23.「4箇所目」同級生(仮)とアルジ
この作品はフィクションです。
「じゃあ、とりあえず一緒にご飯食べよう!同級生ってそういうもんだから!」
「いや、だから、」
照れ隠しを言う魔王くんの手を引いて、屋台の前に連れてくる。
勇者たるもの、相手の背中を押して一歩踏み出す勇気を与えるべし。
父さんも母さんもそう言っていた。
「さー!早く早く!ぼやぼやしてたら昼休みはあっという間に過ぎちゃうよ!」
「…なんだ、昼休みって。」
「細かいことは気にしないっ!!」
「…少しは気にしろ…。」
「勇者たるもの、」
「わかったわかった…。」
ぶつぶつ言っていた魔王くんだが、なんだかんだ食事を食べることに異論はないらしい。
「今日はどうするんだ?」
「…うどん大盛り。唐辛子大盛りで。」
「え!?」
「…なんだよ。」
「え、え、だって、うどんと唐辛子だけ!?だけなの!?」
「…そうだ。」
「美味しいの!?それ!?」
「…あぁ。」
「え、でも、でも、それって、ちゃんと、味、するの?」
「………。」
魔王くんは視線を反らして黙ってしまった。
これは、どうすればいいんだろう。大量の唐辛子しか入ってないうどんなんて、めちゃくちゃ辛いだけで栄養も味もあったもんじゃない。勇者たるもの、同級生にそんなものを食べさせるわけにはいかない。
「あ、ほら!でもさ!うどんって、いろんなものを乗せられるんだよ!」
「………。」
「卵とか、かき揚げとかさ!豪華に行きたい気分なら、海老の天ぷらとか、思い切って全部乗せとか!いろいろ出来るんだよ!」
「………。」
「せっかくいろいろな食べ方があるんだから、いろいろ試してみるといいと思うよ!きっと美味しい」
「おい。」
「、」
「うるさい。」
…………………………。
「………。」
僕は、未熟だ。
目の前の同級生一人すら、導くことが出来ない。
勇者たるもの、万民を導く存在であれ。
父さんも母さんもそう言っていたのに…。
「くっそぉぉぉぉぉーーーっ!!!!修行のやり直しだぁぁぁぁぁーーーっ!!!!」
だだだだだだだだだだだだ…………
「………なんなんだ。」
「あいつは前からずっとあんな感じだっただろ。」
「………そうだったな。」
「ほら、うどん大盛りの唐辛子大盛り、おまちどおさま。」
「あぁ。」
………、
「やっぱりあれか。日常的に炎吹いたりするから、辛いものに強いのか?」
「…魔王はドラゴンじゃない。」
静かになりました。




