表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
廃人がヒロインなっちまった  作者: 大木戸 いずみ
34/34

34.ヒロイン

「わお、これは完全に閉じ込められたな」

 倉庫の扉を開けようとするが、外から鍵がかかっているため無理だと悟る。

 ……あのガチャっていう鍵をかける音が聞こえた瞬間、うわやべって思ったわ。

 はぁ、おでん食べたいな~。


<数時間前>


「貴女がユユ様?」

 朝、学校について早々知らない女子生徒からいきなり声をかけらえた。

 え、誰だ、この子。まぁ、金髪って時点で天使って情報は手に入れられたけど。今まで会ったことある記憶もないし……いや、でもどっかで見たことあるような気もする。

「えっと、誰?」

「わたくしの名前はビアンカ・モーリーですわ」

 ビアンカ・モーリー…………あ!! 悪役令嬢じゃん!

 ついに会えたど!! 嬉しみ深みんごでフラミンゴって感じで一緒にフラメンコ躍る? とか言っちゃいそうだ。

 金髪に金色のその目! もう輝きすぎだよ、ビアンカ!

「お話がありますの」

「え、何々!? 私も話したいなって思ってた! 元気?」

「……えっと、もっと緊張した空気でお話したのですが」

 私の反応にビアンカは戸惑い、露骨に嫌な顔をする。

 そんな嫌な顔するなし、ビアンカ。私は貴女と会える日を待っていたのだ。私の攻略対象者達を全て貴方に譲る為にね!

「要件は?」

「貴女、悪魔をたぶらかしてるんでしょ?」

「はい?」

「あのギルト様達と親しいじゃない!」

 ビアンカはいきなり声を上げて、キレる。

「ちょ、ちょ、ちと待って。どこが? むしろわし標的にされてるべ?」

「その標的にされたい女子がどれだけいると思っているの!? 調子乗るのもいい加減にしなさいよ!」

「この学校はマゾが多いのかな」

 私の言葉に彼女は顔を林檎のように真っ赤にする。相当怒らしてしまったようだ。

 私たちの言い合いに、周りもざわざわとし始める。勿論、悪魔はほとんどいない。真面目な天使だけが朝から学校に来ている。

「場所を変えてもよろしいかしら?」

 ビアンカは私を睨む。……これでもし拒否ったらどうなるんだろう。ちょっとその展開も見てみたい。

「いいかしら?」

「あ、ういっす」

 彼女の圧に負けて思わず返事をしてしまった。

 ああ、私って本当圧力に弱い。すぐに頷いてしまう。だから、悪魔にもあんなくっつかれるんだ。


 私とビアンカは人気のない裏庭に移動した。

「少し可愛いからって調子に乗らないで下さらない?」

「違う違う」

 彼女の言葉に私は手を顔の前で横に振る。ビアンカは不思議そうに私を見つめる。

「何が違うの?」

「少し可愛いんじゃなくて、私顔は超かわいいから」

 なんたって私はヒロインだ。この世界で一番といっていいほど美少女だ。

 美女なのはイモコだと思うけど、美少女枠だと私だ。……中身は置いておいて。

「は、はい!?」

 わお、なんて声量。さっきまでとは大違い。

 ビアンカは「こいつ何言ってんだ」と言いたげな表情を浮かべた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 顔は超かわいいが性格は・・・。ヒロインのはっきり言うところが素敵です。楽しく読ませていただいてます。
[一言] すっごく面白いです! こんなに面白い小説を読むことができてとても幸せです! ぜひ続きが読みたいです!
[一言] 可哀想になぁ、ビアンカちゃん(゜_゜) 高飛車だけど比較的常識的過ぎて、この世界では奇行が激しいユユの犠牲に……。 話にならんって感じ閉じ込めですかね? 正直言うとユユの自業自得感もヒシヒシ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ