風が凪いた日
いよいよラルダの過去が明かされます!
さぁ!刮目してみよ!!
第22話『風が凪いた日』
その頃
【カジャラクタ王国 サラシュの森 ラルダチーム】
ウンディーネ「ふふふ、愚かなもの達よ」
レスト「…ぐっ、ボロボロだな…。クロウリー…兵長は無事か?」
クロウリー「いや、無事じゃない…これは息が尽きかけてる…。」
ウンディーネ「人間風情が私に楯突くからこうなる。全てを沈めてやろう。」
「水魔法:ネビュラスクリュー!!」
蛇のようにうねる巨大な二本の水柱が
レスト、クロウリー、ラルダに向かって放たれた。
ウンディーネ「ふふふふはははは!!消えろ!
消えてしまえ!!」
ゴゴゴバシャァァァァ
レスト「ごぶっ…息が…」
クロウリー「くっ…がはっ…」
ラルダ?「……」
ラルダの心の中(あぁ、そんな顔で僕を見るな…僕は君には必要ないんだから…あの人のように…優しい人に…。)
《ラルダ・シュトロム 優しさの記憶》
ラルダ当時6歳、彼は孤児院で育った。
生まれも知らず捨てられ孤児となった。
シスター「こら!ラルダ!木の棒を振り回さないの!危ないでしょ!」
ラルダ「僕は大きくなったら世界を守る勇者になるんだ!!」
ドタドタドタ
シスター「こらー!!走り回らないの!」
ラルダ「シスターもみんなも僕が守るもんね!!」
ドタドタドタ!!
ギィィ…バタン!
???「うぉっ!」
開いた扉にラルダがぶつかった。
ラルダ「うぁ!!痛ったいな!!なにすんだよ!!ロドウィンのおっさん!!」
ロドウィン「いやぁ大丈夫か!坊主!」
ラルダ「坊主じゃない!ラルダだ!!
世界を守る勇者様だ!!」
ロドウィン「ははは!そうかそうか!」
シスター「ロドウィン兵長!今日は如何されましたか?」
ロドウィン「おぉ!これはこれはシスター!
今日は遠征で食材が沢山取れたもんでおすそ分けにと」
シスター「いつもありがとうございます!
本当に助かってます」
ロドウィン「いいんですよ!ははは!」
ラルダ「む…!!食材とかいって血なまぐさいんだけど!」
ロドウィン「あ!やっぱり坊主にはバレるか
相当鼻がいいんだな。」
ラルダ「坊主じゃねぇし!」
ロドウィン「ほら!これだ」
ラルダ「うおおぉ!!これって熊かよ!!」
ロドウィン「熊肉は案外うめぇんだぞ!」
ラルダ「ふぉぉぉ!!(キラキラ)」
ロドウィン「目をキラキラさせやがってからに」
シスター「ふふふ」
ロドウィン「みんなを集めてくれ!ご飯の時間だ!」
《孤児院の食堂》
シスター「それではみんな!今日はロドウィン兵長が美味しいお肉を持ってきて下さいましたよ。女神様に感謝して頂きましょう。」
孤児院の子供達
「ロドウィン兵長!ありがと!!」
「おじちゃんって凄いんだね!」
「このお肉うんまぁ!!」
「んー!さいこう!!」
ワイワイガヤガヤ
ロドウィン「ははは!どんどん食べてくれ!」
ラルダ「ムスッ……」
ロドウィン「おい、どうした坊主シケた面して」
ラルダ「ロドウィンのおっさん、女神って本当に居るの?」
ロドウィン「んー?なんでそう思うんだ?」
ラルダ「おっさんは昔語ってくれたじゃないか
勇者の話を。あまねく星々からこの世界に降り立つ勇者。それを支え導く女神の存在って。
なんで女神に感謝ばっかりして勇者は感謝されないんだよ…。」
ロドウィン「坊主…それはな…」
ラルダ「それは…」
ロドウィン「今は言えねぇ…てへっ!」
ラルダ「なんなんだよ!もー!!」
ロドウィン「でもよ、坊主は女神の方じゃなくて勇者に惹かれたんだろ?ならそれを貫き通しときゃいい。」
ラルダ「なんだよそれ!絶対勇者の方がかっこいいもん!!」
ロドウィン「ははは!そうだな!」
シスター「ラルダ、食べないと冷めるわよ!」
ラルダ「うう!!」
ロドウィン「シスター!少し外出てるな」
シスター「あっ、はい!寒いので早めに中に入ってくださいね。」
ロドウィン「おう!」
《孤児院の外》
ロドウィン「ふぃー…寒いな。」
ピーーーー
ロドウィン「やっぱ来る頃だと思いましたよ
女神様…。」
ロドウィン「魔王復活か…それで女神様はどうするんです?」
ロドウィン「おひとりで戦うんですかい。そりゃあ…」
ロドウィン「もし何かあったらって、そんな演技でもねぇこと言わないで下さい。」
ロドウィン「はい、必ず勝って下さいよ。」
ラルダ「ロドウィンのおっさん」
ロドウィン「坊主…!」
ラルダ「ご飯冷めるよ…」
ロドウィン「あぁ、すまんすまん!」
ラルダ「おっさん女神と話せるんだ」
ロドウィン「あちゃー…バレちったか」
ラルダ「魔王が復活するんだろ!僕を勇者にしてよ!!」
ロドウィン「坊主…それは無理だ」
ラルダ「なんで!!勇者は世界を守る存在だろ!!僕がなる!!あまねく星々じゃなくて
僕が勇者になって魔王を倒すんだ!!」
ロドウィン「だから、無理なんだ!」
ラルダ「勇者はあまねく星々から…来るんだろ!だったら…僕だってその1人…あまねく…星々…ほしぼし…」
ロドウィン「そうだ…坊主、上を見てみろ」
ラルダ「ああぁ…」
ロドウィン「この満点の星空にある無限の星
そのどこかに居る勇者をこの世界に呼び出す。
言ってる意味が分かるか?」
ラルダ「いせ…かい…。」
ロドウィン「この世界を蝕む脅威ゴウカ…奴らが異世界から来たもんなのは世界中の誰もが知ってる。異世界から来たものが忌み嫌われるのもな…。」
ラルダ「じ、じゃあ勇者は…。」
ロドウィン「分からねぇ。勇者が異世界…。
それこそゴウカと同じ世界から来たやつなのか
そうじゃねぇのか…。悪なのか善なのかも
分からねぇ…。」
ラルダ「な、なんだよそれ!!」
ロドウィン「それがさっきの答えなんだよ…
坊主…。この世界で勇者を信仰する奴なんて居ない。あまつさえ異世界の勇者など来て欲しくないとさえ思っている。」
ラルダ「勇者が…悪わけないだろ!
魔王を倒すんだろ…。」
ロドウィン「坊主、勇者は導かれる存在としか書かれてねぇ。魔王を倒すなんてどこにも書いてねぇんだ…。」
ラルダ「なんだよ…それ…来る意味ないじゃん…」
ロドウィン「……。」
ラルダ「…女神1人に戦わせるの?」
ロドウィン「んなことするもんか!大丈夫だ!俺に任せておけよ!この!偉大なる風の兵長
ロドウィン・フリゲイル様にな!」
ラルダ「なぁ…おっさん」
ロドウィン「ん?どうした坊主」
ラルダ「僕は勇者を信じてていいの…?」
ロドウィン「言ったろ?坊主、お前はお前の信じる勇者を信じればいいってな。」
ラルダ「うん…!!」
ロドウィン「あと、俺が女神様と話せることは内緒だぞ?」
ラルダ「なんで言っちゃいけないの?」
ロドウィン「そりゃあ人気者になってしまうからな!ははは!」
ラルダ「なんだよそれ…笑」
ロドウィン「冷えてきてるな…早く戻ろうな」
シスター「ラルダ!ロドウィン兵長!」
ロドウィン「ほら、呼ばれたぜ」
ラルダ「ロドウィンのおっさん!魔王は近いうちに来るんだろ。」
ロドウィン「あぁ、来る」
ラルダ「必ず生きて帰ってきてくれよ」
ロドウィン「任せろって!ちゃんと生きて帰ってくるからな!」
ラルダ「約束ね!」
ロドウィン「約束だ!」
数ヶ月後
《フェンガルド王国 軍司令室》
風軍兵士「ロドウィン兵長!お待ちください」
ロドウィン「お!どうした?」
風軍兵士「また孤児院に行くんですか?」
ロドウィン「おう!」
風軍兵士「一国の兵長を任されているお方が何故。」
ロドウィン「一国の兵長を任されてるからだ。
子供達はこの国の宝なんだ。俺が必ず守らなければいけない。その為に食い物も寄付も何だってするさ。」
風軍兵士「そう…ですね!失礼しました!」
ロドウィン「そんじゃ行ってくるな!」
風軍兵士「はい!お気をつけて!」
《孤児院近くブルームの森》
ロドウィン「孤児院までもうすぐだな」
ゴゴゴドォォォォォン
ロドウィン「孤児院の方か!!」
ピーーーー
ロドウィン「女神様!?どうしました!?」
ロドウィン「魔王の影響…俺の悪意が?
場所は!」
ブルームの森…。
ロドウィン森に入る数分前…。
《ブルームの森孤児院》
ラルダ「シスター!森に山菜採りに行ってくる!」
シスター「ラルダ!気をつけていくのよ」
ラルダ「大丈夫だよ!僕は勇者になるんだからな!」
シスター「ふふ、あんまり遅くならないようにね」
ラルダ「はーい!」
《ブルームの森》
ラルダ「お!この山菜も!この草も!
うぉっこれ毒じゃん!!
グロデア草…これ魔王すら倒せる程の毒…か
図鑑説明に書いてあったけどこんなので倒せたら苦労しねーって」
ガサガサガサ
ラルダ「んん?孤児院の方に進む音…
ロドウィンのおっさんか!」
???「……。」
ラルダ「ロドウィンのおっさん!!来るなら先に言えっていつも言ってんだろ!」
???「……。」
目の前のロドウィンの姿をしたものから
ラルダの魔力が感知したのは圧倒的な悪意。
ただただ悪意そのものだった。
ラルダ「誰だよ…!おまえ!!」
ロドウィン?「……。」
ラルダ「これ以上孤児院に近づいてみろ!
この勇者ラルダが相手になるぞ!!」
ロドウィン?「……。」
ドゴォン!ラルダはいとも容易く蹴飛ばされた。
ラルダ「がはっ…おっ…さん…。」
ロドウィンらしきものは孤児院の方へと足を進めた。
そこからラルダが目覚めるのに少しばかり
時間を要した。
数十分後
ドゴォォォォン
とてつもない轟音でラルダは目を覚ました。
ラルダ「はっ!痛っっ…行かなきゃ!
孤児院に!」
ラルダ「はぁ…はぁ…。」
ラルダは折れた足を引きづりながら進み
そして孤児院近くで倒れた。
だが、それでも地を這いながら泥を啜りながら
前に進み、孤児院を眼前に捉えた。
《ブルームの森 孤児院》
ラルダ「あぁ…あああああああ…!!!!」
目の前に広がったのは火の海になった孤児院
静かに横たわる子供達。至る所に血が飛び散り
目の前のロドウィンらしきものは今まさに
目の前の全てを奪おうとしていた。
シスター「ラル…ダ…」
ラルダ「あああああ…やめろぉ!やめろぉぉ…!!動け!!足!!動け!!勇者になるんだろ…!!」
ロドウィンらしきものは剣を振り下ろした。
シスター「…ラ…ルダ…なれるよ…勇…」
ズシャァァァ!!
シスターの身体は真っ二つに切られその場で崩れ落ちた…。
ラルダ「うぇ…ごはぁ…はぁ…はぁ…うぉろ…
うぇぇ……シスター…」
ラルダ「みんな…シスター…
うぁぁぁああああああああぁ……!!」
ロドウィンらしきものは血塗られた剣を持ち
ゆっくりとラルダに近づいてくる。
ラルダ「はぁ…はぁ…やめ…ろぉ…
絶対許さねぇ…。」
ロドウィンらしきものはラルダの前に立ち地に伏したラルダめがけて剣を振り下ろした。
ラルダ「ぐっ…」
ビュオオォオォォ!!凄まじい突風と共に
ラルダは中に浮かび上がった
ラルダ「この魔法は!」
ロドウィン「坊主!無事か!」
ラルダ「うあぁ…ロドウィン…!!」
ロドウィン「泣くな!男だろ!」
ラルダ「みんなが…シスターが…!なんなんだよアイツ!!」
ロドウィン「くっ…わかってる…。ラルダ俺の話をよく聞け…アイツは俺だ」
ラルダ「嘘だ!あんなのがロドウィンなわけないだろ!!」
ロドウィン「いいから聞け!」
ラルダ「うん…。」
ロドウィン「いいか…女神様との契約は純真の契約一切の不純があってはいけない。これがフリゲイル家に伝わる門外不出の掟。」
ラルダ「…。」
ロドウィン「フリゲイル家は風に重きを置き、太古の昔から女神様に仕えてきた家系。その習わしから女神様と契約するものは悪伐の儀を行わなければならない。」
ラルダ「……それってつまり」
ロドウィン「アイツは悪伐の儀で俺が仕留めた 俺自身の悪意だ…。」
ラルダ「なんでそいつが…今になって!
まさか…魔王…」
ロドウィン「そうだ…魔王復活が程なく始まる
その余波の影響で蘇ったのがアイツだ。」
ラルダ「……なんで…全部奪われなきゃいけないんだ…家もみんなも…シスターも…」
ロドウィン「本当にすまない…じゃ済まされねぇから俺がカタをつける。」
ラルダ「ロドウィン…死なないで…」
ロドウィン「俺が死ぬわけねぇだろうが!
任せとけ!」
ラルダ「うん…任せる…!」
ロドウィン「ラルダお前は動けねぇんだから休める所に置いていくからな」
ラルダ「うん…!」
ヒュールルル
飛び上がったロドウィンとラルダは孤児院から少し離れた場所に降り立った。
ロドウィンは森の木に空間をつくりそこにラルダを隠すように匿った。
ロドウィン「ここに居ろ。何があっても出てくるな。」
ラルダ「…う、うん!」
ロドウィン「おっさんとの約束だ!」
ラルダ「約束!」
ロドウィン「風魔法:アマツコロモ」×「風魔法:アマカゼノホウヘキ」
ラルダを囲うように風のバリアが張られ
更にラルダの傷がゆっくりと癒えていく。
ラルダ「これは…」
ロドウィン「おっさんこれでも器用なんだ
この魔法が坊主を守ってくれる。大丈夫だ!」
ラルダ「うん…!」
ロドウィン「行ってくる!」
ラルダ「行ってらっしゃい…!」
《ブルームの森 孤児院》
ロドウィン「おまたせ俺」
ロドウィン?「ぐははははは!!」
ロドウィン「俺の悪意だがこれは…」
ロドウィンらしきものの身体が溶け始め違うものの形に変わった。それは異形の魔物…否
異形の王である。
ロドウィン「魔王…ここで復活とは」
魔王「ふむ、試し斬りしてみたのだがやはり
このような鈍刀ではすぐに錆びてしまうか…」
ロドウィン「魔王…だな?」
魔王「ふむ、魔王とは些かつまらん呼び名だな
それに魔王の定義こそ曖昧なのだろう」
ロドウィン「何を言ってる…」
魔王「すぐ死ぬお前に教える義理もないだろう」
ロドウィン「風魔法:フウゼンドトウ!!」
ロドウィンの周りに風が集まって八本の竜巻になった。
ロドウィン「吹き飛べ!魔王!」
魔王「ふんっ」
魔王は手を振った、その瞬間竜巻は跡形もなく消え去った。
ロドウィン「効かねぇか…」
ピーーーー
ロドウィン「女神様…魔王が!」
ロドウィン「なんです?つまりコイツは
俺の悪意を使って具現化した魔王の一端でしかない…」
ロドウィン「女神様も魔王と戦ってるんですね。分かりました。俺も目の前の奴を倒します。お互いご武運を!」
魔王「話は済んだか?」
ロドウィン「待っててくれたのか優しい魔王な事だな。じゃあ…優しいついでに消えてくれ」
「風魔法:ボウランキョウガ」
風で形成された鋭い爪が魔王に向かっていく
魔王「ふむ、面白い魔法だ」
フッ…魔王は息を吹きかけた
ロドウィンの魔法は静かに消えた。
魔王「こちらからいくぞ」
魔王は手をロドウィンに向かってかざした
ロドウィンは簡単に吹き飛ばされた
ロドウィン「ぐあああああ!!」
魔王「人間とは脆弱なる者よな」
ドタドタドタ
ラルダ「うあああああ!!」
ラルダは魔王に刃を突き立てた
魔王「ごばぁ…」
魔王の体に刺さった刃の毒は体内に入り魔王の身体を蝕み始めた
魔王「小僧…なにをした!!」
ラルダ「刃物にグロデア草をすり潰して塗っておいたんだ!」
魔王「毒が!毒が回るぅぅ…ぐぅぅ!!」
ラルダ「ロドウィン!」
ロドウィン「ラルダ!なぜ来た!」
ラルダ「ごめん約束守らなくて。でも、ずっと見てたんだ。勇者になるやつがこんな所で大切な人を見殺しにするなんて出来るもんか!」
ロドウィン「そうか!そうだったなラルダ
お前は勇者になるんだもんな」
ラルダ「うん!」
ロドウィン「そんじゃあ勇者ラルダ!
この賢者ロドウィンのありがたーい知恵を借りる気はあるか?」
ラルダ「ある!」
ロドウィン「いいか!勇者!お前の腰についてるグロデアナイフそれが唯一の有効打らしい。
気が乗らねぇが勇者を特攻させる羽目になっちまう」
ラルダ「勇者だからね!」
ロドウィン「そうだ、俺は賢者だ!あらゆる
魔法でお前を援護する!絶対死なせねぇから思う存分戦ってこい。」
魔王「ぐぬぅ…」
ロドウィン「行くぞ!」
「風魔法:フウリンダイチ」
ラルダは宙に浮かび上がった。
ロドウィン「飛ばすぜ勇者様」
「風魔法:アマツハゴウ」
強風がラルダを後押しし一気に魔王の目の前に繰り出した。
魔王「ぬぉ!」
ラルダ「うおおおおお!!」
グサッ
魔王にグロデアナイフが突き刺さり
魔王は地面に倒れた。
ぐおおおおお!!
魔王「ぐああぁ…う……うごけん」
ラルダ「やった!やったぞ!!トドメだ!!
うおおおぉぉ!!」
トドメを刺そうとした時魔王の顔が
ロドウィンに変わった。
ラルダ「はっ…!!」
その刹那魔王はラルダめがけてどす黒いオーラを纏った拳を振りかざした
魔王「ふはは…道連れだ…小僧…」
ロドウィン「ラルダああああああああ!!!」
バゴォォン
ロドウィン「がっ…は…」
魔王「久々の現世…心地よかったわ…くはは…」
シュゥゥゥ
魔王は溶けて消えていった。
ラルダ「ロドウィン!嘘だよな…死なないよな!」
ロドウィン「いや、こりゃあダメだなぁ…腹に穴が空いちまった…」
ラルダ「なんだよ…それ約束と違ぇじゃん…任せろって言ったじゃんかよ…」
ロドウィン「森の中で隠れてるって…約束破ったのはそっちだろ…はは」
ラルダ「うぅ……やだ…死ぬな…」
ロドウィン「無茶言うな…はは」
ピーーーー
ロドウィン「女神様か…そうか貴方も勝ったんですか…よかった…。」
ラルダ「女神様!良かった!ロドウィンは助かりますよね!!」
ロドウィン「女神…様?あぁ…女神様は勝ったんじゃなくて引き分けたのか…」
ラルダ「どういうこと…だよ」
ロドウィン「魔王は深い傷を負って異界に撤退
女神様…は最後の力を振り絞って交信してくれてんのさ」
ラルダ「おい…女神様…ロドウィンを助けてくれよ…」
ロドウィン「よく聞けラルダ…お前に俺の全部を託す」
ラルダ「何言ってんだよ…ロドウィン!」
ロドウィン「お前が次に繋ぐんだ。
この風は絶やすな…」
ラルダ「無理だ!孤児の僕には魔法は…」
ロドウィン「はは…孤児かどうかなんて関係ないさ。ラルダ…お前はきっとやれる。
勇者であるお前がいつか来る新たな勇者に
この風を届けるんだ…。分かるな…?」
ラルダ「ロドウィン……」
ロドウィン「もう時間だ…俺の魔法預けたぜ」
「風魔法:ツムギ」
ラルダ「この風は…」
ロドウィン「さぁ継承だ…元気でな…勇者ラルダ」
ラルダ「うぁぁぁ…ロドウィン…!!」
ロドウィン「賢者ロドウィンの戦いはこれにて終い…!次は風の中で会おう…。心優しき勇者。」
ロドウィンは安らかな眠りについた。
ラルダ「うあああぁぁぁ…!!!」
ピーーーー
???「聴こえますか!ロドウィン!」
ラルダ「あぁ…女神様…か」
女神「ロドウィンは…そうですか…継承したのですか…私の力が尽き。仕えた者すら癒せぬなど
本当に嘆かわしい。」
ラルダ「いいよ…」
女神「心優しき者よ私はこれから長きに渡る眠りにつかなくてはなりません。」
ラルダ「分かってる…。悪伐の儀…か」
女神「いえ、あれはフリゲイル家の伝統であり
私は善悪の分断など望んではおりません。」
ラルダ「そっか…なら…僕から善意を分離してください。」
女神「…それは何故ですか…。」
ラルダ「あの時…魔王にトドメを刺そうとした時…僕はロドウィンの顔になったアイツにトドメをさせなかった…。優しさなんて…いらない」
女神「優しさは人だからこそなのですよ」
ラルダ「だとしても!!大切な人を奪った僕の優しさはもう必要ない…!!」
女神「分かりました…。ラルダ・シュトロム
いつか貴方が優しさを取り戻せる事を願い
貴方の善悪を分断します。」
ラルダ「ありがとう女神様…。」
時間軸は現在に戻り
《カジャラクタ王国 サラシュの森》
ラルダの心の中(こんな時に昔の事を思い出すなんてね。)
(もう、自分を許しても良いのだろうか。
なぁラルダ・シュトロム。僕は優しくなっても良いのだろうか?)
善意のラルダ「……。」
ラルダ(戻ってきていいよ。ラルダ
今は少し優しくなれそうだ。)
ウンディーネ「ふふふ!溺れたか人間共!」
キュイィィィン
水面が暴風とともに光り輝いた。
ウンディーネ「な、なにごとだ!!」
ラルダ
「我願うは神化の風、天津風の如き風
眼前の敵を穿つ狂嵐怒涛、闇を吹き飛ばし
魔を嘲笑う、心優しき風を持って大事を成す
豪風をその身に刻み、今此処に顕現する!」
—六闘形態—⟬シナツヒコ⟭
次回!六闘形態になったラルダの戦いになります!
乞うご期待!!




