもアイツはなんだったんだ?
…ゴブリン?
いや、そんな…)
ラノベには精通していないが俺は社会人になってから休みの日にたまにRPGのゲームをしていたこともあり
その時に出てきた敵キャラに酷似していたアイツがゴブリンに思えた
(馬鹿な事…
いや、そもそも工場から記憶がなく目覚めたらこんな知らない場所に来てテレビでもネットでも見た事も聞いた事もないアイツに…
もうゴブリンでいいだろ…)
そんな事を考えて森の中を沢沿いに歩くと岩場にたどり着いた
(歩き辛いなぁ…あれ、は…滝?)
目の前には高さ10メートル以上はある崖と滝が…
(最悪だ…登れない…よしんば登れるところを探して登れたとしてもその先は?もし登った先がゴブリンだらけだと崖を背にして逃げなきゃいけな…なんだあそこ?)
はじめてのさわのぼりはキツかった…