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終章 珍事

 あれから僕たちは校長先生の所に向かった。

「みいちゃん!」

 校長先生が泣きながら猫に向かって行った時はさすがに皆引いたが、無事この特別授業の優勝者は文芸部に決まった。

 お金はその場で授与された。お金は満子ちゃんが全て受け取ったが、文句を言う人は誰も居なかった。

 そして、今に至る。

「はぁ……なんだか今日は疲れたよ……」

 僕は肩をがっくし落とした。普段から運動しないのに今日はハード過ぎた。

「おい!小金井!約束を忘れてないだろうな!」

「わ、私もです!」

「はいはい、分かってるわよ。ちゃんと太一は貸し出すから」

 三人は僕とは対照的に元気だった。しかし、服がボロボロになった為、みんなジャージに着替えている。

「はぁ……でもこれが百万円様なのね~これでまた一つ私の夢に近づいたわ」

 満子ちゃんは満足そうな顔をしている。その顔は動機さえ考えなければとても可愛い。

「太一もお疲れ様!あんた今日は結構頑張ったじゃない」

「え……?あ、ありがとう」

 満子ちゃんが僕を褒めるなんて事は滅多に無いから、僕はちょっと面喰ってしまった。「何~その顔は?ふふ……そう言えば、あんたにだけ報酬が無いって言うのもちょっと可哀想ね……」 

 可哀想……満子ちゃんがこんな言葉を使うなんて……明日は豪雪だろうか……。

 僕が真剣に明日の天気の心配をしていると、ポンと満子ちゃんは手を叩いた。

「そうだ!あんたも今日は一杯動いてお腹空いたでしょ?駅前のラーメンをおごってあげるわよ!」

「えええええええええええ!」

 僕は大声をあげて驚いた。今日一番の驚きだった。あの満子ちゃんが人に奢る?僕は夢でも見てるのだろうか?

「え……でもあそこのラーメンって五百円くらいするよ……本気なの?」

「う……た、確かに高いわね……でも、でもいいわ!今日は私の奢りよ!好きなだけ食べればいいわ!」

 満子ちゃんがやけくその様に叫ぶ。

「御堂君が行くなら私も行きたい!」

「私もです!」

 すると前を歩いていた二人が手を挙げる。

「いいわよ…………けど、太一以外は自分でお勘定を払う事!いいわね!」

 やっぱり満子ちゃんは満子ちゃんだと僕は笑ってしまう。

「あ!馬鹿太一!何笑ってんのよ!あんた奢ってあげないわよ!」

 そう言われても僕は笑うのを止める事が出来なかった。可笑しいと同時に嬉しかったのだ。自分の命よりも大事なお金でご飯を御馳走してくれるという満子ちゃんに。

 僕が笑うのを見て、満子ちゃんは不貞腐れた様に先を歩きだした。

 確かに今日は疲れたけど悪くない。僕にとっては一杯のラーメンが最高のご褒美なのだから。

                                       〈了〉

 



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